ドラマ『大病院占拠』ではSIS管理官の和泉さくらを熱演し、大きな話題を呼んだソニンさん。ミュージカル『ミス・サイゴン』『キンキーブーツ』『マリー・アントワネット』などでの活躍も目覚ましいソニンさんが考える舞台・映像それぞれの魅力や、転機になった作品とは?4月に開催予定のファンミーティングについてなど、たっぷりとお話を伺いました!

隅々の客席まで目に焼き付けて、エネルギーを届ける意識を持っています

−3月10日で40歳を迎えられたソニンさん。率直にどのように感じられていますか?
「あっという間でしたね。40歳という年齢で考えると、家庭を持ったり子供が産まれたりという大きなターニングポイントを迎えてきた方も多いと思うのですが、私は仕事の転機が色々とあったので、気づいたら数で言うとこんなに生きたのね、という感じはします」

撮影:山本春花

−転機になった作品を挙げるとしたら何でしょうか?
「ミュージカル『ミス・サイゴン』のキム役は大変な役でしたし、上演期間も長く作品に費やす時間も長かったので、転機だったなと感じる作品です。舞台に骨を埋める覚悟で、取り組もうと思ったきっかけでした。また『マリー・アントワネット』のマルグリット役も自分の代表作だと思っていますし、大切な作品です」

−ソニンさんは『1789 −バスティーユの恋人たち−』『マリー・アントワネット』で第26回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞されました。(2018年)
「2015年に菊田一夫演劇賞・演劇賞も受賞させていただきましたが、舞台デビューをしてから賞を頂くまでがとても長かったと思うんです。同世代の女優さんはもっと早い段階で賞をもらっていたので、自分は賞とは縁のない人間なのだなと思っていました。賞で評価されなくても良いと言う気持ちはあったけれど、自分で自分を褒めたいタイミングと、菊田一夫演劇賞と読売演劇大賞をいただいたタイミングが重なったので、とても大切な瞬間でしたね。それに見合う努力をしてきたと感じることができたので、凄く感動しました」

撮影:山本春花

−舞台上のソニンさんは空間を支配するような存在感が印象的です。観客が目の前にいる舞台で演じる上で、意識されていることはありますか?
「隅々のお客さんまで必ずエネルギーを届ける、ということは意識しています。舞台をやっていると目の前に共演者もいて、色々なことに目を配らなければいけないので、自然と観客との距離感を忘れがちになってしまいます。だからこそ、毎公演の朝、客席を見渡して、“あそこまでお客さんがいるんだ”ということを目に焼き付けています。例え表情が見えなくても感情が伝わるように。演技を大袈裟にするとかではなく、エネルギーを届ける意識は必ず持つようにしています。舞台に立つ上での私のルーティーンですね」

ドラマ『大病院占拠』で感じた反響

−近年ではドラマ『となりのチカラ』『大病院占拠』など映像での活躍も多いですが、映像と舞台、それぞれの魅力を教えてください。
「私は舞台と映像は別の職業だと考えています。芝居の仕方や必要とされるテクニックが全く違う。私のキャリアは映像から始まりましたが、今や舞台経験の方が長いので、映像に帰ってきてみるとまだまだ経験が足りないなと反省の日々です。しかも映像は監督の作品なので、どう編集されるか分からない。そこは舞台との違いですね。舞台はその日の役者とお客さんとの空気感で作るものという意識があります。説明できない、満たされていく空気に魅了されていく。一方で映像は幅広い方に見ていただけるエンタメでもあるので、両方とも、同じくらいやっていきたいと思っています」

撮影:山本春花

−ドラマ『大病院占拠』の反響は実感されていましたか?
「実感していました。ファンの方だけじゃなく、関係者の方々にも“面白い”“ハマっている”と声をかけてもらうことが多かったです。こんなに反響を感じたのは初めてでした。スタッフの方々の盛り上げようという気合を現場で感じていたので、それが報われて良かったです。自分でリアルタイムに見ていても、気づくと脈拍が早くなっていて、出演者なのにのめり込んで見ちゃいましたね」

−舞台と映像、2つのフィールドでご活躍中ですが、仕事のバランスは意識されていますか?
「はい、意識的にやっています。というのも、舞台は数年前から動き始めるのに対して、映像は数ヶ月前、数日前にお話が来ることもあります。だから、舞台のお話をいただいた時、来ないかもしれない映像のために、舞台をやるかやらないかを選択しなければならないんです。どうすべきか悩んだ時期もありましたが、数年前から勇気を持って、映像での仕事を見据えて、舞台の出演頻度を決めるようにしています」

女性たちの“見えない戦争”を描いたミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』

−6月にはオリジナルミュージカル『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』再演への出演が決まっています。初演はいかがでしたか?
「楽曲数曲と原案があった状態で、日本発のミュージカル作品として作り上げたので、役者でありながらクリエイターとしての意識もとてもあった作品でした。詞や脚本についても相談に乗っていただいて、意見を出させて頂いたり、世の中に作品を出すためにどう作り上げるかを意識したりしていたので、役者として出演するだけではなかった、思い入れのある作品です」

撮影:山本春花

−19世紀のアメリカを舞台に、工場で働く女性たちを描いた作品で、ソニンさんは実在した人物ハリエット・ファーリーを演じられます。役柄についてはいかがですか?
「私たちが想像できないほどの苦労や勇気を持った彼女たちの軌跡があったからこそ、今の私たちがあるので、それを今のお客さんたちにも伝えていきたいです。ハリエット・ファーリーが寄稿していた「ローウェル・オファリング」を購入して読んでみると、彼女の知性の高さをとても感じることができます。こういった才能溢れる人が思うように活躍できないような当時に比べると、今は才能を買ってもらえる時代であることにとても感謝するとともに、彼女たちの戦いがあったからこそ今があるのだと感じます。女性たちの見えない戦争ですよね。

でも女性に対する労働基準の低さだけが議題の作品ではなく、才能についての物語でもあるので、たくさんの方が共感できる作品だと思います。ロマンスのない女性が中心のミュージカルも珍しいので、それが前回反響をいただいたポイントの1つだったのかなと感じています」

ファンは共に人生を歩んできた同志であり、家族のような存在

−そして4月には5年ぶりのファンミーティングが決定しています。ソニンさんにとって、ファンはどのような存在ですか?
「アイドルから俳優、演劇もやって、ミュージカルもやって、歌うこともやってきたので…昔から応援してくださっている方は戸惑うことも多かったと思うのですが、それでもついてきて全部を応援してきてくださる方は特別な思いがありますね。共に人生を歩んできた同志のような、家族のような存在かもしれません。

もちろん舞台や映像で好きになってくれた方も凄く嬉しいです。様々な仕事で色々な顔を見せてきたからこそ、今回のファンミーティングではファンの方々のそれぞれの出会いもあると思います。映像で好きになってくれた方は、歌を歌ったりミュージカルに出演したりする私を知らない方もいるでしょうし。見たことのない私を見られるイベントになればと考えています。

普段、パフォーマンスをする上では、目の前の人がファンであるかどうかはあまり考えません。たとえファンではなくても、目の前のお客さんに捧げる気持ちを持ってパフォーマンスをしているので。でも応援の声を頂くととても力になります。普段は空気のようだとしても節目でその大切さを強く感じる、そういう意味では本当に家族のような存在なのかなと思いますね」

撮影:山本春花

ソニンさん5年ぶりのファンミーティング「Sonim ”MILESTONE” Fan meeting~Talk & Live 2023~」は4月15日(土)開催。チケットの詳細は公式HPをご確認ください。

Yurika

美しさと強さを感じる演技や歌が魅力のソニンさん。それぞれの仕事に対しても意志と覚悟を持って取り組まれていることが伝わり、さらに魅了されてしまいました。