2026年5月-6月にシアタークリエにて上演されるミュージカル『レベッカ』。開幕に先駆け、新ビジュアルお披露目と製作発表会見が行われ、本作に出演する海宝直人さん、豊原江理佳さん、朝月希和さん、明日海りおさん、霧矢大夢さん、演出の山田和也さんが登壇しました。

「わたし」から見たマキシムの変化を見せたい

イギリスの作家ダフネ・デュ・モーリアのゴシックロマンス小説を原作に、脚本・歌詞をミヒャエル・クンツェさん、音楽・編曲をシルヴェスター・リーヴァイさんのゴールデンコンビが手がけたミュージカル『レベッカ』。

日本では2008年4月にシアタークリエ・オープニングシリーズのミュージカル公演第1弾として約3ヶ月に渡って上演され、2010年には大劇場バージョンとして帝国劇場で上演。2019年にはシアタークリエ開場10周年記念ラインナップの締めくくりとして上演されました。

7年ぶり4度目の上演となる今回は、キャストを一新した上演に。新たにマキシム役を務める海宝直人さん、「わたし」役の豊原江理佳さん・朝月希和さん(Wキャスト)、ダンヴァース夫人役の明日海りおさん・霧矢大夢さん(Wキャスト)、演出の山田和也さんが製作発表会見に登壇しました。冒頭では、海宝さんが新ビジュアルをアンベール。その姿を山田さんがスマホで撮影するチャーミングな一幕も。

本作について演出の山田さんは「たくさん再演を繰り返しているミュージカルではありますが、間隔が空いているんです。日本の初演が2008年、2010年には帝劇版がありましたが、その次が2018年。そして7年空いて今回です。再演というのは前回の記憶であったり、大道具や小道具が保管されてそこからやるということが多いんですけれども、この作品は毎回セットも新しく作っていて、結果として演出も1からやり直すことになるので再演という感覚とは違うミュージカルになっています。

そしてウィーンの初演が2006年なのですが、ご承知の方も多いと思うのですが大劇場でたくさんのセットが入れ替わり立ち替わり入ってきて、ラストシーンにはスペクタクルな場面もあったりして、大劇場のために書かれた作品であることは明らかです。これを東宝がシアタークリエの上演作品に選んだというのが野心的な企画だったと思っています。色々な国で上演されていますが、小さい規模の劇場でやっている国は多分他になくて、それが私たちの『レベッカ』の最大の特徴になっています。
そして今回は新しい俳優の皆さんとやれるというのがワクワクしています。今まで真ん中にずっと山口祐一郎さんがいらっしゃったんですけども、山口さんなしの『レベッカ』というのも日本では初めてなので、全く新しい『レベッカ』がきっと生まれるだろうなとものすごく楽しみにしています」と語ります。

海宝直人さんはマキシム役について「どのようなエネルギーで「わたし」(イッヒ)に球を投げていけるかというのが重要な役割だと思っています。冒頭2人で出会ったハッピーなところから−ちょうど稽古場ではハッピーなところが一通り終わって、早速今日からマンダレイの屋敷に行って「わたし」が大変なことに巻き込まれていきますけれども、冒頭はお客様にとっても幸せになってほしい、ハッピーになるのかなという感覚をしっかり味わっていただくことが重要なのかなと思っています。そこからの落差、彼女から見たマキシムの変化を見せていかないといけないんだろうなと。
マキシムの変化は全て細やかに描かれているというよりは、音楽の力や、シーンのダイナミクスで描かれているので、エッジを立てて演じていきたい。やはり音楽の力がすごい作品ですし、特に中盤から後半にかけてはかなりのエネルギーが必要なので、しっかり表現しないといけないなと思っています」と語ります。

「お客様に感情移入してもらえるキャラクターにしたい」と意気込んだ豊原江理佳さんは、原作小説映画でも本作への理解を深めている最中であることを語り、「ずっと“わたしはレベッカには敵わないんだ、本当に愛されているのはレベッカなんだ”という負い目や、そこに対する不安や嫉妬心に狂わされたり怯えたり、ダンヴァース夫人に怯えたりする中で、マキシムから真実が語られて、マキシムに愛されているのは自分なのだという自信が生まれることで、自分がマンダレイの屋敷の女主人なんだと思えるのかなと想像しています。愛が人を強くするというのが1つのテーマにもなっているので、ずっと愛してはいるんですけれども、わたしもちゃんと愛されていた、愛し合っていたんだと思えることでもっと強くなれたり、自分をちゃんと持てるようになったのかなと思いながら過ごしています」とコメント。

朝月希和さんは「マキシムに出会った時の恋のドキドキから、一緒になることでの愛という一つの変化、そしてお屋敷に来てダンヴァースさんや色々なことがあって、彼女の中で愛の捉え方が変化していって、それが大きく変化する時が彼女の中での変わり目なんじゃないかと思っていて。最初は自信もないし、友達も家族もいないので、愛されたい、“欲しい”という感覚が大きいのかなと思うのですが、彼を愛せる自分という何か一つ強くなれた時に、彼女の中で色々なことが起きていって、レベッカと自分を比べずに、1人の女性として立っていけるように演じていけたら」と意気込みます。

明日海りおさんはシアタークリエ初演を観劇し、海外にも観劇に行くほど本作のファンであることを明かし、ダンヴァース夫人役について「強烈な圧を「わたし」に与えなくては。ダンヴァース夫人が怖くない『レベッカ』は『レベッカ』ではないと思うので」と意気込みます。そして「レベッカに対する執着や情念。すごく焦がれていたのかもしれないですし、彼女の生きていた時に、自分の良きものが詰まっていたのかもしれません。「わたし」をお屋敷に迎え入れた時、レベッカのことを思いすぎて、“レベッカがいたらこんな気持ちになるだろう”ということが憑依してしまう瞬間もあっても良いのでは。自分がレベッカのように見える瞬間もあったら面白いのかなと思っております」と語ります。

霧矢大夢さんは「舞台上には登場しないレベッカという女性にみんなが影響を受け、振り回され、取り憑かれているような状況の中、よりレベッカと深い関係性だったダンヴァース夫人の行動や感情は重要になってくるので、そこを自分なりに表現したい。今までの方々の名演が伝説のように残っている作品ですし、レベッカという楽曲を始め、音楽が物語やキャラクターを表現しているので、まずは歌を本当に頑張らないと」と意気込みます。

本作を通して何度も登場する楽曲「レベッカ」については「4回目に歌われる時は、今までの上演から大きく歌詞が変更されていて、よりダンヴァースのレベッカに対する思いが短いながら込められていますので、そこにクライマックスを持っていくためにどうしたら良いか、自分なりに探していきたいです」と語りました。

撮影:晴知花

ミュージカル『レベッカ』は2026年5月6日(水)から6月30日(火)までシアタークリエにて上演。7月10日(金)から7月12日(日)まで福岡・博多座、7月17日(金)から19日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、7月24日(金)から26日(日)まで愛知・御園座、8月1日(土)から2日(日)まで東京・シアター1010にて上演。公式HPはこちら

Yurika

皆さん口々に本作に出演するプレッシャーを明かしつつも、稽古中ということもあって、作品に挑む楽しさを語られていたのが印象的でした。レベッカという人物が舞台上には登場しない分、私たち観客の想像力に委ねられているところも大きい演劇的な作品。最近上演されたこともあり、サド侯爵が登場しない『サド侯爵夫人』も思い浮かびました。まずは原作小説を読んで想像を膨らませて、上演を待ちたいと思います。