ミュージカルファンの読者の方が多いAudience。小劇場演劇を観たことがない方や、たくさん上演しているものがあり、どれを観たらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、Audience編集部が独断と偏見で4月に上演している作品の中からおすすめ作品を3本セレクトしてみました!

フィクションをドキュメンタリーのように演出する「モキュメンタリー」作品。ゆうめい『ハートランド』

「ゆうめい」は、舞台作品・美術・映像を制作する団体として2015年に設立されました。 自身の体験や周囲の人々からの「自分のことを話したい」という声を出発点に、表現と発表をし続け、現実に新たな視線や変化を見つけることを目指しています。​実体験や取材に基づいて作品を描き、時には実際の人物を出演させて作品を作り上げてきました。

今作では、フィクションをドキュメンタリーのように演出する「モキュメンタリー」かつエンターテイメントとしても成立する作品を目指しているのだそう。映像演出やモーションキャプチャーによるVR映像も使用し、劇場での演劇表現だけではないメタバース的なコミュニティも同時に描く演出を行う予定とのことです。

キャストには、三谷幸喜さんが主催する劇団「東京サンシャインボーイズ」の中心メンバーで、舞台・映画・テレビ・ラジオと幅広いジャンルで活躍。新国立劇場で上演された『貴婦人の来訪』では主演を務めた相島一之さん。
ブロードウェイミュージカル『ドリームガールズ』でローレル・ロビンソンを好演し、注目を集めている文学座の新鋭saraさんらが出演します。

『ハートランド』は、都心から遠く離れた山奥の駆け込み寺的なコミュニティが舞台。色恋沙汰や階級制度、性別における特権や差別といった競争の生きづらさから逃れ、田舎での生活を願い様々な理由から集まる人々が登場します。

​数年前、『ハートランド』という名の映画の公開日。
岡は、劇場映画をビデオカメラで撮影し海賊版の制作をしていた須田を映画館で捕まえます。
岡はそれを機に、商業映画の監督である父の影響もあって、映画監督を志します。

数年後、岡は俳優の相葉とのモキュメンタリーを撮影しに相葉の地元へと向かっていました。
相葉が幼少期から馴染みのあるハートランドという店に寄ることに。そこは昼間はブックカフェ、夜はバーやライブスタジオ、そして様々な背景を抱えた人々が集まってくる駆け込み寺。

久々に店に訪れた相葉でしたが、どこか様子が変わっていることに気付きます。
相葉の知り合いによると、ハートランドに外国人のユアンが駆け込んできたことにより関係が崩壊したのだそう。ユアンに惚れ込んだ人たちの中に、かつて自分が映画館で捕まえた須田がいることを岡が知って…。

ゆうめい『ハートランド』は、4月20日(木) 〜 4月30日(日)東京芸術劇場シアターイーストにて上演です。公式HPはこちら

とある男性に裏切られた女性たちによる“妄想復讐劇” 劇団皇帝ケチャップ 第15回本公演『虚しさだけがいつも傍にある』

演出家・脚本家の吉岡克眞さんが主宰を務める「劇団皇帝ケチャップ」。
日常会話を中心に、人間の関係性が変わる瞬間やひた隠しにしている感情が浮き上がった瞬間に生まれるドラマを切り取った作品が特徴です。

『虚しさだけがいつも傍にある』は、とある男性に裏切られた女性たちによる“妄想復讐劇”。仲村伊織は、長年付き合っている恋人の伊藤拓馬から、結婚の話がいつ切り出されるかと待ち続けていました。しかしある日、後輩の鈴本若葉に呼び出され、「拓馬さんと結婚するので別れてほしい」と言われる伊織。
拓馬が、同時に複数の女性と付き合っていることが判明し…。

本公演には、劇団かもめんたるの野口詩央さんが出演。野口さんは、1月に上演された劇団かもめんたる『奇事故』で、海賊のキャプテンになる催眠術をかけられ、そのまま一生を過ごすこととなる少女・雉子を好演しました。

劇団皇帝ケチャップ 第15回本公演『虚しさだけがいつも傍にある』は、4月19日(水)~4月23日(日)に、東京・浅草九劇にて上演です。公式HPはこちら

叔父と甥の2人が過ごしたお葬式の後の短くて静かな夜を描く。劇団しようよ『メーフ』

劇団しようよは、2011年に作家・演出家の大原渉平さんと、ミュージシャンの吉見拓哉さんによって旗揚げされました。観客の想像力を呼び起こし、時空間を超えるダイナミックな演出と、劇伴音楽の生演奏などが特徴です。2015年に、第6回せんがわ劇場演劇コンクールでオーディエンス賞を受賞しました。

主な作品に、モンゴル民話「スーホの白い馬」を地方都市で起きた失踪事件と放火事件の物語に読み替えた『スーホの白い馬みたいに。』、少年と謎の生物をめぐるファンタジーが現実と結びつく、人形劇『パフ』。そして、柴幸男さんによる女性の人生が描かれた作品『あゆみ』を父親目線から再解釈した劇団しようよ版の『あゆみ』などがあります。

『メーフ』は、34歳のボクと4歳の甥っ子・ガクの、お葬式の後の短い夜の物語です。

1月に福島県の富岡演劇祭で上演しており、 4月はブラッシュアップしての上演となります。

ガクを演じるのは、東京デスロックの夏目慎也さん。 東京デスロックには2001年の旗揚げから参加しています。木ノ下歌舞伎『黒塚』『東海道四谷怪談ー通し上演』や、劇団しようよには『パフ』『セミヘブン』に出演しています。
ボクを演じるのは、KAKUTAの矢田 未来さん。
北九州芸術劇場プロデュース『彼の地Ⅱ〜逢いたいひ、と。』、KAKUTAのとびだす童話『ねこはしる』、カクタラボ『明後日の方へ』、KAKUTA第30回公演『或る、ノライヌ』などに出演しています。

劇団しようよ『メーフ』は、4月20日(木)〜4月23日(日)にせんがわPOSTOにて上演です。公式HPはこちら

ミワ

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