2022年9月5日(月)〜25日(日)PARCO劇場での上演が決まった舞台『桜文』。乃木坂46の久保史緒里さんをヒロインに迎え、脚本に秋之桜子さん、演出に寺十吾さんで上演が決定しました。
明治中期、吉原随一の花魁をめぐる耽美な悲恋の物語
舞台『桜文』は、秋之桜子さんによる書き下ろしの戯曲。秋之さんは、古き良き日本を舞台に、情感あふれる物語をユニークな感性で美しく描きだすことに定評があります。2012 年に自身が立ち上げた演劇集団「西瓜糖」では、大正〜昭和という時代背景に男と女の「生と性」、そして「欲求」を色濃く浮かび上がらせる、艶やかな世界観の作品を上演しています。
演出を手がけるのは、人気演出家の寺十吾さん。秋之さんとは「西瓜糖」の公演で以前タッグを組んだことがあり、お二人の相性の良さには定評があります。
『桜文』の舞台は明治中期の吉原。吉原随一と謳われる花魁の桜雅は、妖艶な佇まいですが、決して笑顔を見せないことでも知られています。桜雅の笑顔を引き出そうと、当代きっての大店である紙問屋の旦那、西条宋次郎は、財力で花魁道中を開きます。花魁道中とは、階級の高い遊女が着飾ってお客を迎えに行くことを指します。
一方、吉原のような世界とは縁のない、堅物で生真面目な小説家志望の霧野一郎。新聞社が、花魁道中の記事を書かせようと白羽の矢を立て、見物に参加させていました。全く笑わない桜雅に、霧野は思わず『笑ってください』と叫びます。その瞬間、桜雅は心の奥に閉じ込めていた想いが呼び起こされ、意識を失ってしまいます。
桜雅が花魁の見習いをしていた頃、心から想いを通わせ合っていた仙太という少年がいました。しかし、仙太はその誠実さと繊細さゆえに、自ら命を絶ってしまいました。霧野は、そんな仙太に瓜二つだったのです。果たして、桜雅と霧野の奇妙な出会いはどんな運命を辿るのでしょうか…。
耽美な世界を体現する、多彩な豪華俳優陣
吉原随一の花魁・桜雅役には、乃木坂46のメンバーであり、女優としても舞台やドラマと精力的に活動している久保史緒里さん。2019年のミュージカル『美少女戦士セーラームーン』で月野うさぎ役を、昨年の『夜は短し歩けよ乙女』では黒髪の乙女役とヒロインを務めた経験があります。そして、桜雅の初恋の相手・仙太役 と、仙太と瓜二つの容貌を持つ小説家志望の青年・ 霧野一郎の二役に、若手個性派俳優として活躍しているゆうたろうさん。
当代きっての大店、紙問屋の旦那・西条宋次郎役に、榎木孝明さん。若い遊女である振袖新造の葵役に、女優・アーティストと多彩な松本妃代さん。桜雅の髪結い・与平役に石倉三郎さん。そして、 石田圭祐さん、阿知波悟美さん、加納幸和さん、木村靖司さん、有川マコトさん、塾一久さんら演技巧者が、明治期の吉原を体現します。
花魁に初挑戦する久保史緒里さんは、ご自身の役柄について「目に見える部分は豪華で美しく綺麗でも、苦しい過去を抱えていたりと、一人一 人の背景を知れば知るほど深い世界だと思います。当時の感じや所作はもちろん、いかに桜雅が過去に抱えている悲しさを表現できるか、というところもポイントになってくると思います。」と話しました。
西条宋次郎役の榎木孝明さんは「男の色気に加えて醜い嫉妬心まで要求されるやり甲斐のある役柄」とのこと。本作について、演出の寺さんは、「文才に恵まれた花魁と美しい言葉や文章に恋焦がれた明治の若き文士との激しくも禍々しい恋の物語。何かに取り憑かれないとこの作品に飲み込まれてしまいます。」と脚本に強い力があると話しました。
舞台『桜文』は、2022年9月5日(月)~25日(日)にPARCO劇場で上演。その後、大阪・愛知・長野にて上演予定です。
秋之さんの強い力を秘めた脚本に、寺さんの作品世界を立体化させる演出でどう立ち上がるのか期待されます。