売れない熱血バンドマンのデューイが名門学校の臨時教師になりすまし、子供たちとバンドを組みながら破天荒な授業を繰り広げる『スクールオブロック』。8月の日本初演を前に行われたプレライブイベントに、西川貴教さん、柿澤勇人さん、濱田めぐみさん、梶裕貴さん、太田基裕さん、はいだしょうこさん、宮澤佐江さん、24名の生徒たち、そして翻訳・演出を務める鴻上尚史さんが登場。トークセッションと歌唱&生バンドパフォーマンスが行われました。

西川貴教・柿澤勇人・濱田めぐみと生徒たちが生パフォーマンス!

撮影:山本春花

2003年に全米で公開、2004年には日本でも公開されヒットした映画『スクールオブロック』。2015年にはミュージカル界の巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバー氏が作曲・プロデュース、『塔の上のラプンツェル』のグレン・スレイター氏が作詞、ミュージカル『メリー・ポピンズ』のジュリアン・フェロウズ氏が脚本を務め、ブロードウェイにてミュージカル『スクールオブロック』が誕生しました。作中では子どもたちが実際にバンドとして生演奏することでも話題となり、2016年にはロンドン・ウエストエンドでも上演されました。

日本では2020年に初演を予定していましたが、コロナ禍の影響で全公演中止に。当時の子どもたちの想いも背負い、2023年8月、念願の日本初演を迎えます。プレライブイベントには、デューイ・フィン役を務める西川貴教さん・柿澤勇人さん(Wキャスト)、ロザリー・マリンズ役を務める濱田めぐみさん、ネッド・シュニーブリー役を務める梶裕貴さん・太田基裕さん(Wキャスト)、パティ役を務めるはいだしょうこさん・宮澤佐江さん(Wキャスト)、生徒役のビートチーム・コードチーム、翻訳・演出を務める鴻上尚史さんが登場しました。

まず披露されたのは、デューイ・フィン役を務める柿澤勇人さんと、生徒役のチーム・コード+後藤日向さん(ビートチーム)による「School of Rock」。柿澤さんの迫力ある歌声とバンドの圧巻の演奏で、会場のボルテージは一気に上昇!

撮影:山本春花

デューイが教師となる名門校の校長ロザリー・マリンズ役を務める濱田めぐみさんは、「Where Did The Rock Go?(ロックはどこへ消えたの?)」を歌唱。ロックに熱中していた“魔法のような瞬間”が消え、大人になってしまった切ない心のうちを歌い上げます。

撮影:山本春花

西川貴教さんと生徒役のチーム・ビート+三宅音太朗さんは、校長を始めとする大人の“支配者”に立ち向かう楽曲「Stick It To The Man(支配者に立ち向かえ)」で、“校則なんてクソくらえ!立ち向かえ!”とエネルギッシュにパフォーマンス!子どもたちのギターやベース、キーボードの音色は観客の心を一気に掴み、大盛り上がりのライブとなりました。

撮影:山本春花

「名作にしないとしょうがない」

翻訳・演出を務める鴻上尚史さんは、ブロードウェイ・ウエストエンドで本作を観劇しており、作品のストーリーと音楽に大きな魅力を感じられていたそう。

撮影:山本春花

「個人的にはリボンの幅が2cmはOKで3cmはダメだとかいう“ブラック校則”にずっと文句を言い続けてきて、なんとか作品の中で表現できないかと思っていたところ、(『スクールオブロック』は)キャッチーな曲で、ご機嫌に笑い飛ばしながら“意味のない規則”をぶっ飛ばせる作品で。初めて見たときにクリエイターとして“やられた”と思ったんです。それに、ネッドのようにみんな夢を諦めて就職していくのに、デューイは才能がないのに、夢を諦める時を過ぎても夢を見続けていく。そしてデューイによって子どもたちが成長するのはもちろん、デューイも子どもたちからエネルギーをもらって成長するし、他の人たちも成長していく。この構造が本当に良くできていて凄いと思う。もう名作にしないとしょうがないので、頑張ります」と熱い思いを語り、本作に深く惚れ込んでいることが伝わります。

撮影:山本春花

西川貴教さんも本作をブロードウェイでたまたま観劇しており、感動した記憶が残っているとのこと。コロナ禍での全公演中止ののち、観客が声出しできる環境で迎える初演ということで、「皆さんと一緒に歌ったり盛り上がったりできる作品だと思うので、観に来るというよりもキャストの1人だと思って会場にお越しいただきたい」とコメントしました。

撮影:山本春花

柿澤勇人さんはデューイというキャラクターについて、「社会で生きていると彼のように生きたいという憧れを持つと思うんです。僕もそういう憧れを持って演じたい。作品の中で、ロックの本質は完璧にやることじゃない、心のままに叫ぶんだということが言われていて、僕も性格上完璧を求めがちなんですが、今回は解放して叫びたい」と語ります。

作中では二日酔いで子どもたちと初対面を果たすデューイに合わせて、柿澤さんが「僕も(お酒を)解禁しようかな…」と話し始めると、すかさず鴻上さんが「酒癖がものすごく悪いんです!」と暴露。柿澤さんが慌てて「言うなよ!配信でも流れてるんだぞ!(笑)言わなきゃ良かった…今のなしにします!真面目に完璧にやります!」と訂正、お二人の仲の良い関係性が見える一幕も。

またアンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽については「キャッチーで、どの曲も1回聴けば口ずさめる楽曲。ただやる方としては、男性はキーがクソ高いので、本当に勘弁してほしいくらい(笑)。凄くエネルギーが必要だし、(キーの高さが)キャラクターの心情を現しているので、心して歌わないと届かないと思います」と難しい作品でもあることを明かしました。

撮影:山本春花

校長ロザリー・マリンズ役の濱田めぐみさんは、ミュージカル『メリー・ポピンズ』でも子どもたちの家庭教師であるメリー・ポピンズを演じたことから、「メリー・ポピンズは子どもたちのアイデンティティに合わせて1対1で対応しているんですけど、ロザリーは子どもたちを集団として相手にしているんですよね。校長としていかに学校を運営していくかを考えているし、自分も個性を見てもらえなかった過去もあって、子どもたちの個性を見れていないんです。メリー・ポピンズとは正反対なキャラクターで、今まで演じてきた役の中でも一番人間っぽく、一番変化していくキャラクターだと思っています」と語りました。

撮影:山本春花

心躍る音楽と共に、現実に立ち向かう強さをくれるミュージカル『スクールオブロック』。8月17日(木)から9月18日(月祝)まで東京建物Brillia HALLにて上演、9月には大阪公演も行われます。上演時間は3時間を予定。(休憩あり)詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

映画ではコミカルなデューイが印象的ですが、西川貴教さん・柿澤勇人さんの創り上げるデューイはどんなキャラクターになるのでしょうか。イベントから既に圧巻の音色を轟かせていたバンドのパフォーマンスにも期待が高まります。