2026年5月6日(水休)から日本青年館ホールで開幕のミュージカル『GYPSY』。実在のストリッパーであるジプシー・ローズ・リーの回顧録を基にミュージカル化された本作は、1959年のブロードウェイ上演以来、世界中で愛されてきた作品です。演出:クリストファー・ラスコムさん、主演:大竹しのぶさんのタッグによる上演を前に、取材会と公開ゲネプロが行われました。

「日本のミュージカル史に残る素晴らしい作品に」

取材会には演出のクリストファー・ラスコムさんと、大竹しのぶさん、田村芽実さん、井上瑞稀さん、富田鈴花さん、今井清隆さんが登壇しました。

クリストファー・ラスコムさんと大竹しのぶさんのタッグにより上演されるのは2023年以来2度目となる本作。

クリストファー・ラスコムさんは「私の一番好きなミュージカルの1つですので、再演の機会をいただけたことは本当に素晴らしいと思います」と喜びを語り、「ミュージカルというジャンルはやっぱり音楽ありき。『GYPSY』のスコアはブロードウェイのスコアの中でも間違いなく突出しています。ラッキーなことにこのプロダクションでは素晴らしいオーケストラの奏者の皆さんが演奏してくださいますので、それがこの作品のモーター(駆動部分)になってくると思います」と語ります。

大竹しのぶさんも「音楽が素晴らしい。子どもたちが動き出さずにはいられないような、高揚感を持てる、幸せになれる音楽です。劇場ってこういうところでなくちゃと思います」と作品の魅力を語ります。また再演にあたり「より深く細やかに気づくことがたくさんあって、これが再演の意味なんだと気づくことがたくさんあって。すごいミュージカルだなと思うと同時に、こういう作品に出会えたことが私は幸せ」と語りました。

大竹さん演じるローズの娘ルイーズを演じるのは、大竹さんとの共演を長年夢見ていたという田村芽実さん。「喧嘩するシーンは、我に返ってしのぶさんと喧嘩する芝居をしていると思うと、自分の人生のご褒美のような時間で。娘として嬉しいのか、田村芽実として嬉しいのか分からなくなってしまうくらい。宝物のような時間を過ごさせていただいています」と語り、2023年の上演も客席から観劇していたそう。「今回、一緒に作品を創る側として立たせていただけることが非常に光栄ですし、稽古を重ねれば重ねるほど、この作品の深みに心が引っ張られていく感覚がありました。観にきてくださる方に、この気持ちをたくさん共有できたら」と意気込みます。

一座の青年タルサを演じる井上瑞稀さんは「素晴らしいキャストの皆さんに、日々色々なことを助けてもらいながら、毎日発見のある稽古で、すごく充実した時間を過ごさせてもらいました」と稽古期間を振り返ります。

大竹さんからは井上さんについて、「クリスの演出で役者も転換をやるんですけれども、転換はすごく難しく、美しいものでもあるんです。私が座るソファの敷物を瑞稀が敷くんですけれど、いつも稽古の時に下手くそで(笑)。曲がってるよとか、しわになっているでしょうとか言っていたら、昨日休憩時間中にずっと練習しているのがモニターに映っていてすごく感動して。普通は最初から綺麗に敷けるのかもしれないけれど(笑)、たった3秒のためにずっと練習している姿を見て、それを動画に撮ってみんなに共有しました。たった数秒の積み重ね、たった一言の積み重ね、たった1つの音の積み重ねが、すごく大きなものを生み出すんだなと教えていただきました」と真面目な一面が明かされます。

井上さんは「いや、違うんです。カーペットが曲がっているとしのぶさんは芝居が上手くいかないって…そんなことを言われたら1ミリも曲げられない(笑)。送っていただいた動画を僕は待ち受けにしています」と大竹さんのチャーミングな一面を明かしました。

ローズのもう一人の娘ジューンを演じるのは、日向坂46を2025年に卒業した富田鈴花さん。「この1ヶ月の稽古は、本当に本当にあっという間で、もう3日で終わったんじゃないかってぐらい」と語る姿に、大竹さんと井上さんから小声で「めっちゃ早い、それはない」とツッコミが入り、田村さんが爆笑。カンパニーの賑やかな雰囲気が垣間見えながら、「ずっとワイワイしているんですけれど、お芝居される瞬間の切り替え、お芝居に入り込む姿を間近で感じさせてもらって、吸収できるところは1ヶ月でした。1公演1公演を大切に、観に来てくださる方の心に動くものがあったら嬉しい」と意気込みが語られました。

ハービーを演じる今井清隆さんは「久しぶりに同じ役をやることができて、非常に嬉しく思っています。周りはすごく若返って、最近の子役たちは技術がすごくて、本当に上手なので驚かされております。足を引っ張らないように、労わってもらいながら(笑)、頑張りたいと思います」とコメント。

またローズを演じる大竹さんについて「(初演でローズを演じた)エセル・マーマンが初めてこの作品をやった時は51歳で、イギリスの大女優である、イメルダ・スタウントンさんがやった時も59歳だと。この役は本当にパワーが必要だし、演技力も必要だし、もちろん歌唱力も。大竹さんの年齢でこの役をやっているのは世界的に考えても奇跡的なことで、彼女のエネルギーを見ると本当に驚かされるし、自分も頑張らなきゃと思います。日本のミュージカル史に残るような素晴らしい作品に仕上がったと思うので、ぜひ色々な方に観ていただきたい」と力強く語られました。

最後に大竹さんから「本当に楽しい音楽で、世界的に色々なことが起こる不安定な時代の中で、やはり芸術を、音楽を聴いて、お芝居を見て、文化に触れて、嫌なことを忘れて元気になってもらいたい。そういうパワーをみんなに届けられるように、クリスを中心に私たちが創った作品をド直球で届けたいと思うので、ぜひ劇場にいらしてください」とメッセージが贈られ、会見が締めくくられました。

究極のショービジネスマザーを大竹しのぶが熱演

多くのミュージカルファンは、本作を観たことがなくとも、「ローズの出番(Rose’s Turn)」「いつも一緒に行こう(Together Wherever We Go)」「楽しませてあげる(Let Me Entertain You)」などの名曲を一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。

作詞をスティーヴン・ソンドハイム氏、作曲をジュール・スタイン氏が手がけた『GYPSY』は1959年のブロードウェイ上演以来、ブロードウェイ・ウエストエンドで何度も上演が重ねられ、トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞でもリバイバル作品賞を受賞しています。

実在のストリッパーであるジプシー・ローズ・リーの回顧録を基に、究極のショービジネスマザー、ローズの姿を描いた本作。大竹しのぶさんは圧倒的な熱量でローズを演じ、娘のジューンを中心にした一座を劇場に売り込んでいきます。

しかし子ども扱いを続けるローズと時代遅れなヴォードヴィルのショーにうんざりしたジューンは、一座の青年タルサと駆け落ち。ローズはルイーズを主役に据えて再起を図ろうとしますが、ヴォードヴィル業界は衰退し、ルイーズはジューンのように上手くパフォーマンスすることができません。

困窮した中、ハービーによる手違いでストリップ劇場の仕事を受けることに。バーレスクの警察介入を防ぐための限定的な出演でしたが、最終日、ストリッパーのスターが出演できなくなったことをローズは聞き逃さず…。

“娘をスターにする”という夢のためなら手段を厭わず、ジューンがいた頃はルイーズには目もくれなかったローズ。ひどい母親、ヤバいステージママ、と言えばそこまでですが、自分の夢に一直線な姿、底知れぬ野心に羨ましさを感じる瞬間もあるのではないでしょうか。

大竹しのぶさん演じるローズの情熱たるや凄まじく、ローズが“結婚して田舎で暮らす普通の生活”には満足できなかったのも納得できます。ジューンと仲間たち、大事なものを失った時にもすぐに再び立ち上がり、輝きを放つ姿が印象的でした。

ルイーズを演じる田村芽実さんは、ローズに振り回されながらも母の愛情を求め続ける姿を丁寧に描きながら、ジプシー・ローズ・リーとして一気にトップスターになっていく変貌ぶりを見事に演じます。

富田鈴花さんはジューンを華やかに、井上瑞稀さんはタルサを軽やかに。

タルサのソロナンバー「彼女さえいれば(All I Need Is The Girl)」ではしなやかなダンスとアクロバットを披露し、ルイーズとジューンを惹きつける魅力的な青年像を作り上げます。

今井清隆さんは圧巻の歌声でハービーとして一座を、そしてカンパニーを支えます。

ローズの情熱の源とは何なのか。そして、ルイーズは子離れできない母とどう向き合うのでしょうか。

撮影:岩堀和彦

Musical『GYPSY』は2026年5月6日(水休)から5月24日(日)まで日本青年館ホール、6月5日(金)から6月7日(日)まで愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール、6月12日(金)から6月14日(日)まで福岡・キャナルシティ劇場、6月19日(金)から6月23日(火)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

名曲揃いの本作の中でも、大ナンバー「ローズの出番(Rose’s Turn)」は必見です!!