過去に2回上演され人気を博した『気づかいルーシー』が5年ぶりに帰ってきます!大人計画の松尾スズキさんの絵本を、ノゾエ征爾さんがオリジナルの音楽劇として舞台化した本作。子どもだけでなく、大人も楽しめると好評の作品です。
噛み合わない気づかいの様をユーモラスに描く
『気づかいルーシー』は、東京芸術劇場で2015年に初演、17年に再演された人気音楽劇です。原作は、阿部サダヲさん等が所属する劇団・大人計画の脚本家、松尾スズキさんの絵本『気づかいルーシー』。岸田國士戯曲賞受賞で劇団はえぎわ主宰のノゾエ征爾さんが、歌と踊りありの、オリジナル音楽劇として舞台化しました。
ルーシーは、ある村で、おじいさんと暮らす女の子。ある日、おじいさんは馬から落ちて死んでしまいます。馬は、ルーシーを悲しませないように気づかい、おじいさんの皮をはいで、かぶり、おじいさんになりすまします。ルーシーはそのことに気付いていながら、馬の努力を気づかい、知らないふりをします。
成長したルーシーは王子さまと恋に落ちますが、なんと王子は余命3ヶ月。一方、おじいさんは実は生きていて、中身だけのままルーシーを見守っていました。そして、ルーシーを気づかい全身にペイントをして、王子になりすまします。
しかし、ついにふたりが結婚、という瞬間、おじいさんの皮をかぶった馬が待ったをかけて…。予想もしない事態が発覚していきます。ルーシーとルーシーを取り巻く人や動物の噛み合ったり、噛み合っていなかったりする、気づかいが積み重なった、「忖度」を描いた作品です。
ジェンガのような舞台セットは、「気づかい」と「木使い」がかかっていて、話だけでなくセットにもユーモアが溢れています。
ルーシーの生き写し?!岸井ゆきのさん率いるキャスト陣
初演時に、原作者の松尾スズキさんに「ルーシーの生き写し」と言われていた、岸井ゆきのさん。今回で、3度目のルーシー役になります。『友達のパパが好き』等の映画やドラマといった映像作品から舞台まで幅広く活動する俳優です。
岸井さんは、再演のときから、「またやりたい」と話していたそう。「『気づかいルーシー』は、気づかいの根底にある優しさでこじれていってしまう物語ですが、思いやって生きていこうと思える瞬間が幸せと感じたり、公演中、お客様と出演者の境界線がなくなり、皆で手を取り合っているような感覚になったりする舞台」と言います。
そして、おじいさん役の小野寺修二さん。マイムを使って自身でも舞台制作を行っている他、俳優活動も盛んに行っています。小野寺さんも3度目の出演。おじいさん役は、外身を剥がれた後の中身も演じます。小野寺さんは、「周りの人にこの作品の説明をするたび、奇妙さに嬉しくなる」そう。
本年より新キャストとして加わるのは、馬役の大鶴佐助さん。大鶴さんは、紅テントでの公演で有名な劇団・唐組主催の唐十郎さんの息子です。唐組芝居はもちろん、『シラノ・ド・ベルジュラック』や『パンドラの鐘』に出演するなど、活躍されています。「僕の肉体が入る事により出来上がる事象が僕自身楽しみですし、未知なので飛び込みたいと思います」と話しました。本作に複数回携わるキャストがほとんどの中、大鶴さんが新しい風を吹かせてくれるのが楽しみです。
8月3日(水)にプレビュー公演、8月4日(木)〜8月14日(日)に東京芸術劇場シアターイーストにて上演されます。その後全国にて上演予定。詳しくはこちらから。
再再演ということで、5年前とは状況が大きく変化した中で、今回新たな演出が増えるのか注目です。