8月4日(金)に公演が始まったミュージカル『ビートルジュース』、10月9日(月)の日本初演を控えるミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』。この2つの作品に共通するのが、映画界の鬼才・ティム・バートンです。両作品は彼が監督した映画を原案としており、舞台にもバートン監督が作り出す世界観が影響を与えています。そこで今回は数あるティム・バートン作品の中から、舞台・ミュージカルファンに観てほしい映画を集めてみました!新作ミュージカルの原作や過去に日本でも上演された人気作を、この機会にぜひ観てみませんか?

日本初演に向けて予習したい映画

①『ビートルジュース』(1988年)

交通事故によって死んでしまったアダムとバーバラの夫婦は、生前に住んでいた家に引っ越してきた一家を脅かして追い出そうと企みますが、まったく効果なし。そこで助けを求めたのが、人間を追い出すバイオ・エクソシストでありトラブルメーカーのビートルジュースです。映画は80年代に大ヒットし、バートン監督の持ち味である不気味でユーモラスな演出が作品の成功のカギとなりました。

2024年9月には、続編映画『ビートルジュース2』の公開も発表されています。本作がミュージカル化されたのは2019年と最近のことですので、1作目の公開時には生まれていない若者世代も、舞台をきっかけに映画版に注目しそうですね。日本では2023年8月4日から、SixTONESジェシーさん主演、福田雄一さん演出でミュージカル『ビートルジュース』が上演されています。

映画『ビートルジュース』はAmazon Primeほかで視聴可能です。(日本初公演のミュージカル『ビートルジュース』については、こちらの記事で詳しく紹介しています。)

②『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)

天才ショコラティエのウィリー・ウォンカが作るチョコレートは、世界中で大ヒット。しかし彼のチョコレート工場は非公開で、チョコの美味しさの秘密は謎に包まれていました。

そんな工場を見学できるゴールデンチケットを手に入れた5人の子供たちの1人が、貧しくも家族と穏やかに暮らすチャーリー少年です。

原作であるロアルド・ダールの児童小説『チョコレート工場の秘密』の世界を忠実に再現するため、工場のセットには本物のチョコレートを流し、ナッツを選別するリスは本物のリスを調教して起用するなど、撮影セットにもバートン監督の奇抜さがうかがえます。

2013年にウエストエンド、2014年にブロードウェイでミュージカル版が上演され、今年の10月に帝国劇場にて待望の日本初公演!堂本光一さんが座長を務める日本版『チャーリーとチョコレート工場』カンパニーがお披露目される前に、ぜひ映画で予習したいものですね。

今年は12月に『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚を描いた映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』も公開予定となっており、“チャリチョコ”一色の下半期となりそうです。

映画『チャーリーとチョコレート工場』はAmazon Primeほかで視聴可能です。(こちらの記事では、ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の制作発表の様子を詳しくお届けしています。)

③『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年)

無実の罪で流刑され、15年ぶりにロンドンへ帰ってきたベンジャミン・バーカー。彼はスウィニー・トッドと名乗り理髪店を構えるのですが、妻子を奪った悪魔判事に復習すべく、狂気的な連続殺人鬼となり……。

グロテスクなシーンを含むダークファンタジーなのですが、陰鬱なロンドンの街と多彩な世界観の対比が印象的で、真っ赤な血の色さえ美しく感じるほどです。

本映画は、1979年初演のブロードウェイミュージカルを映画化したもの。2024年3月に、日本でも宮本亜門さん演出によるミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の4度目の再演が決定しています。これまでの公演同様、スウィーニー・トッド役を市村正親さん、ラヴェット夫人を大竹しのぶさんが演じます。

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』はAmazon Primeほかで視聴可能です。

日本でも舞台版が上演された人気映画

④『ビッグ・フィッシュ』(2003年)

身の上話をまるで童話のように大げさに語る父エドワードと、大人になって父の話をホラ話としてしか聞けなくなってしまった息子のウィル。エドワードの病を機に、ウィルは本当の父の姿が知りたいと、エドワードが語った話の真実をたどっていきます。

巨人にサーカス団など、怪しくもどこか愛らしい登場人物が飛び出すエドワードの物語は、バートン監督らしい幻想的な描写で溢れています。

映画の美しい色彩と優しいストーリーはそのままに、2013年にブロードウェイにてミュージカル化。2017年と2019年には日本版も上演され、エドワード役を川平慈英さん、ウィル役を浦井健治さんが演じました。

映画『ビッグ・フィッシュ』はAmazon Primeほかで視聴可能です。

⑤『シザーハンズ』(1990年)

美しい心とハサミの両手を持つ人造人間のエドワードは、主人である発明家が自分を作っている途中で亡くなってしまい、山のお城で孤独に暮らしていました。やがてお城にやってきた化粧品セールスのペグに誘われ、彼女の家で暮らすように。エドワードは、ペグの娘であるキムと恋に落ちます。

バートン監督とジョニー・デップの初タッグ作品。美しい結末は、何度見ても胸がキュッと切なくなります。

2005年にバレエ界の鬼才マシュー・ボーンの演出によってダンスミュージカル版が製作され、日本でも2006年に来日公演が上演されました。「また日本で上演してほしい!」と待ち望むファンも多いのではないでしょうか?

映画『シザーハンズ』はAmazon Primeほかで視聴可能です。

さきこ

映画ファンにも支持されているバートン監督の作品は、ミュージカル界でも新たなブームを巻き起こす予感がします。 監督らしい奇天烈でファンタジックなキャラクターが数多く登場する『チャーリーとチョコレート工場』は、映画の各シーンを舞台でどのように再現するのかが特に気になるところ。 チャーリーのように運良く帝劇のチケットをゲットできた暁には、映画を何度も見返して予習する所存です!