スーパーヒーローの活躍と壮大なストーリーを描いた映像作品で世界を熱狂させているマーベル・スタジオ。最近ではDisney +(ディズニープラス)のオリジナルドラマも数多く制作しています。そのなかでも弓術に優れたヒーロー・ホークアイを主人公にしたドラマ『ホークアイ』では、劇中劇に登場するミュージカルが注目の的に。アベンジャーズの決戦をミュージカル化した劇中劇はドラマ内のギャグシーンなのですが、想像以上に作り込まれた本格的な出来栄えです。
『ホークアイ』の劇中劇「ロジャース:ザ・ミュージカル」
スーパーヒーローチーム・アベンジャーズのメンバーであるホークアイは、クリスマスの休暇を家族と過ごすため、ニューヨークでホリデイを満喫中。その際にホークアイが鑑賞していたのが、ブロードウェイで上演されている架空のミュージカル「ロジャース:ザ・ミュージカル」です。
このミュージカルの題材となったのは、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』で描かれていたアベンジャーズと地球侵略をもくろむ宇宙人との決戦。決戦の場がニューヨークであったため、人々はアベンジャーズの功績を讃え、彼らの勇姿をミュージカルにしたのです。
タイトルのロジャースとは、アベンジャーズの一員であるキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース。ミュージカルシーンで歌われている「Save The City」では、キャプテン・アメリカの有名な名台詞である「I can do this all day(まだやれるぞ)」が繰り返し使われています。アベンジャーズが集結する熱血系のかっこいいロックチューンなのですが、それを鑑賞する客席のホークアイがどんどん冷めたまなざしになっていくのがドラマの笑いどころです。
劇中劇だけど超本気?!楽曲を手掛けたのはミュージカル界の名コンビ
「Save The City」を手掛けたのは、マーク・シャイマンとスコット・ウィットマン。彼らは『ヘアスプレー』や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の作詞・作曲で知られ、トニー賞の受賞歴もある名コンビです。
本格的なミュージカルソングを任せて間違いなしの彼らにマーベル・スタジオがオーダーしたのは、「ホークアイを呆れさせるような曲を作ってほしい」というもの。この要望に応えるべく、シャイマンとウィットマンは大げさかつ、ブロードウェイらしさを盛り込んだ明るいミュージカルソングを書き下ろしています。
ミュージカルシーンはドラマのシリアスな要素と対照的で、視聴者にも出演キャストにも大ウケ。本編では1話に登場する束の間の劇中劇でしたが、エンドクレジットでは「Save The City」がフルバージョンで流されています。
リードヴォーカルも豪華!『RENT』のオリジナルキャストが登場
楽曲担当の人選も本格的ですが、出演者もブロードウェイ出身の俳優が起用されています。「Save The City」のリードヴォーカルとして、「ロジャース:ザ・ミュージカル」のニューヨーカー役を演じていたのが、アダム・パスカル。
彼は『RENT』のオリジナルキャストを務めていて、『アイーダ』、『チェス』など数多くのブロードウェイミュージカルに出演しています。ミュージカルファンなら、『ホークアイ』を見ているときに彼が出演していることに気づいたはず。それほど印象的でパワフルな歌唱を披露しています。
パスカルが『RENT』で演じていたのは、HIVに感染してしまうギタリストのロジャー役。本物のブロードウェイ俳優が演じていることだけでも面白いのに、スティーブ・ロジャースと彼の当たり役であるロジャーを引っ掛けたようなキャスティングにクスリと笑ってしまいます。
ブロードウェイで実績のあるスタッフが集結して作られた架空のミュージカル「ロジャース:ザ・ミュージカル」は、ドラマ『ホークアイ』の見どころの一つです。これまでも多くの映像作品をミュージカル化してきたディズニーならば、マーベル映画のミュージカル化も現実になるかもしれませんね。あまりにも本格的で、実際にミュージカル作品として見てみたくなる「ロジャース:ザ・ミュージカル」。気になった方は、ぜひディズニープラスのオリジナルドラマ『ホークアイ』をご覧ください。