「今日はなんだか気分が沈んでいるな……」そんなとき、ミュージカルソングはあなたを明るく照らしてくれます。ステージでは、悩みも不安も吹き飛ばすような歌とダンスが日々繰り広げられています。特にハッピーをぎゅっと詰め込んだミュージカルソングは、心に栄養をくれるビタミンのような存在です。今回は、聞くだけで耳が幸せになる「ハッピーなミュージカルソング」を特集します。気分をパッと明るくしたいとき、ぜひ再生してみてくださいね。
We’re All In This Together(ハイスクール・ミュージカル)
ディズニー・チャンネル初のオリジナル・ミュージカル映画として2006年に放送された『ハイスクール・ミュージカル』は、瞬く間に世界中のティーンの心を掴み、大ヒットを記録しました。
舞台はアメリカの架空の高校。バスケットボール部のスター選手トロイと、科学好きの優等生ガブリエラが、ひょんなことからミュージカルのオーディションに参加するところから物語は始まります。固定化されたスクールカーストや周囲の期待にとらわれず、自分の「好き」に正直に生きようとする若者たちの姿が、爽やかに、時にコミカルに描かれます。
そのクライマックスを飾る楽曲が「We’re All In This Together」。軽快なリズムと親しみやすいメロディにのせて、「私たちはみんな一緒だ」「一人ひとりが違うからこそ、力を合わせれば素晴らしいことができる」と歌い上げます。
個性や夢の尊重、仲間とのつながりの大切さをストレートに伝えるこの曲は、作品のメッセージを象徴する一曲です。キャスト全員が一体となってダンスを踊るフィナーレは、観る人の心にも一体感と高揚感をもたらしてくれます。
筆者が特に好きな歌詞は「We’ve arrived Because we stuck together」。「stick together」とは、困難な状況でもお互いを支え合い、団結することを意味するスラングです。壁にぶつかったり、恋をしながら、表現する楽しさに目覚めていった彼らの日々に、自然と思いを馳せてしまいます。
そんな青春の輝きに満ちた『ハイスクール・ミュージカル』の世界については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
I Got Rhythm(クレイジー・フォー・ユー)
『クレイジー・フォー・ユー』は、ガーシュウィン兄弟による名曲の数々に彩られた、陽気でハートフルなタップダンス・ミュージカル・コメディ。1992年のブロードウェイ初演でトニー賞を受賞し、日本では劇団四季が1993年から上演を重ねる人気作です。
物語の主人公は、銀行家の息子でありながら踊りに夢中な青年ボビー。彼は田舎町の劇場を立て直すためにニューヨークから派遣された際、ひょんなことから地元の娘ポリーと出会い、恋と舞台への情熱に目覚めていきます。
「I Got Rhythm」は本作を代表する楽曲の1つです。軽快なリズムとスウィング感あふれるメロディで、「リズムがある、愛がある、それだけで人生は最高!」という前向きなメッセージが力強く歌われます。シンプルな言葉の繰り返しと、心躍るようなテンポは、観客の心を一気に明るく照らしてくれるんです。
劇中では、町の人々とボビーが力を合わせて劇場を再生しようとするシーンで披露され、物語の転機を象徴するナンバーとして高らかに歌い上げられます。
クラシックな音楽と、笑いとロマンス、圧巻のダンスが融合する『クレイジー・フォー・ユー』。ミュージカルの楽しさがぎゅっと詰まったこの作品は、観る者すべてにエネルギーと幸福感を届けてくれます。作品が気になった方は、ぜひ過去の公演リポートもご覧くださいね。
Opening Up(ウェイトレス)
ミュージカル『ウェイトレス』は、2007年の同名映画をもとに、2016年にブロードウェイで初演された作品です。作詞・作曲を手がけたのは、グラミー賞ノミネート歴を持つシンガーソングライター、サラ・バレリス。女性クリエイターたちが中心となって生み出されたこのミュージカルは、現代女性のリアルな悩みや希望を、繊細かつ温かなまなざしで描き出します。
舞台はアメリカ南部の小さな町にあるダイナー。主人公のジェナは、パイ作りの才能を持つウェイトレスです。望まぬ結婚生活に閉じ込められながらも、仲間たちや新しい出会いを通して、自分自身を見つめ直し、未来へ踏み出す力を育んでいきます。
冒頭に歌われる楽曲「Opening Up」は、物語と登場人物たちの世界観を一気に立ち上げる印象的なナンバー。ジェナと仲間のウェイトレスたちが、毎朝の仕事や日々のルーティンを軽快なリズムにのせて歌いながら、それぞれの心の内側も少しずつ垣間見せていきます。淡々とした日常のなかにある切実な思いや、そこから滲み出る温もりを、透明感のあるメロディがやさしく包み込みます。
「毎日が同じようにあることが好きなの」。決して派手ではないけれど、美しく力強いはじまりの歌は、なんだか耳に残り、静かに心に染み入る存在です。
ゲネプロの様子は、オフィシャル舞台写真とあわせてこちらの記事でご紹介しています。

毎日がんばっていると、ふと心が折れそうになる瞬間って、誰にでもありますよね。そんなとき、そっと寄り添ってくれるのが、お気に入りの1曲だったりします。ハッピーなミュージカルソングをお守りのように集めて、自分だけのプレイリストをつくってみませんか?