シス・カンパニー公演『やなぎにツバメは』が2025年3月に東京で、4月には大阪で開幕。新進気鋭の劇作家が書き下ろした新作には豪華な顔ぶれの俳優陣が揃い、男女6人の人生を紡ぎます。

注目の劇作家×演出家が描く“大人の事情”

舞台『やなぎにツバメは』は、劇作家の横山拓也さんが初めてシス・カンパニーに書き下ろした作品です。

横山さんは身近な社会問題を取り上げながら、エンターテインメントとユーモアを含んだ会話劇を生み出しています。2024年には『う蝕』『ワタシタチはモノガタリ』などの作品を発表し、『モモンバのくくり罠』で第27回鶴屋南北戯曲賞を受賞。演劇界の次世代を担う作家として注目を集めています。

そして、本作の演出を担当するのは寺十吾(じつなしさとる)さん。主宰劇団「tsumazuki no ishi」では作・演出から出演まで担い、外部の舞台作品においても演出家や俳優としてマルチに活動されています。なんと近年には横山さんの作品『目頭を押さえた』の演出を手掛けており、すでにタッグを組んだ実績があるんです。また、2024年の『夫婦パラダイス』『シラの恋文』など、これまでに数多くのシス・カンパニー公演を演出してきました。

そんな期待高まる作・演出コンビが描くのは、いくつになっても悩みは尽きない大人たちの人生。メインビジュアルでは4人の熟年男女と2人の若者がカラオケを楽しんでいるようですが、彼らも何か事情を抱えているのでしょうか。その答えは、何気ない日常シーンで繰り広げられる会話から徐々に見えてきます。歌って、笑って、恋をして、泣いて、そうやって人生は続いていく。横山さんの手腕が光る会話劇にぐんぐん引き込まれ、登場人物の心情に共感する方も多いのでは。

『やなぎにツバメは』とは、戦後まもなく作詞:サトウハチローさん、作曲:服部良一さんによって生まれた昭和の名曲『胸の振子』の冒頭の歌詞となっています。

<あらすじ>
美栄子(みえこ)、洋輝(ひろき)、佑美(ゆみ)の3人は、約20年前に美栄子の母・ツバメが経営する「カラオケスナックつばめ」で知り合って以来の仲。当時、美栄子は日中働きながら夜には店を手伝っていて、常連で年の近い洋輝と佑美と仲良くなった。3人にとって、店は特別な場所。
美栄子が夫・賢吾(けんご)と離婚話になった時、洋輝が妻を病で亡くした時、佑美が仕事で悩んでいた時、いつもこのスナックで励まし合ってきた。物語は、ツバメの葬儀の夜から始まる。そこに、洋輝の息子・修斗(しゅうと)と美栄子の娘・花恋(かれん)も集まって…。

実力あるキャストが勢ぞろい

悲喜こもごもの大人たちを演じるのは、6名の実力派俳優です。

舞台からテレビドラマ、映画、音楽に至るまで多彩なジャンルで存在感を放つ大竹しのぶさんが、スナックつばめの娘、美栄子役を務めます。

長年の友人である佑美役は、数々の受賞歴を持つ女優であり演出家でもある木野花さん。同じく友人の洋輝役には、シス・カンパニー所属の段田安則さんがキャスティング。2023年には第73回芸術選奨の演劇部門で文部科学大臣賞、第30回読売演劇大賞の最優秀男優賞を受賞するなど、その演技力は高く評価されています。

そして、所属するシス・カンパニーの公演をはじめ、舞台作品やテレビドラマへに数多く出演する浅野和之さんが美栄子の夫・賢吾役に。

さらに彼らの子ども世代も、実績ある俳優が担います。洋輝の息子・修斗役は、映像作品だけでなく舞台での活躍も光る林遣都さん。美栄子の娘・花恋役である松岡茉優さんは、2024年の『ワタシタチはモノガタリ』に続く横山さん作品への出演となります。6名の競演によって舞台上でどんな化学反応が起こるのか、ますます楽しみです。

シス・カンパニー公演『やなぎにツバメは』は、2025年3月7日(金)から30日(日)まで東京の紀伊國屋ホールにて上演。その後、4月3日(木)から6日(日)まで梅田芸術劇場のシアター・ドラマシティで大阪公演が行われます。チケットの一般前売は、両公演ともに1月25日に開始予定です。詳細は公式ホームページをご確認ください。

もこ

何歳になっても悩みや不安が尽きない一方で、人生には喜びや幸せを感じる場面だってあるもの。そんな風に「生きること」を温かく肯定してくれそうな作品です。