数々のミュージカル作品の中でも、ひときわ異彩を放つ作品『ロッキー・ホラー・ショー』。日本では古田新太さんが2011年、2017年と主演を務め、3度目にして今回がラストであると発表されています。観客が立ち上がり、踊り、声を出しながら楽しむ参加型ミュージカルとして知られる本作は、コロナ禍でどう進化を遂げたのか。2022年版『ロッキー・ホラー・ショー』の魅力を余すことなくお届けします!(2022年2月・PARCO劇場)
ブラッド&ジャネットと一緒に、変態たちの城へ…
嵐で車のタイヤがパンクしてしまったブラッド(小池徹平)とジャネット(昆夏美)が訪れたのは、人里離れた場所にある古いお城。執事リフラフ(ISSA)、使用⼈のマジェンタ(フランク莉奈)、コロンビア(峯岸みなみ)らの異様な雰囲気に戸惑っていると、城の主フランク “N”・フルター(古田新太)が登場。黒いガーター&ストッキングという強烈な服装のフランクに、人造人間を創り出したため見届けるように言われ…。
終始フランクたちのペースに巻き込まれ続けるブラッドとジャネットは、お城の世界と観客を繋いでくれる存在。でありながら、フランクの影響を受けて次第に2人の中にある「変態」な部分が出てきてしまいます。ノリノリになり始めるブラッドとジャネットを見ていると、こちらまで“もういいや!とにかく楽しもう!”と肩の力が抜けていきます。
振り付け講座&ペンライト&ボイストラップでパーティに参加しよう
一緒に踊ろう!と言われても、なかなか前のめりになれないのが日本人の性。そこで、「感染対策に余念がないぞセブン」が開演前に登場し、振り付け講座を開催!(この時間だけ撮影も可能)『ロッキー・ホラー・ショー』の代表曲「TIME WARP」の振付、楽曲がどこでかかるかを丁寧に教えてくれます。
さらにトゥゲザーグッズを購入すれば楽しさ倍増!常時点灯OKのペンライト、オリジナルマスク、ボイストラップなどが入ったグッズです。ロックでキャッチーな音楽と一緒にペンライトを振っていると、気づけば『ロッキー・ホラー・ショー』の世界のとりこ。ボイストラップはボタンを押すと歓声やブーイング、ラッパ音などを鳴らせるため、声は出せずとも心の叫びを舞台上に届けることができます。
豪華俳優陣×アーティスト集団「東京ゲゲゲイ」が実現した“質の高いおふざけ”
古田新太さんが唯一無二の存在感を放つのはもちろんのこと、小池徹平さん・峯岸みなみさんの俳優魂こもったアドリブ芸、ミュージカル界を牽引するフランク莉奈さん・昆夏美さんの高い歌唱力など、キャスト1人1人の高い技術力が結集して最高のコメディを創り上げます。
振付を手掛けるのは、今大注目のアーティスト集団「東京ゲゲゲイ」主宰MIKEYさん。キュートさとキレの良さを共存させたダンスの数々が作品の魅力を倍増させています。ROLLYさん率いる生バンドが奏でる音楽に乗せて、開放的に踊る豪華キャストを前にして、笑顔にならない人がいるでしょうか。それが平日の昼間であろうと、一緒に踊らずにはいられません。私たちが心豊かに生きていくには、“質の高いおふざけ”が必要なのだと確信させられました。『ロッキー・ホラー・ショー』は2月28日まで上演。チケットの購入・作品の詳細は公式HPをご確認ください。
昆夏美さんの大ファンである筆者は、他のミュージカル作品では堪能できないダンスシーンの数々に、“かわいい!!!”という心の声を抑えるのに必死でした。古田新太さんのフランクが最後ということで、チケット争奪戦になった2022年公演。追加公演が発表されるなど、2022年版『ロッキー・ホラー・ショー』の勢いはまだまだ止まりません。