演劇ファンが注目するNODA・MAP公演、今年は再演シリーズの登場です。2019年の衝撃作『Q:A Night At The Kabuki』が早くも舞台に帰ってきます!

強烈なインパクトを残した野田作品が待望の再演!

NODA・MAPの第23回公演として2019年に上演された、『Q:A Night At The Kabuki』。タイトルのとおり、全編を QUEENの名盤「オペラ座の夜」の名曲が彩るという目新しいコラボレーションが注目を集めました。

開幕後はNODA・MAPでは毎度のことながら、野田秀樹さんの巧みな脚本が話題に。また、この作品が初めての舞台出演となった広瀬すずさんをはじめ、キャスト陣の熱量の高い演技も好評でした。有名なQUEENの楽曲が融合した意欲作は7万人を超える観客を魅了し、第27回読売演劇大賞・最優秀作品賞を受賞しています。

今回の再演では、2019年公演に華を添えた10名の豪華メインキャストが再集合!主演の松たか子さん、上川隆也さん、広瀬すずさん、志尊淳さんのほか、橋本さとしさん、竹中直人さんらが個性的な役柄を再び演じます。さらには、海外公演も行われるとのことで、スケールアップしたプロジェクトとして満を持しての再演です。

楽曲使用のオファーから誕生した、野田イズム満点の脚本

本作でまず目を引くのが、イギリスのロックバンドQUEENの楽曲との全面コラボレーション。「ボヘミアン・ラプソディ」「ラブ・オブ・マイ・ライフ」など、アルバム全12曲分の原盤の音源を公式に使用しています。

QUEENの中でも特にドラマチックな名曲が揃うアルバム「オペラ座の夜」を、演劇として立ち上がらせることはできないか。イギリスと縁が深い野田秀樹さんのもとに届いたQUEEN関係者からのオファーが、『Q』の構想の始まりだったそうです。

名曲の数々にインスピレーションを受け、野田さんが組み合わせたのは、イギリスの劇作家シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』のその後の物語。対立するイタリアの名家同士が巻き起こす抗争から、さらに発想を日本へ飛ばし、源平合戦真っ只中の平安時代の物語として展開します。少しずつ接点をずらしながら、出発地からは遠くにある題材を取り込んでいく、野田イズムに溢れた脚本です。

洋楽サウンド×若き男女の恋物語×日本の歴史。時代も国も超えた3つの要素を融合させた見事としか言いようのないマリアージュは観客を思いもよらぬ結末へと誘います。

【あらすじ】時空を彷徨うロミオとジュリエットが行き着く先は…

12世紀の日本、対立する源氏と平家の憎しみの渦中で、たった5日間の恋に身を焦がす、「源の愁里愛(じゅりえ)」(広瀬すずさん)と「平の瑯壬生(ろみお)」(志尊淳さん)。生まれた家に恋路を阻まれ、すれ違って死を迎えるはずの2人が、もしも生きていたら…。

恋の衝動のままに突き進む若き2人の様子を、「それからの愁里愛」(松たか子さん)、「それからの瑯壬生」(上川隆也さん)の2人が見守り、恋人たちの渦中の視点と俯瞰の視点が折り重なります。次第に複雑になっていく悲恋。時代を越える愛の強さが作品を貫き、その想いの強さを訴えるかのようにQUEENのボーカル、フレディ・マーキュリーの歌声が舞台を包みます。

NODA・MAP久しぶりの海外公演へ!東京・大阪公演もお見逃しなく!

今回の『Q:A Night At The Kabuki』は東京公演を皮切りに、ロンドン、大阪、台北と各地を回るワールド・ツアーが予定されています。特にロンドンはQUEENやシェイクスピアゆかりの地ですし、現地の反応も気になるところです。まだまだコロナ禍の出口を抜けきっていませんが、海外公演のニュースを聞くと、その終わりは近いのではないかと期待も高まりますね。

『Q:A Night At The Kabuki』東京公演は東京芸術劇場プレイハウスにて、2022年7月29日(金)から9月11日(日)まで。チケットの一般発売は7月3日(日)から始まります。また、大阪公演は新歌舞伎座にて、2022年10月7日(金)から10月16日(日)まで。チケットの一般発売は9月10日(土)開始です。国内公演、海外公演ともに、最新情報はNODA・MAPの公式ホームページをご確認ください。

Sasha

筆者はWOWOWでの放送を鑑賞したのですが、出演者の熱量と野田秀樹さんの奇才ぶりに感嘆しました。特に印象深いのが、「ラブ・オブ・マイ・ライフ」の切ないメロディ。日頃から聴き慣れている一曲でしたが、歌詞が舞台上の恋人たちの姿に重なり、強烈に胸を締め付けられました。今回の再演では、劇場の空間で作品を体感できることをとても楽しみにしています。