2022年7月に開幕した舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。2024年夏、3年目キャストがカンパニーに加わります。6月をもって『ハリー・ポッターと呪いの子』を卒業するメンバー、そして7月から新たに加わるメンバーについて紹介していきたいと思います。

待望を経て舞台化された、魔法の世界。

言わずと知れたファンタジー小説であり、映画でも世界的人気を誇る『ハリー・ポッター』シリーズ。現在日本で上演されている『ハリー・ポッターと呪いの子』は、全シリーズにおける8作目にあたります。原作者J・K・ローリングは、自身の小説の舞台化オファーを長年断ってきましたが、プロデューサーの「家族、愛、喪失をテーマに、ハリー・ポッターの19年後の新たなストーリーを舞台化する」という話に初めて共感しました。そうして、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンと共に書き下ろされた待望の作品が、この『ハリー・ポッターと呪いの子』なのです。

初演は2016年にロンドンで行われ、ニューヨーク、メルボルン、サンフランシスコなど6つの各都市でヒットを記録し、世界中で60以上の演劇賞を獲得しました。日本でも2022年に幕を開けて以来、85万人以上の観客を動員するロングラン公演。CGを使わず、演出と俳優の演技だけで表現する「魔法」にも魅了され、観客のほとんどが「もう一度観劇したい」とリピートを希望するようです。

再び闇と対峙する、19年後のハリー。

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、ハリーたちがホグワーツ7年生の時点から19年が経ったところから物語が始まります。

ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってからしばらく経っているのにも関わらず、かつてヴォルデモートが支配していた暗闇の世界を彷彿とさせる不穏な事件が相次いでいます。魔法省で働くハリーは、今や3人の子どもの父親。

今年ホグワーツ魔術魔法学校に入学する次男アルバス・ポッターは、魔法界の英雄である父に反抗的な態度を取っていました。一方で、幼い頃に両親をなくしているハリーは、父親としてのふるまい方が分からずにいます。

そんな中アルバスは、入学式に向かう列車の中で、父ハリーと犬猿の仲であるドラコ・マルフォイの息子スコーピウスと偶然出会います。二人が出会ったことによって、加速していく暗闇の支配。果たしてその暗闇の正体はなんなのか、そしてハリーたちの運命は・・・

キャストチェンジがもたらす新たな風。

絶賛ロングラン公演中であるこの作品は、今までに何回か出演者の入れ替えを行ってきました。メインキャストもアンサンブルも全員がその役を永遠に演じ続けるわけではなく、キャストが部分的に卒業し、そこに新たな俳優が加わる、または役が替わったりするこのシステム。卒業しても再びカンパニーに戻ってくる、”カムバック”をすることはあります。しかし、観劇する日や回によって出会うキャストの組み合わせは、まさに一期一会といえるでしょう。

今回は、2024年7月をもってそのキャストチェンジが行われます。まずは主役のハリー・ポッター。藤原竜也さん、石丸幹二さん、大貫勇輔さんの3人体制で上演されてきましたが、7月からは平方元基さんと吉沢悠さんが務めます。(石丸幹二さんは4月17日に卒業)

ハーマイオニー・グレンジャー役は、6月まで中別府葵さん、笹本玲奈さん。7月からは木村花代さん、豊田エリーさんに入れ替わります。

ロン・ウィーズリー役は、迫田孝也さん、竪山隼太さんが卒業。7月からは矢﨑広さん、ひょっこりはんさんが加わり、石垣佑磨さんが続投します。(竪山隼太さんは4月27日に卒業)

ドラコ・マルフォイ役は、松田慎也さん、宮尾俊太郎さんが卒業。7月からは永井大さんが加わり、内田朝陽さんが引き続き出演します。(宮尾俊太郎さんは3月30日に卒業)

ジニー・ポッター役は、6月で馬渕英里何さん、大和田美帆さんが卒業。7月からは大沢あかねさんが加わり、白羽ゆりさんが続投します。

アルバス・ポッター役は、6月まで藤田悠さん、福山康平さん。7月からは佐藤知恩さん、渡邉蒼さんが務めます。

スコーピウス・マルフォイ役は、6月で門田宗大さんが卒業。7月からは浅見和哉さん、久保和支さんが加わり、西野遼さんが続投します。

嘆きのマートル役は、6月まで佐竹桃華さん、7月からは出口稚子さんとなります。

ローズ・グレンジャー・ウィーズリー役は、6月までは橋本菜摘さん、7月からは飛香まいさんに入れ替わります。

デルフィー役は、6月で宝意紗友莉さんが卒業。7月からは乃村美絵さん、高山璃子さんが加わり、鈴木結里さんが続投します。

組分け帽子役は、6月まで木場允視さん、7月からは尾尻征大さんが務めます。

そしてマクゴナガル校長役は、6月で香寿たつきさんが卒業し、榊原郁恵さん、高橋ひとみさんは引き続き出演されます。

このように、ほとんどの役で入れ替えが行われます。アンサンブルも新メンバーが大幅に加入し、今までとは違った雰囲気のカンパニーで、日本上演3年目を迎えます。

2024年10月末まで延長決定!

ロングラン3年目に突入する舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、大好評につき2024年10月末までの公演延長が正式に決定しました。チケットは、TBSチケットかホリプロステージからの販売となり、いずれも購入のために無料で会員登録をする必要があります。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

初めて観に行く方はもちろん、すでに観たことがある方も、キャストチェンジによって今までとは違う味わい方ができると思います。魔法の世界を、この機会にぜひ体験しに行ってみてはいかがでしょうか。

L

この作品は、日常からかけ離れて見える魔法界で、家族とのすれ違い、心の交流、喪失、愛といった普遍的な人間ドラマを見せてくれるのが魅力の一つです。演じる俳優が替わると、キャラクターの解釈、また役同士での会話のやり取りに個性が滲みでることが期待されます。そうすると、観る私たちも作品の捉え方が変わったり増えたりして、面白さが倍増するのではないでしょうか。