お笑いコンビかもめんたるが主宰する「劇団かもめんたる」。昨年は戯曲界の芥川賞と呼ばれる岸田戯曲賞にノミネートするなど、勢いに乗る劇団の新作公演を観てきました。(2020年11月・東京芸術劇場シアターイースト)
祭りに秘められたムラ社会の“性”
舞台は亀有(かまり)という架空の村。村人たちは伝統の「カマリの巨人祭り」を村おこしの起爆剤にしようと、神社庁の担当者たちを招きリニューアルを図るが、練り上げたプランを全否定され厳しい指導を受けるはめに。さらに担当者たちは、この祭りがかつては「カマリの大きい人祭り」と呼ばれていたことを突き止め、その真相に迫ります。
若い村人たちは村おこしになるならと協力的だが、神主と土地の有力者は頑なに反対。そこには、祭りの裏に秘められた“性”と、それに振り回された2人の苦い過去が隠されていました。
毒と性のかもめんたる流エンタメが炸裂
この舞台の魅力は、かもめんたる特有の毒のある笑い。岩崎う大さん演じる神社庁の担当者による祭りの指導は、理不尽な要求を突きつけるセミナーコントのようで、暴言を吐かれ振り回される神主役のラサール石井さんの絶妙に苦い表情は見事。
ストーリーは日本の祭事に古来からある男根崇拝を軸に、キワモノになりかねない題材を、民俗学や近親相姦といった(直接的なシーンはありませんが)神話のメタファーを取り入れ、エンターテインメントとして仕立て上げています。
危険なテーマを扱いながらも、コント師ならではの笑いのシーンが随所に挟まれており、バランス感覚の良さに惹きこまれた100分間でした。