フランスで2016年に初演され、なお人気が衰えない舞台『エドモン』が、加藤シゲアキさん主演で待望の日本初演!笑いあり、時には涙あり…と、目まぐるしく展開し本当にあっという間でした。※あらすじなどの詳細はこちらの記事をご覧ください。(2023年4月・新国立劇場 中劇場)
常に巻き起こるトラブル!目まぐるしく展開する「幕内コメディ」
とにかく展開が流れるように早い!エドモンがトラブルに巻き込まれ、ムッシュ・オノレが営むカフェで構想を練った後、次の場面では戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』の稽古…。エドモンが台本を書き上げ、舞台の初日を迎えるまで、見どころも盛りだくさんでテンポよく進み、約2時間10分の上演時間が一瞬でした。
「幕内コメディ」ということで、セットもどうなるんだろう…と思いましたが。(パンフレット内に記載されたマキノさんのお話によると、脚本では全82場、セリフのある登場人物だけで50役以上あり。今回の出演者12人だけで上演すると81回の舞台転換がある計算になるとのこと…。)
パリの街頭や、舞台からみた客席の様子など、場面に応じた風景が舞台後方の大きなスクリーンに映し出され、天井から時々に応じたセットが降りてくるという仕様。その他にも転換に様々な工夫が施されており、途切れることなく没入感に浸ることができました。
実在の人物も登場し、当時のフランスの歴史的背景も盛り込まれている今作。ある程度の知識がないと理解できないのでは…と思われるかもしれませんが、しっかり劇中でフォローもされているので安心して楽しめました。
圧倒的なセリフの中に散りばめられた心残る言葉
常に「書けない」という焦りとともに、次々と巻き起こるトラブル…。しかし、エドモンは諦めてしまいそうな場面でも、ムッシュ・オノレをはじめとする信じてくれる人の言葉で考えを改めたり、新たな構想の種を見つけ、事態を打開していきます。圧倒的なセリフ量の中でも、誰かを鼓舞する言葉はどれも心に響くもので、いかに自分自身を信じてくれる人の存在が大切なのかを痛感しました。
また舞台人のお話ということで、舞台に関わる方々にとっては「あるある」エピソードとのことですが。締切に追われる様子や、周りの意見が入り内容を再考しなければならない…など、他の仕事にも共感できる部分も多く、筆者自身はかなりエドモンに対して感情移入して観てしまいました。
『エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~』は、4月22日(土)より大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールで上演されます。当日券も販売されますので、まだ観劇されていない方はぜひチェックください!公式HPはこちら
もちろん、コメディなのでクスクスと笑える場面もたくさん!(最後は思わずうるっとしてしまいましたが…。) 予習なしでも楽しめますが、もっと深く楽しみたいという方は、映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』を観てから観劇するのもオススメです。