「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」、「コジ・ファン・トゥッテ」。これらのオペラのタイトルを聞いて真っ先にモーツァルトの名前が出てくる人は多いと思いますが、彼と共同でオペラを製作した台本作家・ロレンツォ・ダ・ポンテの名前を知る人は少ないのではないでしょうか?

そんなダ・ポンテにスポットライトを当てた音楽劇『ダ・ポンテ〜モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』が、2023年6月より上演されます。主人公のダ・ポンテ役は、海宝直人さん。これまでも数々の舞台で複雑かつ繊細な役を演じてきた海宝さんが新たに挑む影の天才ダ・ポンテの物語に迫ります。

歴史的オペラを生み出した天才たちの4年6か月の奇跡

音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』は、晩年のロレンツォ・ダ・ポンテが自身の生涯を振り返るところから物語が始まります。

そこで色濃く描かれるのは、ダ・ポンテがウィーンでモーツァルトと出会い、のちにモーツァルト三大名作オペラと呼ばれる「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」、「コジ・ファン・トゥッテ」を作り上げるまでの背景。

それはダ・ポンテの89年に及ぶ長い生涯の中でわずか4年6か月という短い時間でしたが、モーツァルトという才能にあふれたパートナーとの共同制作は、彼の人生の中で最も輝かしいひとときだったのです。

革新的なオペラ3作品が生まれるまでの過程と、これまで舞台であまり表現されていなかったダ・ポンテの知られざる物語の演出を手掛けるのは、劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』でも演出を担当されている青木豪さん。

音楽は劇団四季『恋に落ちたシェイクスピア』、音楽劇『星の王子様』で青木さんと共同制作をした作曲家の笠松泰洋さん、脚本はドラマ『1リットルの涙』や『凪のお暇』などで知られる脚本家の大島里美さんが手掛けます。

海宝直人さんが放蕩者の天才詩人ダ・ポンテに?!

今作の主人公であるロレンツォ・ダポンテは、天才詩人でありながら実はかなり破天荒な人物。

ダ・ポンテはヴェネツィア出身のイタリア系ユダヤ人で、女癖が悪く放蕩生活を送っていたため1779年に故郷から追放されてしまいます。しかし持ち前の才能と手練手管でウィーン皇帝ヨーゼフ2世に気に入られ、宮廷詩人として起用されることに。

同郷の宮廷学長・サリエリとオペラを制作しますが失敗に終わり、行き場を失っていたところでモーツァルトとの運命的な出会いを果たすのです。

女性にだらしなくて騙し騙される人生を歩んでいたダ・ポンテですが、詩作能力と語学脳力はピカイチの天才肌でした。

そんな彼を舞台・音楽への知識と表現力に長け、同業者からも「先生」と呼ばれる海宝直人さんが演じるというのですから、ハマり役になる予感がします。

また、モーツァルト役にはダンスやストリートミュージックの印象が強い平間壮一さん、ダ・ポンテとモーツァルトとのちに敵対するサリエリ役には『アナスタシア』で海宝さんと同役を演じた相葉裕樹さん、ダ・ポンテを支えるナンシー役には今回海宝さんと初共演の田村芽実さんをキャスティング。

海宝さんをはじめとする豪華な俳優陣の顔ぶれに、どんな化学反応が起きるのか今から楽しみです。

音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』の公演は、6月21日から25日までのプレビュー公演(東京・シアター1010)を経て東京公演、愛知・大阪のツアー公演を行います。一般チケットの発売は、各種チケット販売サイトにて3月11日10時からスタート。公演スケジュールの詳細は公式HPをご確認ください。

さきこ

海宝直人さんが紡ぐ影の天才の物語を、ぜひ劇場で体感してみたいものですね!