今年4月から全国の映画館で順次公開中なのが、『サタデー・ナイト・フィーバー』と『フラッシュダンス』のデジタルリマスター版。ぜひ映画館で観ていただきたい理由は、音楽と映像の融合「MTVムービー」と言われるジャンルにあります。今、MTVブームが再来しているんです!

MTVとは?

MTVは、ミュージック・テレビジョンの略。1981年に開局しました。PVを中心に、24時間音楽を専門に放送するアメリカのテレビチャンネルです。現在はポピュラーになったミュージックビデオを、音楽を視覚的なイメージと融合した新しい表現方法として普及させました。

そして、「MTV映画」と言われるものが、1980年代前半頃に誕生。ミュージックビデオ的シーンを多く挿入し、1本の作品として完成させたものになります。映画と音楽が一体化した新しいジャンル。音楽がセリフの代わりを果たし、セリフがなくても、曲が流れているだけでストーリーが伝わってきます。

サウンドトラックが大人気。ディスコ・ブームを再燃させた『サタデー・ナイト・フィーバー』

MTV映画についてお話する前に、映画のサントラが世界で4000万枚を売り上げ、ディスコ・ブームに火をつけた『サタデー・ナイト・フィーバー』の存在が欠かせません。ディスコ時代を取り巻く、音楽、ダンス、サブカルチャーのあらゆる側面を浮き彫りにした映画史に残る作品です。

『サタデー・ナイト・フィーバー』は、ミュージカルのスタイルのダンスシーンではなく、バックに流れるディスコミュージックに合わせて踊るという、物語上、リアルな設定でのダンスシーンだったことが当時は斬新なスタイルでした。また、それまではなかった「ダンス映画」というジャンルが本作で生まれました。『サタデー・ナイト・フィーバー』は1977年に公開され、その後のMTVブームへの先駆けとなったと言えるでしょう。

最初のMTVとも言われる『フラッシュダンス』

MTVが1981年に開局してから、1983年に『フラッシュダンス』が公開されるまでの2年間でミュージックビデオが広まって、世の中に認知されるようになりました。「フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング」「Maniac」などのサントラが大評判になった本作。各ナンバーの流れるシーンが、その曲のPVのように演出されました。

物語と映像とが巧みに連動し、視覚と聴覚に訴えかけるMTVはたちまち人々を虜に!『フラッシュダンス』の主人公のアレックスは、昼間は製鉄所に勤務し、夜はナイトクラブのダンサーとして働いています。そのナイトクラブでのパフォーマンスをシルエットで見せるナンバー、そしてクライマックスでのアレックスのオーディションなどは、当時日本のバラエティ番組などで多くのパロディや引用がされ、社会現象的なブームを巻き起こしました。

MTVムービーの象徴『フットルース』

MTVムービーの象徴とも言える作品の1つに『フットルース』(1984)が挙げられます。MVを映画にしてしまおうという「MTVムービー」ですが、素敵な楽曲をMTVムービーという形で生かしたことで成功したと言えるでしょう。『フットルース』といえば、主人公がヘッドホンを着けている後ろ姿のメインビジュアルが印象的です。あのビジュアルは「ウォークマン」を身につけているのですが、当時アメリカで本作をきっかけに一気に広がったんだそうです。

『サタデーナイト・フィーバー』『フラッシュ・ダンス』リマスター上映

なんと『サタデーナイト・フィーバー』と『フラッシュ・ダンス』のリマスター上映が現在行われています。「リマスター」というのは、主にフィルムで撮影された映画を、デジタルデータに変換して修復する作業のこと。上映用のフィルムは上映を重ねるごとにキズなどが付き、劣化していってしまいます。リマスターという作業を行うことで、何十年も昔の映像を色まで鮮やかに甦させることが可能です。当時の美しい色合いを再現して上演するのがリマスター上映となっています。

東京では、アップリンク吉祥寺で2作品とも観ることができます。『サタデーナイト・フィーバー』が7/8(金)から、『フラッシュ・ダンス』7/22(金)から公開です。

ミワ

現在続編が公開されている映画『トップガン』もMTVムービー。音楽と映像がピッタリハマっているとテンションが上がります!ぜひこの機会に劇場で体感してください。