学生時代に一生懸命に取り組んだことにもう一度チャレンジできる…そんな企画があったら、あなたは挑戦しますか?今回ご紹介するのは、アメリカで話題になったリアリティ番組。高校時代にミュージカル上演に取り組んだ大人たちが数十年ぶりに集結し、同じ演目の再演に挑みます。

大人になった「かつての高校生」が思い出のミュージカル上演に挑む

ディズニープラスで独占配信されている、同窓会型リアリティ番組『アンコール!』。1話60分、アメリカ各地の高校を舞台に、その高校でかつて上演されたミュージカルの再演までの稽古と本番の舞台裏に密着します。出演するのは上演当時と同じメンバーで、卒業から数十年が経った大人たちです。

ミュージカルが身近な文化であるアメリカでは、高校でもミュージカルの上演活動が盛ん。毎年、州ごとに上演のクオリティを競うコンテストが開催されるなど、高校生たちは一致団結して舞台作りに打ち込みます。この番組に出演する卒業生たちにとっても、ミュージカル公演の思い出は今でも大きな糧になっている様子。長い年月を経て、すっかり舞台から離れてしまった彼らが、当時のままの配役で再演に挑みます。与えられた準備期間はたったの5日。プロの演出家や振付家、音楽監督たちが指導し、短期集中型で「初演」を越えるクオリティを目指します。

エピソードは全12話。各回で取り上げられるミュージカル作品は『アニー』、『美女と野獣』、『サウンド・オブ・ミュージック』といった日本でも馴染みのあるものから、アメリカらしい題材の『ラグタイム』までさまざま。舞台に挑むまでのドキュメンタリーがメインなので、ミュージカル作品の内容にはあまり触れられませんが、作品の設定や役柄を知っていると、過去の自分が演じた役に向き合う大人たちの心情を理解しやすくなるかもしれません。

ミュージカルを上演するまでに密着!大人たちの青春ドラマ

番組の最初に登場するのは製作総指揮のクリスティン・ベル(『アナと雪の女王』アナ役声優など)。その回の舞台となる高校と演目、出演者を紹介します。かつては同じミュージカルの舞台に立った仲間たちですが、現在の生活は人それぞれ。卒業から数十年も経っていれば、久しぶりに顔を合わせるだけで彼らにとっては一大イベントです。毎回、最初の再会のシーンは大盛り上がりで、見ているこちらまで頬が緩んでしまいます。

再会の感動に浸るのもそこそこに、5日間の特訓が始まります。まるで青春を取り戻したかのように、歌や芝居、ダンスの練習に取り組む出演者たち。年齢を重ねたからこそ、役柄をさらに深めていく人。当時は越えられなかった壁に改めて挑戦する人。他のメンバーと自分を比べて自信を失くしてしまう人。技術的にも、精神的にも、集まったメンバーそれぞれに本番までの課題があり、一生懸命にその課題と向き合います。

稽古の合間には、近況を語り合う時間も。年月が経ったからこそ、「あの時は言えなかったんだけど…」と言えなかったありがとうやごめんねを伝えたり、職場では誰にも相談できずにいる悩みを打ち明けたりと、自己開示をして仲間との信頼を築いていくメンバーたち。それぞれが短い時間で挑戦を積み重ねて、一体となって舞台の成功を目指します。

出演者も観客もドッキドキ!一度きりのステージは成功となるか

再会して5日で迎える本番当日。ギリギリまで調整が行われるなか、「親として、勇気さえあればなんでもできることを子供に証明したい」、「仲間と一緒にとにかく楽しみたい」と出演者が本番への意気込みを語ります。家族や友人が会場に集まり、挑戦した大人たちの一度きりのステージの幕が上がります。

開演すると、スポットライトを浴びて歌うパパやママの姿に子供たちは大喜び。人生を共有してきた家族や恋人、友人の中には目に涙を浮かべる人もいて、あたたかい客席の応援が舞台上の出演者を勇気づけます。

舞台裏では、次のシーンが分からなくなって焦ったり、台本を手にギリギリまで練習したりと慌ただしい様子。そんな一生懸命な姿からは、舞台をいいものにしよう、という気合いが伝わってきます。うまくいかないハプニングが起きたとしても、ショー・マスト・ゴー・オン。人生の酸いも甘いも経験してきた出演者たちは、互いに支え合い、励まし合ってラストシーンまで駆け抜けます。

過去の経験に再び挑戦すること、今持てる最大限の力で挑むこと、どちらもとても勇気と行動力がいるものです。自分と向き合い、仲間と向き合って頑張る出演者の姿に、きっと勇気を分けてもらえるはずです。『アンコール!』視聴はこちら

Sasha

出演者たちはプロの俳優ではないからこそ、稽古を重ねて表情が変わっていく様子がダイレクトに伝わります。演じたり歌ったりすることで、本人の心が動いていく。そんな表現の力を感じられるのもこの番組の魅力だと思いました。