名作『ピーター・パン』は、どのようにして生まれたのでしょうか。劇作家ジェームズ・バリと4人の子どもたちとの出会いを通して、夢を見ることの大切さや想像力の豊かさを描くミュージカル『ファインディング・ネバーランド』。2027年1月より東京・宮城・大阪・愛知・福岡の5都市で上演されます。主演の山崎育三郎さんをはじめ、濱田めぐみさん、夢咲ねねさんらが続投し、新たに橋本さとしさんが参加。大人になった私たちの心にも響く、切なくも優しい物語をご紹介します。

『ピーター・パン』の作者を主人公にした感動のミュージカル

ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』は、アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、2004年に製作されたジョニー・デップ主演の映画『Finding Neverland』を元に創られた作品です。映画は第77回アカデミー賞で7部門にノミネートされ、作曲賞を受賞。日本では2005年に『ネバーランド』の邦題で公開されました。

本作は劇作家のジェームズ・バリがある家族と出会い、子どもたちとの交流を通じて戯曲『ピーター・パン』を書き上げ、上演するまでを描いています。ジェームズ・グラハムさんが台本、ゲイリー・バーロウさんとエリオット・ケネディさんが作曲・作詞を手掛けて2014年に初演されると、2015年にブロードウェイへ進出。実話に基づいたストーリーは切なくも優しさに溢れ、「何年も心に残るであろう必見の舞台」などと多くのメディアから称賛を浴びました。

2017年には海外ツアー版が日本でも上演され、2023年には小山ゆうなさんの翻訳・演出による日本版が初演。心に残る楽曲の数々と感動的なストーリーが好評を博しました。それから4年後の2027年1月、ついに待望の再演を果たします。

「ピーター・パン」といえば絵本やアニメ映画などで日本でも多くの方に親しまれていますが、作者についてはあまり馴染みがないかもしれません。本作では作者のバリと彼に関わる人々に焦点を当て、今なお世界中で愛される物語が誕生した背景を辿っていきます。その過程で、観客はいつの間にか忘れてしまっていた遊び心を思い出し、夢を見ることの喜びやワクワクを実感できるでしょう。

<あらすじ>
19世紀後半のイギリス。劇作家ジェームズ・バリ(山崎育三郎)は、新作の戯曲が書けずに行き詰まり思い悩んでいた。そんな中、公園でシルヴィア(濱田めぐみ)と4人の子ども達ジョージ、ジャック、ピーター、マイケルと出逢う。
彼らと遊ぶうちに忘れかけていた「遊び心」と「想像力」を思い出したバリは、『ピーター・パン』の物語を生み出していく。

しかし、当時のイギリスでは、演劇は上流階級だけのもので、バリが「子どもも楽しめるファンタジー作品を上演したい」と提案すると、劇場主のフローマン(橋本さとし)と劇団員たちは猛反対。

一方、父を亡くしてから純粋な心を閉ざし、早く“大人”になろうとしていた三男のピーターは、バリと交流を深めるうちに、夢や希望を捨てることが大人になることではないのだと悟る。バリとシルヴィアは、シルヴィアの母のデュ・モーリエ夫人(杜けあき)に反対されながらも交流を深め、お互いを理解し心を開く関係になっていく。

最初は反対していた劇団員たちも、「演劇」も「遊び」も同じ「PLAY」だと気づき、次第に子どもの頃の純粋な気持ちを思い出していく。全てが順風満帆かに思えたが、心の距離が出来ていた妻のメアリー(夢咲ねね)に愛想をつかされ、さらに追い打ちをかけるようにシルヴィアの体調が悪化していってしまう。
そして迎えた新作舞台『ピーター・パン』の公演初日。

『ピーター・パン』という永遠の物語を生み出した一人の作家と、彼を囲む人々の、美しく、優しく、切ない、感動の物語。

現実とファンタジーが交錯する舞台を、小山ゆうなが再び描き出す

本作の翻訳・演出は、2023年の日本初演に続き、小山ゆうなさんが担当します。

小山さんは演出家・劇作家・翻訳家として、ストレートプレイからミュージカルまで幅広い作品を手掛けてきました。近年では、韓国発の人気作品をミュージカル化した『梨泰院クラス』や、ブロードウェイミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』の日本初演で演出を担当するなど、話題作で手腕を発揮しています。

また、訳詞も初演から引き続き高橋亜子さんが担当。『ダブル・トラブル』『グローリー・デイズ』など数多くのミュージカル作品で翻訳・訳詞を手掛け、第14回小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞しています。

劇作家バリの想像力から生まれるファンタジーと、登場人物たちが直面する現実。その両方が描かれる本作を、初演を支えたクリエイティブスタッフが再び届けます。

山崎育三郎が夢見る劇作家に。濱田めぐみ、橋本さとしらが紡ぐ人間ドラマ

『モーツァルト!』『エリザベート』など数々の大作ミュージカルで主演を務め、近年は日本発のオリジナルミュージカル『昭和元禄落語心中』にも出演。豊かな歌唱力と表現力で、ミュージカル界を牽引してきました。本作では、創作に行き詰まりながらも、4人の子どもたちとの出会いによって再び想像力を取り戻していく劇作家を演じます。

バリの創作意欲をかき立てる4人兄弟の母・シルヴィア役には、濱田めぐみさんが続投。劇団四季時代から『ウィキッド』『アイーダ』など数々の作品で存在感を放ち、退団後も『メリー・ポピンズ』などのミュージカルで活躍しています。夫を亡くし、4人の子どもを育てるシルヴィア。バリと心を通わせながらも、病という厳しい現実に直面する女性を演じます。

そして今回、新たに参加する橋本さとしさんは、劇場主チャールズ・フローマンとフック船長の2役を務めます。

劇団☆新感線出身で、『レ・ミゼラブル』『二都物語』など数々の舞台・ミュージカルに出演してきた橋本さん。バリが生み出そうとする新しい舞台に反対する現実世界の劇場主と、空想の世界に登場するフック船長という、対照的な2役をどのように演じ分けるのか注目です。

バリの妻であるメアリー・バリ役は、元宝塚歌劇団の星組トップ娘役にして、2015年の退団後もミュージカルを中心に俳優活動を続ける夢咲ねねさん。直近では小山ゆうなさん演出の音楽劇『39歳』に出演し、揺れ動く感情を丁寧に汲み取りながら親友3人組の1人を自然体で演じました。

シルヴィアの母で子どもたちの祖母でもあるデュ・モーリエ夫人役は、杜けあきさんです。宝塚歌劇団で雪組トップスターとして人気を博し、在団時には第18回菊田一夫演劇賞を受賞。退団してからも数多くの舞台やミュージカル、コンサートに出演し、揺るぎない実力を示しています。

キャナン卿役は、主にミュージカルで活躍する遠山裕介さん。2026年6月に日本で初演されたミュージカル『神経衰弱ぎりぎりの女たち』では狂言回しにあたるタクシー運転手を茶目っ気たっぷりに演じ、ラテンコメディの世界観を盛り上げました。

そして、本作に欠かせない4人の子役には、ジョージ役に髙田龍成さんと瀧上颯太さん、ジャック役に古澤利音さんと渡邉隼人さん、ピーター役に下永龍正さんと深澤 統さん、マイケル役に船橋碧士さんと古川夏輝さんがそれぞれWキャストで登場。エネルギー溢れる子どもたちと大人との掛け合いから紡ぎ出される『ピーター・パン』の物語が、客席にいる大人たちの心をぐっと掴みます。

このほか、2026年9月27日に千秋楽を迎え、来年3月にベトナム公演開催が決まったミュージカル『アニオー姫』に出演していた森山大輔さんがクローマー役、文学座に所属し、劇団内外の舞台・ミュージカルに参加しているベテランの廣田高志さんがヘンショー役で初めてカンパニー入りします。

ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』は、2027年1月8日(金)から30日(土)まで東京・日生劇場にて上演。その後は2月5日(金)から7日(日)まで宮城県の東京エレクトロンホール宮城 大ホール、2月11日(木・祝)から15日(月)まで大阪府の梅田芸術劇場 メインホール、2月19日(金)から21日(日)まで愛知県の愛知県芸術劇場 大ホール、2月26日(金)から28日(日)まで福岡県の久留米シティプラザ ザ・グランドホールにてツアー公演を行います。HPはこちら。

もこ

ふと頭に浮かんだことに対して、そんな夢のような話を考えたって無駄だ、子どもじゃないんだから恥ずかしいとつい一蹴してしまっている気がします。自由に想像し、夢を見る自分を認めた時、私たちの目の前にもネバーランドが広がっているかもしれません。