アンドリュー・ ロイド=ウェバーは、ミュージカルを語る上で欠かせない名作曲家です。『オペラ座の怪人』や『キャッツ』などの名作ミュージカルを手がけ、74歳の今もなお現役で新作ミュージカルにも携わり、彼の作った音楽は世界中の劇場で常に歌われています。”現役で”という言葉に、なかには驚かれた方もいるかもしれません。
アンドリュー・ロイド=ウェバーの名前や彼の楽曲は耳にしたことがあっても、彼自身について詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ミュージカル界の巨匠・アンドリュー・ロイド=ウェバーの経歴や代表作、2023年1月に日本で上演される注目作について詳しくご紹介します。
音楽で世界を征服したミュージカル作曲家
イギリスのロンドンに生まれ、作曲家の父とヴァイオリニスト兼ピアニストの母を持つアンドリュー・ロイド=ウェバーは、少年の頃から作曲し、叔母の影響で舞台劇にも夢中でした。
歴史にも興味があったロイド=ウェバーは成長するとオックスフォード大学で歴史学を専攻しますが、やがて音楽の道に進むと決心して中退。歴史学の道は閉ざしたものの、ロイド=ウェバーは在学中に作詞家のティム・ライスに出会い、その後は彼と手を組んで作曲に専念します。
1968年にロイド=ウェバーとティムは小学生用の小ミュージカル『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』を合作で発表し、ミュージカル界で注目されるようになりました。
その後に製作したロックオペラ『ジーザス・クライスト=スーパースター』は、イギリスだけではなく1971年にはブロードウェイで舞台化され、世界中で大ヒット。劇団四季など、海外の劇団でも上演される人気作となりました。
『エビータ』を最後に、ロイド=ウェバーはティムとの合作体制を解消します。そして独立してからも『キャッツ』、『オペラ座の怪人』、『サンセット大通り』などを手がけ、1980年代からのミュージカル界の黄金期を作り上げました。
『オペラ座の怪人』のロンドン初公演で主役のクリスティーヌを務めた世界的歌手のサラ・ブライトマンは、ロイド=ウェバーの元奥さんです。
ロイド=ウェバーは2000年代以降も、『ラブ・ネヴァー・ダイズ』や『スクール・オブ・ロック』、『シンデレラ』など、ジャンルや時代を問わない新作ミュージカルに次々とメロディーを吹き込んでいます。本国イギリスで、アンドリュー・ロイド=ウェバーはビートルズに続いて「音楽で世界を征服した人」と讃えられているそうです。
意外とお茶目な一面も?!
天才作曲家であるアンドリュー・ロイド=ウェバーに対して厳格なイメージの人物像を想像する人もいるかと思います。しかし実際のロイド=ウェバーは、茶目っ気と少々のブラックユーモアに富んでいて親しみやすい印象です。
2021年12月から2022年2月にかけて劇団四季が上演したコンサート『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート~アンマスクド~』では、楽曲を提供するだけではなくなんとロイド=ウェバー自身が映像でコンサートのMCを務め、茶目っ気たっぷりに曲や作品の裏話やプライベートの様子を披露してファンを沸かせました。
その中で明かしていたのが、70歳を過ぎてから初めて飼ったという愛犬の話。ロイド=ウェバーは愛犬のモヒートを大変可愛がっているのですが、実はもともと犬派ではなく猫派だったそうです。
猫派のロイド=ウェバーが犬を飼うきっかけになったのは、2019年に公開された映画『キャッツ』の出来栄えにショックを受けたからだと”彼自身”が明かしています。
また2021年10月にコロナ禍で閉幕していた『オペラ座の怪人』がブロードウェイで再開されると、イベントブースでDJとなって観客と再演を喜ぶお茶目な姿も披露しました。(関連記事:【ブロードウェイ】最長ロングランミュージカル『オペラ座の怪人』が閉幕へ)
2023年上演ミュージカル『THE BEAUTIFUL GAME』で楽曲を担当
2023年1月からは、アンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲を手掛けたミュージカル『ザ・ビューティフル・ゲーム』が東京の日生劇場と大阪の梅田芸術劇場 メインホールにて巡演されます。
『ザ・ビューティフル・ゲーム』は北アイルランド紛争下の実話をもとにしたミュージカルで、2001年にロンドンにて世界で初めて上演されました。
プロサッカー選手を夢見て青春を送るジョンが次第に紛争の波にのまれていくという生々しくもあり若々しいきらめきも感じさせるストーリーを、ロイド=ウェバーのドラマチックな楽曲が彩ります。
アイルランド音楽へのリスペクトも感じさせる楽曲の数々に、ロイド=ウェバー作品の新たなお気に入りが開拓できるのではないでしょうか?
主人公のジョンをジャニーズWESTの小瀧望さん、ジョンの恋人メアリーを木下春香さんが演じます。作品についての紹介記事はこちら
ミュージカルファンは枕を向けて寝られない巨匠・アンドリュー・ロイド=ウェバーについて紹介しました。 劇団四季の創立者である浅利慶太さんは20代の頃に『ジーザス・クライスト=スーパースター』のレコードを100回以上聞き込んだそうですが、ロイド=ウェバーの楽曲には何度聞いても引き込まれてしまう魔力と色褪せない新鮮さがあります。 また彼のお茶目な一面が垣間見えるプライベートは、公式Instagramでもチェックすることができますよ。(@andrewlloydwebber)