ドラマ・映画・バラエティと多方面で活躍する佐藤二朗さんが、ミュージシャンの中村佳穂さんの楽曲「そのいのち」(2018)にインスパイアされ執筆した書き下ろし新作戯曲『そのいのち』の上演が決定。2024年11月から世田谷パブリックシアターにて上演され、宮沢りえさん、佐藤二朗さんが舞台初共演を果たします。

その歌を聴いたのが始まりだった

佐藤二朗さんは俳優としてもさることながら、演劇ユニット「ちからわざ」の主宰を務め、全公演で作・出演を担当。原作・脚本・監督を務めた映画『はるヲうるひと』では第2回江陵国際映画祭 最優秀脚本賞を受賞しました。今作は2012年に上演された『ハラナイ荘の人々』以来、12年振りとなる書き下ろし新作戯曲となります。

本作は映画『竜とそばかすの姫』でヒロイン・すず/ベルの声優を務め、劇中歌で注目を浴びたミュージシャンの中村佳穂さんの楽曲「そのいのち」(2018)にインスパイアされ執筆した作品。介護ヘルパーとして働く山田里見と、彼女の雇い主で障がいを持った相馬花とその夫・和清の穏やかな日々、そして、あることをきっかけにその穏やかな関係が徐々に狂い始めていく。「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」を描きます。

介護ヘルパーとして働く山田里見役には、6月からPARCO PRODUCE 2024『オーランド』で主演を務めることも決定している宮沢りえさん。そして、里見の雇い主である相馬花の夫、和清役は、脚本も務める佐藤二朗さんが演じます。お二人は2018年公開の映画『ルイスと不思議の時計』で声優として共演して以来、今作で本格的にタッグを組みます。演出は堤泰之さんです。

<宮沢りえさんコメント>
二朗さんから、脚本が届いた。あの佐藤二朗さんから生まれた作品!と驚きつつも、物語のページが進むたびに、登場する人間の抱えている言葉に出来ない、とてつもない感情が何層にも重なり、迎える結末に震えました。二朗さん、他共演者の方達と、この作品に誠実に丁寧に向き合いたいと思っています。

<佐藤二朗さんコメント>
その歌を聴いたのが始まりだった。中村佳穂さんの「そのいのち」。この歌が流れる物語を書きたい。そう思った。暗い澱に閉じ込められたとしても、前を見上げる人間の讃歌になるような、そんな物語を書きたいと思った。その脚本に、宮沢りえという大きな存在が共鳴してくれた。「そそられます」。りえちゃんが脚本を読んだあと、最初に僕に言った言葉。同業者としても脚本を書いた人間としても最大級の褒め言葉だ。りえちゃんと丹念に、この物語を紡いでいこうと思う。

<あらすじ>
マンションのキッチンで煙草を吹かす至って平凡な女性、山田里見(56)。彼女は介護ヘルパーである。新たな雇い主である相馬花(24)は障がいを持っている。花は動物ライターの夫・和清(45)とペットのウサギ「スケキヨ」と一緒に暮らしていた。要介助の妻と歳の差夫の関係はどこか奇妙ながらも幸せそうに見えた。

ある日、花の母・瑠依(44)とその再婚相手の悟(42)、息子の圭祐(10)が訪ねてくる。上辺は取り繕っていても実の親からも、世間からも見放されている花にシンパシーを感じていく里見。優しい時間の中で、花も徐々に里見や和清に自分の気持ちを吐露していく。しかしある出来事をきっかけに、穏やかだった3人の関係が徐々に狂い始めていく。そしてその先にあった驚愕の秘密…。浮かび上がる「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」。それを前にした時に、3人が選んだ衝撃の結末とは…。

『そのいのち』は2024年11月9日(土)から17日(日)まで世田谷パブリックシアター、11月 22日(金)から24日(日)まで兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、11月 28日(木)に東京エレクトロンホール宮城にて上演が行われます。