2021年秋に東京と大阪で上演された劇団☆新感線41周年興行秋公演 いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』を映像化。6月24日(金)よりゲキ×シネとなって全国公開されました。また、8月19日からはドルビーシネマでの上映が決定しています。

ゲキ×シネとは

ゲキ×シネとは、劇団☆新感線の話題作を、映画館の大スクリーンで、高画質・高音質で楽しめる映像エンターテイメント。20台を超えるマルチカメラにより撮影されたカット、迫力のある映像、劇場用にリミックスされた音声で、一般的な配信映像のイメージとはかけ離れた新たな映像空間を体感出来ます。『狐晴明九尾狩』ストーリーについてはこちらの記事から。

パワフルな演技の裏側にある“人間離れ”の努力

初日舞台挨拶には、安倍晴明役の中村倫也さん、タオ役の吉岡里帆さん、賀茂利風役の向井理さんが登壇しました。本作は、演出家・いのうえひでのりさんの、中村倫也さん主演・劇団☆新感線でなにかやりたい、という想いからスタートしたのだそう。そこに座付作家・中島かずきさんが元々構想を練っていた「陰陽師を主人公にした物語」が加わり、生まれた作品が『狐晴明九尾狩』です。

劇団☆新感線には、5年ぶり2度目の出演となる中村倫也さん。「育った場所ではないけど、妙に安心感と信頼感がある全力で甘えられる人たち」だと言います。中島かずきさんとのタッグは初めてながら、「なんでこんな俺のことわかるのかな」と感じるほど、シンパシーを感じる台本だったそう。「『人も妖も共にいてこその都だ』という台詞など、読んでいてすぐ台詞や行動が腑に落ちるものが多かった」と語りました。

写真:山本春花

同じく新感線に2度目の出演となる向井理さんは劇団員・高田聖子さんから言われた、「私たちはスパイスだから。スパイスだけじゃなにもできないから」という言葉が印象に残っているとのこと。「一生懸命やってるだけで新感線の色に染まっていくっていうような劇団」だと話します。

写真:山本春花

対して、吉岡里帆さんは劇団☆新感線初参加。中村さんが「新感線のメインキャストとして出る若い女性のキャラクターに求められる要素はとても大変。コミカルさもそうだし、愛嬌もそうだし、ひたむきさもそうだし、それにはとても体力を使う」と語る、大役を務めました。

写真:山本春花

更に今回、吉岡さん演じるタオは弟のリンを演じる早乙女友貴さんとコンビでの立ち回りも多数。演出のいのうえさんは、“人間離れ”したことを“人間”ができると思って付ける演出が多くあるのだとか。人間離れの演出に、役者魂で「やるしかない」と食らいついた吉岡さんを近くで見ていた中村さんは、「頭や身体が追いついていかない抜け殻状態のりほちゃんを僕は見てて楽しくて好きだった(笑)」と言いつつ、「これだけ一生懸命できる人は少ない。立派な女優さん」とその努力を讃えました。劇団☆新感線のパワフルな舞台の裏側には、俳優たちの凄まじい努力があることがわかります。

衣装や細やかな表情も、大画面でチェック!

吉岡さん演じるタオ・フーリンは狐の霊。とても大きな尻尾と耳がついています。稽古の時と本番のものが違ったそうで、「尻尾と耳の重さに殺陣の動きがついていかないことがあって。本番用の尻尾つけた瞬間に重心が変わってしまい、難易度が上がった」と高度な立ち回りに加えて衣装で苦労したことを明かしました。

向井さんの衣装も、立っているだけで疲れてしまい、あまりの重さに途中で衣装を変更することに。向井さん演じる加茂利風は役の振り幅が大きく、4〜5役分のイメージだったと話します。役に合わせて衣装が変化していきますが、一番重い2幕最後の衣装は変えてもらえなかったそう。

衣装の他にも、声色やテンポにこだわって役作りをしたという向井さん。ゲキシネでは、映像で細かいところを見られるのが魅力。向井さんの細やかな表現に注目して観ていると、物語にも新たな発見があるのではないでしょうか。

『狐晴明九尾狩』は本日6月24日(金)から全国の映画館で上映開始です。公式ホームページはこちら

写真:山本春花
ミワ

迫力ある殺陣のシーン等、舞台の客席からは絶対に観ることのできない角度から映像で観ることのできるゲキ×シネ。公演を劇場でご覧になった方も、ぜひゲキ×シネの新たな視点で観て楽しんでいただきたいと思います。