20世紀を代表する劇作家、ノエル・カワードの代表作『陽気な幽霊』が5月より東京・日比谷シアタークリエにて上演決定!主演はドラマのみならずバラエティにも引っ張りだこの田中圭さん。今回はこちらの作品を掘り下げます。

霊界と現世、夫をめぐる新旧妻の嫉妬と意地が引き起こす大波乱

ノエル・カワードは1899年、イギリス・ロンドン郊外に生まれました。俳優、作家、脚本家、演出家、さらに作詞・作曲、映画監督など…。多彩に活躍しトニー賞だけでなくアカデミー賞など数々の賞にノミネート・受賞を果たしました。そんな彼の作風は、上流階級・中産階級を背景にした洒脱でウィットに富んだコメディが特徴。喜劇を中心に四十以上の戯曲を書き、その代表作のひとつが今回の『陽気な幽霊』です。

第二次世界大戦中のロンドン大空襲で数々の死と破壊に直面した経験から、わずか6日間で書き上げた作品といわれています。戦時中に幽霊を題材にしたコメディを上演することに、当時は否定的な意見が多かったですが…。1941年7月にロンドンのウエスト・エンド、ピカデリー劇場で初演され、わずか5年間で1997回という驚異的な連続上演記録を達成!その後、1945年、2020年に映画化もされています。「幽霊も生きている人間も同じ存在」という、カワード独特の人間観を描いた作品として、多くの観客が魅了されています。

<ストーリー>
舞台は1941年、イギリス・ケント州にある小説家チャールズ・コンドマイン(田中圭)の自宅の居間。チャールズは再婚した妻ルース(門脇麦)と暮らしている。
新しく雇ったメイドのエディス(天野はな)が不慣れで準備がままならないが、チャールズは小説の取材をしようと霊媒師アーカティ夫人(高畑淳子)を呼んで、かかりつけの医師ブラッドマン(佐藤B作)とその夫人(あめくみちこ)を招待し、降霊会を催した。 
霊は現れず、アーカティ夫人はイカサマだという結果に終わったが、客が帰った後、7年前に亡くなったチャールズの先妻エルビラ(若村麻由美)が幽霊となり姿を現す。しかしエルビラの姿はチャールズにしか見えず、ルースはチャールズが酔っていると思いこみ、一方でチャールズは先妻がいると言い張る。エルビラはチャールズとルースの間に色々とちょっかいを出し、それは徐々にエスカレートして夫婦の間に諍いが生じ、やがてとんでもない結果を招いてしまう――。

人間の内面を掘り下げることに定評のある熊林演出!主演はドラマや舞台で大活躍の田中圭

本作の演出を手掛けるのは……。『おそるべき親たち』で毎日芸術賞千田是也賞を受賞、人間の内面を深く掘り下げる演出に多くの名優から厚い信頼を寄せられている、熊林弘高さん。直近では『インヘリタンス-継承-』で前後篇6時間半に及ぶ大作の演出を担当され、話題をよびました。

主演のチャールズ役は、今期もドラマに出演し舞台でも主演を多く務めるなど第一線で活躍。シリアスな役から軽妙な役まで硬軟自在に演じ、近年はバラエティにも引っ張りだこの、田中圭さん。熊林さん演出作品に参加するのは、『Tribes トライブス』(2014年)、『夜への長い旅路』(2015年)、『かもめ』(2016年)に次ぎ、4作目となります。

共演は、元妻・エルビラ役には、エランドール新人賞をはじめ、日本アカデミー賞優秀助演女優賞、舞台では読売演劇大賞優秀女優賞を受賞されるなど…。ドラマや映画のみならず舞台など多方面で活躍されている、若村麻由美さん。

そして、チャールズの二番目の妻・ルースを演じるのは、門脇麦さん。2014年公開の『愛の渦』などで第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞をはじめとする数々の賞を受賞。確かな演技力を武器に映画やドラマに数多く出演し、今期ドラマでも活躍されています。熊林さん演出作品に参加するのは『狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕達は愛した~』(2015年)、『パンドラの鐘』(2021年)に次ぎ、3作目となります。

霊媒師・アーカティ夫人には、ドラマ・映画での活躍だけではなく、バラエティでも軽妙なトークで知られる、高畑淳子さん。読売演劇大賞最優秀女優賞など数々の賞や、紫綬褒章も受章された高畑さんが、アンジェラ・ランズベリーさん、映画ではジュディ・デンチさんと、名女優たちが演じた「アーカティ夫人」に満を持して臨みます。

さらに、かかりつけの医師ブラッドマン博士役に佐藤B作さん、ブラッドマン夫人役に(佐藤B作さんの実際の妻である!)あめくみちこさん、メイドのエディス役に天野はなさんが出演されます。

東京公演は、シアタークリエにて、2025年5月3日(土・祝)~20日(木)まで。その後、大阪公演は、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、6月2日(月)~8日(日)に上演。福岡公演は、福岡市民ホール 中ホールにて、6月11日(水)~15日(日)の期間で上演されます!公式HPはこちら

おむ

田中圭さんをはじめとする豪華な出演者と、熊林さんによるウェルメイド・コメディの演出……。新たな解釈で生まれ変わるとのことですので、どんな作品になるのか、必見です。