日本で唯一無二の存在感を放ち続ける劇団☆新感線が2023年春公演に選んだのは、三宅健さんを主演に迎えた「新感線流、任侠シェイクスピア」。3月10日から東京建物 Brillia HALLで上演される『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』とはどのような作品なのでしょうか?

戦後の港町に生きるヤクザのオセロ?!

劇団☆新感線×シェイクスピアといえば、宮藤官九郎さんも加わってシェイクスピア『マクベス』をヘヴィメタルテイストへと仕上げた『メタルマクベス』を思い起こす方も多いのではないでしょうか。しかし『港町純情オセロ』はロック音楽を使った新感線Rシリーズや『髑髏城の七人』を始めとするいのうえ歌舞伎シリーズとは異なる、劇団☆新感線の中でも異色の作品。

シェイクスピア4大悲劇の1つである『オセロー』を元に、戦前・戦中の関西らしき場所にある港町、混沌とした時代に生きるチンピラヤクザたちの人情悲喜劇となっており、青木豪さんが翻案・書き下ろしを行い、2011年に上演されました。

2023年に再演されることとなった『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』は、物語の舞台を、戦後のアメリカ文化が流れ込んできたポップな時代に改めて書き直し。関西の港町・神部をシマに戦後の混乱の中で勢力を拡大した沙鷗組で、ブラジルの血を引く若頭筆頭、亜牟蘭オセロを主人公に、巻き起こる悲劇を描きます。

とは言え、新感線ならではの歌って・踊って・笑える要素も盛りだくさんとのこと!新感線イズムはそのままに、シェイクスピアの名作悲劇に挑みます。

三宅健がついに劇団☆新感線、初参加!

本作の主演を務めるのは、劇団☆新感線作品を何度も観劇したことがあるという、三宅健さん。人懐っこい愛らしいイメージはありつつも、ダンスや舞台作品にストイックに向き合う姿も印象的な三宅さんが、“関西のヤクザ”としてどう変貌を遂げるのか、楽しみでなりません。

そしてオセロの妻・モナを演じるのは、『リチャード三世』をベースに昭和の歌謡界を描いた音楽劇『歌妖曲 〜中川大志之丞変化〜』での好演が記憶に新しい、松井玲奈さん。

モナに横恋慕する市議会議員の三ノ宮一郎を演じるのは、幅広い役柄をこなす劇団☆新感線メンバーの粟根まことさん。

オセロの部下・汐見丈を演じるのは三宅さんの後輩であり、ミュージカル『Endless SHOCK』『四月は君の嘘』『マイ・フェア・レディ』など舞台作品での活躍が続く寺西拓人さん。

オセロを貶めようとする原作のイアーゴー的立ち位置を、本作では高田聖子さん演じる先代組長の未亡人アイ子が務めます。劇団☆新感線に欠かせない存在である高田さんが、三宅さん演じるオセロをどう翻弄していくのでしょうか。

2023 年劇団☆新感線 43 周年興行・春公演Shinkansen faces Shakespeare『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』は3月10日(金)〜3月28日(火)まで東京建物 Brillia HALLにて上演、4月 13日(木)〜5月1日(月)までCOOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて上演予定です。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

チケットぴあ
Yurika

原作では愛するが故に盲目的になり、嫉妬に狂っていくオセローの悲劇が描かれています。新感線流、任侠シェイクスピアではどのようなオセロに仕上がるのか、楽しみです。