WEST.の小瀧望さんと演出家の小川絵梨子さんが2度目のタッグを組む『ロックンロール』が、2026年11月に兵庫県・東京都の2都市で上演されます。
世界的な劇作家トム・ストッパード(1937-2025)が、祖国であるチェコスロバキアとイギリスを舞台に、1960年代末から1990年代にかけての激動の時代を描いた作品です。共演には吉原光夫さん、那須佐代子さんなど豪華キャストも。日本では2010年以来となる名作の再演に期待が高まります。
劇作家トム・ストッパードが、チェコスロバキアの激動を描いた『ロックンロール』
トム・ストッパードは、チェコスロバキア生まれの英国劇作家・脚本家で、1997年にはその功績を認められ「ナイト」の称号を手にしています。
出世作となったのは、1966年に執筆した戯曲『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』。本作はシェイクスピアの名作『ハムレット』に登場する2人組を主役にしたスピンオフで、1990年にはストッパード自身が脚本・監督した映画版が公開されました。
さらに1998年には、若き日のシェイクスピアを描いた映画『恋に落ちたシェイクスピア』の脚本を務めました。この作品を原作とする舞台『恋におちたシェイクスピア』は、劇団四季による上演歴もあります。そのほか、2002年初演の『コースト・オブ・ユートピア』で2007年度のトニー賞7部門を受賞しました。
そして2009年には、第21回高松宮殿下記念世界文化賞の「演劇・映像部門」を受賞するなど、日本でもよく知られる世界的劇作家のひとりです。
『ロックンロール』は、そんなストッパードが祖国であるチェコスロバキアを舞台に描いた作品です。2006年にロンドンで初演された後、翌2007年にはブロードウェイで上演され、その後2010年に日本でも上演されました。2010年の公演では栗山民也さんが演出を手がけ、武田真治さん、市村正親さん、秋山菜津子さんなど豪華キャストが出演しました。
<STORY>
1968年、ケンブリッジ大学の留学生ヤンは愛するロックンロールと母親を守るため、ソ連軍の侵攻が激化する祖国チェコスロバキアへの帰国を決意する。
一方、ヤンの大学教授でありマルクス主義者のマックスは、癌を患う妻エレナと娘のエズミとともにケンブリッジで暮らしている。忠実な共産党員であるマックスは、「プラハの春」により民主化に揺れる祖国にヤンが帰ろうとすることを快く思えず、苦々しく送り出す。
愛するレコードを抱えて帰国したヤンを待ち受けていたのは、秘密警察の審問官による取り調べであった。
チェコスロバキアは「正常化体制」へと移行を始めていたが、ヤンの友人のフェルディナントはドプチェク解放の署名活動に奔走していた。そんな彼にヤンはチェコスロバキア出身のアマチュアロックバンド〈プラスチック・ピープル・オブ・ザ・ユニバース〉の演奏を聴いて何もかも基本的には問題ないと悟ったと語る。共産主義による鎮圧を受けてもなお、ロックンロールはついえることは無く、人々の心の奥でなり続けていた。
時は流れ1990年、ビロード革命によりチェコスロバキアが民主化を実現した頃、ヤンとマックスは再会する。
ケンブリッジで別れを告げたあの頃の恩師と、いつしか同年齢になったヤンは、いま何を語るのか――。
小瀧望×小川絵梨子、5年ぶり2度目のタッグ
本作の主人公・ヤンを演じるのは、WEST.の一員として活躍する小瀧望さんです。
小瀧さんは2020年の舞台『エレファント・マン』で、第28回読売演劇大賞で優秀男優賞・杉村春子賞を受賞しています。同作品では、19世紀のロンドンで見世物小屋に立たされていた異形の青年という難しい役柄を演じました。
演出を務めるのは、さまざまな翻訳作品を手がけ、新国立劇場の演劇芸術監督(任期は2026年8月まで)としても活躍している小川絵梨子さんです。
『ロックンロール』では、2021年に上演された『検察側の証人』以来2度目のタッグとなる小川さんと小瀧さん。小瀧さんは『検察側の証人』で、殺人容疑で起訴された青年・レナードを演じました。この作品はミステリーの女王と呼ばれる世界的な推理小説家アガサ・クリスティの戯曲で、小川さん自ら翻訳も手掛けています。
小瀧さんは小川さんとの再タッグを熱望しており、「(小川)絵梨子さんとは絶対もう1回ご一緒したいと思っていたので今回飛びつきました」「絶大な信頼を置いていて、この5年間演出されている作品も観てきましたが、どれも最高に面白かったので、早くもう1回ご一緒したいと思っていました」と語っています。
本作では、自由を愛するヤンと共産主義を支持するマックスという対照的な人物2人を軸に物語が展開されます。マックスを演じるのは、2011年に日本公演の歴代最年少となる32歳で主役のジャン・バルジャンを演じるなど数々のミュージカル作品で活躍し、ドラマ『VIVANT』『一次元の挿し木』でも話題の吉原光夫さん。マックスの妻エレナを演じるのは、『検察側の証人』にも出演、数多くの舞台作品に出演する名優・那須佐代子さんです。
そしてマックスの娘エズミ役を村川絵梨さん、ヤンの友人フェルディナント役を大鶴佐助さん、エズミの元夫ナイジェルと審問官役を上口耕平さんが務めます。その他、出演キャストに西川大貴さん、浅野令子さん、斎藤瑠希さん、松田佳央理さん、伊礼姫奈さん、石川新太さん。
<小瀧望 コメント>
普段はグループ活動をしているので年に1本舞台ができたらいいなという感じですが、今年は素敵なお話がたくさんあって、愛してやまない演劇にこうして携われるのは嬉しく思いますし、(小川)絵梨子さんとは絶対もう1回ご一緒したいと思っていたので今回飛びつきました。ご一緒させていただいたのは5年前の「検察側の証人」(21)が初めてでした。絶大な信頼を置いていて、この 5年間演出されている作品も観てきましたが、どれも最高に面白かったので、早くもう1回ご一緒したいと思っていました。今年は念願の再会!本場のアメリカで修行と勉強を重ねてきた方なので、どんどん質問して喰らいついていきたいですし、5年前より成長した姿を見せたいと思います。楽しみで仕方ないです! 作品の中の当時の情勢や文化、政治、音楽、時代背景など難しいと思いますが、深く理解してヤンという役を全身全霊で表現したいですし、約 20 年の時代を演じるので、どれだけ自分と、ヤンと向き合えるかはかなりのチャレンジになると思います。 とにかく 1 分 1 秒でも長く、トム・ストッパードさんと「ロックンロール」とヤンと向き合い続けて、お客様に楽しんでいただけるように頑張りたいと思います。
<那須佐代子 コメント>
ロックが自由の象徴だった時代に「自分は何を信じるのか」を懸命に追い求めた人達の物語です。 私はトム・ストッパードの作品に出演するのは二度目ですが、俳優の力量が問われる恐ろしくかつ奇跡的な本を書く作家だと思います。魅力・実力ともに充実した今回のキャスト・スタッフの皆さんとであればきっと素敵な芝居になることでしょう。このロックのように「激しい」作品がお客様の心にどう響くのか楽しみで興奮しています。
<吉原光夫 コメント>
(今回も演出される)小川絵梨子さんの演出で、以前「ほんとうのハウンド警部」(21)という作品に出演したのですが、それ以来のトム・ストッパード作品です。若干、武者震いを感じつつ、また(小川)絵梨ちゃんと一緒にやれることは僕にとってすごく嬉しいことです。俳優としても精進できて、また一歩前に進める機会だなとも思いますし不安にも思っています。 イギリスの作品ではありますが、鬱屈した、過渡期である今の日本に沁みる作品ではないかと思いますが軽い気持ちで劇場にお越しいただけたらと思います。
ヤンは激動のチェコスロバキアをどう生きたのか
『ロックンロール』を書いたストッパードは、じつは祖国に「帰らなかった」人です。幼い頃、ドイツの侵攻によってチェコスロバキアを追われた彼はシンガポールからインドへ疎開したのち、イギリスに移住したという経歴を持っています。
そんなストッパードが主人公ヤンに与えたのは、自身の人生とは違う選択でした。
ケンブリッジ大学という安全な場所を捨て、ソ連軍の影が濃くなる祖国へ帰っていくヤン。舞台は1968年から民主化を迎える1990年頃まで、20年あまりに及びます。
そしてタイトルの通り、作中ではプラスティック・ピープル・オブ・ザ・ユニバースやピンク・フロイド、ローリング・ストーンズ、U2といったロックンローラーたちの音楽が物語を彩ります。
青年だったヤンが年を重ね、かつて決別した恩師であるマックスとふたたび対峙する時。守れたものと失ったものを抱えていくその歳月を、小瀧望さんがどう演じるのか。ここが本作いちばんの見どころかもしれません。
『ロックンロール』は、2026年11月6日(金)から8日(日)まで、兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演されます。その後、2026年11月13日(金)から12月6日(日)まで、東京建物ぴあシアターにて上演予定です。公式HPはこちら
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難しいテーマを扱う本作ですが、ストッパードの名作のひとつとしてぜひ観ておきたい作品です。ロックンロールと政治情勢という、一見相反するものが舞台上でどうぶつかるか、非常に興味深く感じています。



















