昨年シス・カンパニーの『ザ・ウェルキン』で母娘初共演を果たした女優の那須佐代子さんと凜さん。那須佐代子さんがオーナーを務める劇場「シアター風姿花伝」で、家族の関係性について描かれた『おやすみ、お母さん』が1月18日(水)〜2月6日(月)の間上演されています。
風姿花伝プロデュース新作公演『おやすみ、お母さん』
目白通り沿いに位置する、客席数 100 席ほどの小劇場「シアター風姿花伝」。2014 年よりスタートした主催事業「風姿花伝プロデュース」は、気鋭の演出家と熟練の俳優陣による濃密なセリフのやりとりによる、緊張感ある翻訳劇をつくり上げることで定評があります。現在、年一本のペースで上演しており、数々の演劇賞を受賞。演劇界での注目を高めています。
『おやすみ、お母さん』は、ミュージカル『カラーパープル』でも知られるアメリカの劇作家マーシャ・ノーマンの作品。「親と子」「生と死」という究極の問題が描かれた、母・セルマと娘・ジェシーの二人芝居となっており、1983年度ピューリッツァー賞を受賞した名作です。
母・セルマ役を「シアター風姿花伝」のオーナーでプロデューサーでもある女優・那須佐代子さんが演じます。娘・ジェシー役には期待の新人に贈られる読売演劇大賞杉村春子賞を受賞した女優・那須凜さんという実の母娘で挑みます。
翻訳・演出は、現在、新国立劇場演劇部門の芸術監督であり、人物の感情の機微の表現に長けている小川絵梨子さん。小川さんが昨年演出を務めた、風姿花伝プロデュース VOL.8『ダウト〜疑いについての寓話』は小田島雄志翻訳戯曲賞、ハヤカワ悲劇喜劇賞を受賞しています。
「親と子」「生と死」に向き合う
『おやすみ、お母さん』は、これまでに日本でも幾度か上演された戯曲ですが、実の親子が演じるのは恐らく初めてのこと。
小川さんは翻訳してみて、改めて、本作を本当の親子同士で演じるのは、お互いすごく傷つくんじゃないか、かなりきついんじゃないかと心配になったそう。稽古の際には終わりにゲームをやるなどの対策をとって、オンとオフをきちんと切り替えられるようにケアがされている稽古場になっているようです。昨今話題にも上がっている稽古場の「安全性」。俳優たちのメンタルケアも大切になっています。
『おやすみ、お母さん』は、娘のジェシーが母・セルマに向かって「ピストルで自殺する」と告げたことから始まります。初めは冗談だろうと取り合わないセルマでしたが、話をしていくうちにジェシーは身辺整理や、葬儀の段取り、形見分けの手配まですませていることが分かります。
必死に止めるセルマと母が一人でも生きていけるようにとこれからの生活について話すジェシーの数十分のやりとりが描かれています。
風姿花伝プロデュース vol.9『おやすみ、お母さん』は1月18日(水)〜2月6日(月)に東京・シアター風姿花伝にて上演です。詳しくは公式HPをご確認ください。
とても濃密な会話劇。緊迫感のあるお芝居を観劇した後には、シアター風姿花伝の下にあるCOFFEE STANDで美味しい珈琲をいただいてみては。