2018年に公開された日本映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、まさに「エモい」という言葉がぴったりの作品。90年代のコギャル時代に青春を謳歌していたアラフォーの女性たちが、高校生の頃の仲良しグループを再結成していく友情物語です。安室ちゃんやオザケンなど90年代を代表するアーティストのヒット曲に乗せ、コギャルたちが笑って歌って時に泣いて大騒ぎする姿は、その時代を知らない人でもエモさを感じること間違いなしですよ。

90年代ソング×コギャル=ミュージカル?

物語は、専業主婦の奈美が病院で高校の仲良しグループのリーダー・芹香に出会ったことから始まります。彼女たちは、90年代のコギャルブーム真っ盛りに青春を送った世代。当時は仲の良い女子高生6人で、「SUNNY」というグループを結成していたのです。

20年ぶりの再会を喜ぶ2人でしたが、芹香は末期がんを患っていて余命1カ月と宣告されていました。「もう一度SUNNYのみんなに会いたい」と願う芹香のために、奈美は疎遠になってしまったSUNNYのメンバーを捜索し始めます。

奈美たちの現在と過去の回想が交差することでストーリーが展開していくのですが、その合間に流れるのが90年代のヒットソングの数々です。

オープニングで奈美が母校を訪れて昔を思い出すシーンでは、久保田利伸さんの「LA・LA・ LA LOVE SONG」に合わせてコギャルたちが一斉にダンス!盛り上がる場面にはタイミングよく90年代の名曲が流れるので、音楽を聞けば登場人物の気持ちが手に取るようにわかります。

90年代のコギャルというと、素直に泣いたり笑ったりできる自我をしっかり持った女の子たち。竹を割ったような性格のコギャルと90年代のヒットソングが組み合わさると、まるでミュージカルのように華やかな世界が見えるのだから不思議なものです。

90年代の完コピに思わず引き込まれる

篠原涼子さんが演じる奈美のコギャル時代の姿を演じるのは、広瀬すずさん。淡路島から東京に引っ越してきた田舎者の女子高生が、次第におしゃれを覚えて都会になじんでいく様子を熱演しています。

SUNNYのメンバーの高校時代を演じているのは、90年代後半から2000年代に生まれた若い女優さんたち。彼女たちは当時のコギャルを完コピするために、「コギャル講座」から制服の着こなしやメイクを細部に至るまで学んだそうです。

広瀬すずさんや池田エライザさんなど、今をときめく若い女優さんたちがルーズソックスを履いて写ルンですやポケベルを持っている姿は見ごたえがあります。カラオケをはじめとする女子高生の寄り道スポットや街の看板も90年代を再現していて、見える景色がすべてエモいです。

さきこ

奈美以外のSUNNYのメンバーも、小池栄子さん、渡辺直美さん、山本舞香さんなど現在も過去も配役がかなり豪華。そのうえリリーフランキーさんや故・三浦春馬さんなど、印象的な脇役陣がストーリーをさらに盛り上げる”チョベリグ”なキャスティングです。見どころ満載の『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、90年代やコギャルカルチャーを知らない人でもグッと心をつかまれますよ。