ドラァグクイーンに憧れる実在の少年ジェイミーに密着した、イギリスBBCのドキュメンタリー番組から始まったミュージカル『ジェイミー』。ウエストエンドでも大ヒットし、ついに日本上陸!自分の気持ちに正直に生きることの素晴らしさを教えてくれる本作の魅力をリポートします。(2021年8月・東京建物Brillia HALL)※一部ストーリーに触れております
人はただありのまま生きるだけで、ビューティフル
イギリスで観劇した方から“とにかく元気が出る!学生たちのパワフルなダンスが素晴らしい!”と太鼓判を押され楽しみにしていたミュージカル『ジェイミー』。日本版の主演は映画『レディ・プレイヤー1』でもお馴染みの森崎ウィンさん(髙橋颯さんとのWキャスト)です。ドラァグクイーンに憧れている少年ジェイミーは誕生日に赤いハイヒールをもらったことから、高校生活最後のダンスパーティ・プロムにドレスで行くことを目指します。
甘い歌声、美しく長い脚、クールに見えてキュートでコミカルな演技も似合う森崎ウィンさんの姿に、一瞬でジェイミーの虜に。赤いハイヒールでのダンスもお手の物!赤いドレスも似合っていて、ジェイミーが生徒たちを一気に魅了したのも頷けます。強い人に見えるジェイミーですが、時にはありのままの自分に自信をなくすことも。そんな時に親友のプリティが語りかけるのが、ジェイミーは着飾らなくとも、ジェイミーのままでいるだけで美しいということ。ジェイミーの母マーガレット(安蘭けいさん)もいつでもジェイミーを肯定してくれる強い味方です。どんなジェイミーも応援する愛の深さに、こんな人間でありたいと思わされます。
楽しいダンスシーンに心躍るひとときを!
生徒たちの若いパワー炸裂な歌とダンス、ドラァグクイーンたちのキラキラの衣装と艶やかなダンスシーンはとにかくハッピーな気持ちにさせられます。印象的だったのは、伝説のドラァグクイーンであるロコ・シャネル(石川禅さん)がドラァグクイーンとしてステージに立つことは「戦」だと表現したこと。ドラァグクイーンには華やかさだけでなく自分らしさを突き通す覚悟や強さがあるからこそ、美しいのだと知りました。
今井清隆さんはジェイミーに理解を示さない父親と、ドラァグクイーンのサンドラの2役を担います。真逆すぎるキャラクターを華麗に演じ分けるのはさすがの一言。常にジェイミーと観客たちの気持ちを明るく照らしてくれる、強く美しいドラァグクイーン4人のファンになって劇場を後にしました。
ミュージカル『ジェイミー』は東京公演が29日まで、9月に大阪公演・愛知公演が実施予定です。何度も観たくなる、勇気をもらえる作品です。公式HPはこちら