4月11日から日生劇場にて開幕したブロードウェイミュージカル『ザ・ミュージック・マン』。心がウキウキして元気をもらえる魅力いっぱいの作品でした。公演初日と２日目に観劇した筆者が今作のレポートをお届けします！※ネタバレ注意

観終わったあとはハッピーな気分に！元気をもらえる王道のミュージカル

ブロードウェイミュージカル『ザ・ミュージック・マン』は、これぞミュージカルと言える歌とダンスがメインの王道作品。心に響く深さがありながら重さは一切なく、オープニングからエンディングまでウキウキした気持ちのまま楽しめます。大勢のキャストによる歌唱やダンスシーンは圧巻！コメディ要素が強めですが、予想外にじわじわと涙が溢れる場面もあり、観終わったあとで元気をもらっていることに気付きます。

坂本昌行さんが演じる主人公のハロルド・ヒルは、マーチングバンドを結成するという名目で楽器やユニフォームの賃金を騙し取る詐欺師。頑固者のリバーシティの住民たちも、まるでハロルドから催眠術をかけられたかのようにダンスを踊って歌い架空のマーチングバンドの話を受け入れます。口が上手く胡散臭いハロルドになぜみんな心を許すのか。それはハロルド自身が楽しみながら歌やダンスを教えているのが伝わってくるからかもしれません。

またハロルドがピアノ教師で図書館司書のマリアンを落とそうとガンガン口説く姿には、観客として観ていてもキュンキュンします。ずっとアプローチを拒否していたマリアンが次第にハロルドに惹かれていく過程も見どころです。（『ザ・ミュージック・マン』の作品についてはこちら）

指揮者が役者に！？オープニングの演出で物語の世界へ

今回ミュージカル『ザ・ミュージック・マン』のオーケストラで指揮を担当しているのは、森亮平さん。2015年に『レ・ミゼラブル』でミュージカルの指揮者デビューを果たしたのち、多くの作品でオーケストラの指揮や音楽監督を担当しています。名前は知らなくても、過去にオーケストラのあるミュージカルを観劇された方は顔に見覚えがあるかもしれません。

今作のオープニングはオーケストラピットの森さんが、役者のひとりとして参加する形で始まります。予想外の演出に私は鳥肌が立ち、見事に心を掴まれました。この瞬間から観客は、『ザ・ミュージック・マン』の世界へ引き込まれていくのではないでしょうか。私はお気に入りの3階B席からの観劇だったため、作品と合わせて森さんの指揮も楽しめました。森さんのパフォーマンスをしっかり見たい方は、2階席より後方のチケットを入手し、開演時間に遅れず着席することをおすすめします。（関連記事：安いだけじゃない！ミュージカルの観劇に後方席をおすすめする3つの理由）

素敵な詐欺師！？見惚れるキャストとクセになるメロディ

ミュージカル『ザ・ミュージック・マン』は、キャスト陣がとても魅力的。主演のハロルド・ヒルを演じる役者は坂本さん以外に想像できないというくらいのハマり役です。しなやかで美しいダンスや、女性をスマートにリードする身のこなしは釘づけになるほどのかっこ良さ。詐欺師としての胡散臭さはありつつも、キラキラした笑顔や子供たちと接する時の優しい表情からは目が離せません。また花乃まりあさんが演じたマリアンも賢さと美しさを兼ね備えた女性。時折見せる気の強さがとても可愛らしく感じられます。

『ザ・ミュージック・マン』はマーチングバンドが題材になっているだけあり、楽曲も手拍子をしたくなるようなリズミカルなものばかり。中にはいつまでもメロディが耳に残り、クセになるものもあります。私のお気に入りは、小田井涼平さんの演じたハロルドの元詐欺師仲間・マーセラスが歌う「シプーピー」、森公美子さんが演じた町長夫人のユーレイリーとマダムたちが歌う「コソコソヒソヒソ」という楽曲です。観劇の遠征から帰って来てからもしばらく頭の中から離れず、つい口ずさんでしまいました。

皆さんもきっと観劇後、愛嬌のあるリバーシティの住民たちと『ザ・ミュージック・マン』の楽曲が大好きになっているのではないでしょうか。

カーテンコールまで楽しめる！観客も手拍子で参加のパフォーマンス

『ザ・ミュージック・マン』の楽しさは本編だけでは終わりません。カーテンコールにもお楽しみが待っています。ミュージカルのカーテンコールは、キャストが登場しお辞儀や挨拶をするスタイルが一般的。拍手をする観客の熱量に応え、キャストが何度もステージ上に登場するというパターンが多いのではないでしょうか。『ザ・ミュージック・マン』ではカーテンコールでもパフォーマンスがあり、観客も手拍子で参加します。体で思わずリズムを取ってしまうほど楽しく幸せな時間は、会場全体が笑顔で溢れているはず。ミュージカルを観劇していて物語が終盤に近付くと「もうすぐ終わってしまう」と寂しくなることもありますが、今作では「まだ楽しみがある！」と得した気分になれますよ。

ブロードウェイミュージカル『ザ・ミュージック・マン』は、東京公演終了後も愛知・大阪・静岡・福岡をツアーで周ります。また、東京公演4月28日15時の公演終了後と、静岡公演5月20日17時の公演終了後には出演者によるアフタートークイベントも決定。貴重なチケットをお持ちの方は、是非楽しんできてください。作品公式HPはこちら