ミュージカル『レ・ミゼラブル』の楽しみ方の1つと言えば、様々なキャストの組み合わせを楽しめること。1役に何名ものキャストが配役されているため、何度観ても共感できる役や感動するシーンが異なるのが面白いポイントです。今回は、吉原光夫さんのジャン・バルジャン、上原理生さんのジャベール、生田絵梨花さんのエポニーヌ回の観劇リポートをお届けします!(2021年6月・帝国劇場)

吉原バルジャンの高音と上原ジャベールの音圧がすごい!!

かつて革命を率いる若者・アンジョルラス役を務めたミュージカル俳優・上原理生さん。「民衆の歌」で思わず涙して以来、上原さんの歌声に魅了されてしまった私は、今回上原さん演じるジャベールが1つの目的で観劇しに行きました。上原さんの圧倒的な安定感のある低音ボイスはもちろん、圧を感じるほどの声の厚み、そして美しさ。ジャベールが自らの正義を星々に誓う「スターズ」では思わずジャベールと共に星空を見上げ、彼の正義の強さに鳥肌が立ってしまいました。

そして、ジャベールが生涯追い続ける相手であり、『レ・ミゼラブル』の主人公でもあるジャン・バルジャンを演じていたのが吉原光夫さん。上原さんの低音と対照的に、吉原さんの高音は自然と涙が溢れ出てくる不思議な力を持っていました。表現力も素晴らしく、語りかけるように歌う言葉たちに胸を打たれます。娘として育てたコゼットの恋人・マリウスの命が救われるように祈る歌「彼を帰して」では、マリウスだけでなく革命を起こそうとする若者たち皆を見渡しながら歌う吉原さん。バルジャンはマリウスのことはもちろん、若者たち全ての命に対して、祈りを捧げているのだと実感しました。

いくちゃんがコゼットからエポニーヌへ大変身!

2021年上演の『レ・ミゼラブル』で話題となっている1つが、今までコゼット役を務めていた乃木坂46の生田絵梨花さんがエポニーヌ役に挑戦していること。バルジャンに大切に育てられ、まばゆい上品さを漂わせるコゼットはまさに生田絵梨花さんにぴったりの役どころでした。

一方エポニーヌは金持ちを襲うなど悪事を働く両親の元で育った貧しく粗野な女の子。生田さんの可愛らしさが溢れ出てしまうのではと心配していましたが、発声法から変えたというその覚悟と決意を感じる力強いエポニーヌに思わず感動。マリウスに切ない片思いをしながらも、命をかけてマリウスを守ろうとするエポニーヌの儚さと強さが突き刺さりました。きっと公演を重ねるにつれて、さらにその力強さは増していくことでしょう。

Yurika

今年は最後に歓声を上げられないのが辛いですが、帝国劇場に響き渡る拍手の音は凄まじく、観客たちの『レ・ミゼラブル』への愛と称賛を強く感じました。『レ・ミゼラブル』がどんな作品か気になった方は、初めての『レ・ミゼラブル』を楽しむ3つのポイントを読んでみてください!