自宅でもたくさんのエンタメが楽しめる昨今、演劇では臨場感を楽しめるのが特徴的。中でもおすすめなのは「かぶりつき」席です。「かぶりつき」とはどういう席なのか、言葉の由来とは。かぶりつき席がおすすめの作品と合わせてご紹介します。

水や泥をかぶる?!最前列の「かぶりつき」席

劇場の最前列の席を、「かぶりつき」席と呼びます。由来は諸説ありますが、主に2つの意味を持っています。1つ目に、かぶりつくように、至近距離で舞台を見られる席であること。1列目は前に客席がないため、役者の魂みなぎる芝居をまざまざと感じる事ができます。細かい表情や仕草はもちろんのこと、足音まで聞こえてしまうかぶりつき席。まるで作品の世界に自分も入り込んでしまうような臨場感で、感情を爆発させる役者につられて、泣いたり笑ったり、感情豊かに演劇を楽しめる席とも言えます。

2つ目に、江戸時代の歌舞伎で本物の水や泥を使う演目があったこと、それらを被ってしまわないよう、1列目にはかぶりものがついていたことがあります。水ならまだしも、泥が顔や服にかかったら困りますよね。筆者はブロードウェイにて『FROZEN』(アナと雪の女王)をかぶりつき席で観劇した際、降り注ぐ大量の雪(の紙吹雪)を大量に被りました。紙吹雪であればかぶりものはありませんが、現代でも水を使用する作品ではかぶりものを配られることもあります。同様に、相撲では取組中に砂をかぶることもある「砂かぶり」と呼ばれる席があります。

「かぶりつき」席で観たいおすすめ作品は?

かぶりつき席の魅力を体感できるミュージカルの代表作といえば、日本でも何度も上演が行われている『雨に唄えば』ではないでしょうか。なんと14トンの雨が降り注ぐ本作では、エネルギッシュなダンスと共に美しく水が劇場を舞います。前列5列目まで特製ポンチョが付いた「ハッピーレインシート」として販売され、まさに現代のかぶりつき席です。

また、2023年夏に帝国劇場での上演が発表されている『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』もかぶりつき席での臨場感が期待できそうな作品。ブロードウェイ版では前列2列の後ろにミニステージが組まれているため、前列2列は前も後ろもステージに。迫力あるダンスと壮大な世界観のセットに、飲み込まれそうな席です。日本でどこまで再現されるかはまだ発表されていませんが、かぶりつきたくなる作品になることは間違い無いでしょう。

Yurika

作品の全体を観るには5〜8列目あたりがおすすめですが、かぶりつき席では迫力が半端じゃありません!これぞ生のエンターテイメント!と実感できるかぶりつき席。ぜひ一生に一度は味わっていただきたい体験です。