演劇やミュージカルが上演されることのありがたみを感じた2021年も、残すところあとわずか。年が明けて2022年になるとまた新しい作品が開幕します。今回は2022年に上演予定の作品の中から、絶対観るべき演劇＆ミュージカル作品４選を紹介します！

美しいメロディが心に響く！究極の愛と悲劇を描いた『ミス・サイゴン』

ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、主人公キムの究極の愛と悲劇を描いたミュージカル『ミス・サイゴン』。世界4大ミュージカルのひとつでもあり、『レ・ミゼラブル』と同じ制作スタッフが手がけた作品です。見どころは実物大のヘリコプターやホーチミン像など舞台装置のスケールの大きさ。そして重く悲しいストーリーでありながら、美しいメロディによって心に響く登場人物たちの思いの強さや温かさです。

2022年の公演は日本初演30周年記念公演としても注目を集めています。コロナ禍の影響で全公演中止となった2020年版のキャストが集結するため、「あのキャストで見たかった！」という方にとっても待ち遠しい作品のひとつではないでしょうか。2022年7月・8月は帝国劇場、9月から11月は全国８都市でのツアーが決定しています。

双子とは知らずに出会った二人の切ない運命！『ブラッド・ブラザーズ』

同じ日に生まれそれぞれ別の家庭で育った双子の人生を、イギリスの格差社会と共に描いたミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。日本でも1991年の初演からキャストを変え何度も上演されている名作です。2022年の公演は、過去の出演者でもあった吉田鋼太郎さんが演出を手がけます。

私は2003年に坂本昌行さんと赤坂晃さんがキャストの公演を観劇したのですが、十数年以上経った今でもラストシーンで受けた衝撃が忘れられません。自分が生まれた貧しい家庭で育ったミッキーと、裕福な家庭に引き取られたエディ。家庭環境が人生に与える影響の大きさを感じる作品です。

見どころは前半で大人のキャストが幼少期を演じるシーン。7歳のミッキーとエディのあまりの可愛さに顔が緩みっぱなしになります。大人になるとミッキーの人生は少しずつ狂い始めるため、幼少期との明暗の差も振り返った時に切なくなる要素のひとつです。『ブラッド・ブラザーズ』は2022年3月から東京国際フォーラムホールCにて上演予定です。

世界初の舞台化！不思議の町に迷い込んだ少女『千と千尋の神隠し』

2001年に公開されたジブリ映画『千と千尋の神隠し』。2022年に世界初の舞台化が決まり、ジブリファンの方はとても楽しみにしているのではないでしょうか。翻案と演出は『レ・ミゼラブル』の演出を手がけ自身も『千と千尋の神隠し』の大ファンだという、ジョン・ケアードが担当します。

この作品をおすすめする理由は、千尋が不思議の町に迷い込む感覚を映像ではなく舞台で体感できること。映画の世界観がどこまで忠実に再現されるのか気になりますが、生の舞台でしか味わえない感動や思いもあるはず。ジブリ映画の舞台化ということで、普段ミュージカルや演劇を観ない方も観劇デビューするきっかけになりますよね。

千尋役を演じるのは橋本環奈さんと上白石萌音さん。千尋のイメージにピッタリなのではないでしょうか。また映画で湯婆婆の声を担当した夏木マリさんが舞台でも湯婆婆を演じたり、カオナシ役をダンサーが演じたりと未知の世界に期待が膨らみます。『千と千尋の神隠し』は2022年3月の帝国劇場を皮切りに、大阪・福岡・札幌・名古屋にて上演されます。

役者2人がピアノの弾き語りと13役のキャラクターで魅了する！『MURDER for TWO』

2人の役者が13役を演じるコメディミュージカル『MURDER for TWO』。とある作家が自らのバースデーパーティーで銃殺され、その現場で繰り広げられる刑事マーカスと容疑者たちのやりとりを描いた作品です。2013年にオフ・ブロードウェイで上演され、日本では2016年にV6の坂本昌行さんと松尾貴史さんの2人が演じました。

2022年の公演は同じく坂本昌行さんと、海宝直人さんのコンビで再演。ミュージカル界とジャニーズ界で歌唱力の高い二人の共演ということで、劇中での歌唱ナンバーへの期待が高まります。

『MURDER for TWO』は役者2人で13役ものキャラクターを演じ分けるだけでなく、全曲ピアノで弾き語りするという普通のミュージカルとは少し違ったスタイルが見どころ。女性の役も登場し、コロコロと変わるキャラクターに吸い込まれていくのではないでしょうか。『MURDER for TWO』は2022年1月に東京公演からスタートし、大阪・仙台・松本公演と2月まで上演が決まっています。