歴史あるPARCO劇場にて、50周年記念シリーズのひとつとして今春上演される『ラビット・ホール』。どのような作品なのか、また制作陣やキャストについても紹介したいと思います。
幼い息子を失った夫婦が、希望を取り戻していく。
本作は、デヴィッド・リンゼイ=アベアーさんによる戯曲が原作で、2007年にはピューリッツァー賞戯曲部門を受賞しています。
物語の舞台は、2000年代初頭のアメリカ。主人公ベッカと夫ハウイーは、交通事故で4才の息子ダニーを失います。悲しみに包まれた二人ですが、その向き合い方がお互いに異なるが故、夫婦の心の溝は深まる一方。ベッカの妹イジーや母ナットも彼女を慰めようとしますが、いずれもベッカは強く当たってしまいます。そんな中、事故で息子を轢いた高校生ジェイソンから手紙が届き‥‥。
再演が重ねられた名作が、2023年版の実力派キャストで。
1973年から続くPARCO劇場が、今年に50周年という節目を迎えます。その記念シリーズの1つとして上演される『ラビット・ホール』。この作品は、2010年にニコール・キッドマンさん主演で映画化されたことでも有名です。彼女はアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞といった数多くのノミネートを受け、シン・ユーフォリア主演女優賞などを受賞しました。
世界中で、そして日本でも幾度となく上演されているこの至高の名作。今回演出を担当するのは藤田俊太郎さんです。『ジャージー・ボーイズ』『天保十二年のシェイクスピア』『NINE』などの人気作を手がけ、数々の演出家賞や作品賞に輝いている彼が、この名作と観客をどのように橋渡ししてくれるのでしょうか。
キャストも実力派揃いです。まずは、主人公ベッカを務める宮澤エマさん。舞台『女の一生』『ウェストサイド・ストーリー』などで活躍し、映画『記憶にございません!』(2019)や昨年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』出演でも話題になりました。今作で満を持して舞台初主演となる彼女が、ベッカという人物をいかに捉え描くのか、楽しみです。
相手役である夫ハウイーを演じるのは成河さん。『熱海殺人事件〜平壌から来た女刑事』をはじめとする、つかこうへいさん演出の作品に数多く出演しています。不朽のミュージカル『エリザベート』では暗殺者ルキーニ役を熱演するなど活躍が目覚ましい彼ですが、今回のハウイーとして魅せる顔も見逃せません。
妹イジーは、土井ケイトさん。玉木宏さん主演の『危険な関係』にも出演していた彼女は、蜷川幸雄さんが主催していた劇団さいたまネクストシアターの一期生で、アメリカ留学の経験も。彼女が今作をどのように彩るのか、期待が高まります。
事故を起こした高校生ジェイソンは、阿部顕嵐さんと山﨑光さんがダブルキャスト体制で務めます。阿部さんは7人組ボーイズグループ7ORDERでメインボーカルを務め、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』などでファンを魅了。山﨑さんは子役としてデビューし、NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(2012)やCMなど多岐にわたって活躍しています。物語のキーとなるジェイソンですが、このお二方による役のアプローチや、その違いが気になるところです。
最後に、主人公の母ナットを演じるシルビア・グラブさん。第34回菊田一夫演劇賞や第19回読売演劇大賞優秀女優賞などを受賞し、類稀な歌唱力と存在感を放つ芝居で日本のエンタメ界を大きく支えてきました。彼女が今作にもたらす豪華さと安定感は言うまでもないでしょう。
25才以下は5000円お得になるU-25チケットも!
舞台『ラビット・ホール』は2023年4月9日~25日まで、渋谷のPARCO劇場にて上演。一般発売は2月11日から始まります。また、一般料金11000円のところ、(一部取り扱いにて)観劇時25歳以下の方対象で6000円になるU-25チケットも用意されています!秋田・大阪・福岡での公演も予定されているようなので、いずれも公式サイトにて詳細をご確認ください。
この作品を初めて知る方でも、家族や幸せといった普遍的なテーマが詰まったこの作品を観て、自分なりの希望の光を探す手がかりが見つかるのではないでしょうか。