自分に自信を持ちたい。いつまでも美しくありたい。そんな人々の願いが叶う、最も身近な魔法だからこそ、いつの時代もスキンケアや化粧品が支持されるのではないでしょうか。5月7日(日)から東京・日生劇場で上演されるミュージカルでは、20世紀のアメリカ・ニューヨークで女性たちを虜にしたふたつの化粧品ブランドの創業者をテーマにしています。その名も、『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン』。華やかな業界のライバル関係を描いた魅力的なミュージカルをご紹介します。

華やかで熾烈な作品世界と、豪華キャストの共演が話題を呼んだ、ブロードウェイミュージカル

『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン』(原題:『War Paint』)は、2017年にブロードウェイで上演されたミュージカル。20世紀初頭にニューヨークで化粧品店を構え、化粧品業界に革命を起こしたエリザベス・アーデンとヘレナ・ルビンスタインの人生とライバル関係に焦点を当てた作品です。

貧しい生まれから自分の道を切り拓き、独自の発想でそれぞれのブランドを全米屈指の地位へと押し上げていったふたりの創業者。アーデンはピンクが印象的な可愛らしいパッケージでヒットを連発。一方、ルビンスタインは科学的根拠にもとづいた商品で絶大な支持を得ていました。

ライバル関係にあるふたりは、相手の会社に卑劣な罠を仕掛けてみたり、その仕打ちが跳ね返ってきたりと、熾烈な争いを繰り広げます。そんな彼女たちの前にも、第二次世界大戦、新興ブランドの台頭、女性の価値観の変容など、時代の荒波が押し寄せます。抗い難い時代の流れの中で、誇り高きふたりの女性たちはどのように美を追求したのか。麗しく欲深い美のカリスマたちを描いた物語です。

脚本はミュージカル『リトル・マーメイド』のダグ・ライト。音楽はスコット・フランケル、作詞はマイケル・コリーが担当し、舞台となる1930年から60年代らしい音楽が作品を彩ります。

男性優位な社会や第二次世界大戦といった荒波の中を起業家としてたくましく生き抜いたふたりの女性の物語、という作品コンセプトもさることながら、本作が注目を集めたのはその豪華なキャスティング。

ヘレナ・ルビンスタイン役には、『レ・ミゼラブル』の初代ファンテーヌ役や『エビータ』ブロードウェイ初演のエビータ役などでその名を歴史に刻んだミュージカル界の大御所、パティ・ルポーン。抜群の歌唱力と演技力で、美のカリスマとしての存在感を魅せました。

そしてエリザベス・アーデン役には、『42nd Street』や『グレイ・ガーデンズ』でトニー賞主演女優賞を受賞したクリスティン・エバーソール。持ち前のチャーミングさと実力で、華やかな作品の中心にふさわしい輝きを放ちました。

この豪華キャストの共演は、トニー賞主演女優賞に1つの作品から2名同時ノミネート、という快挙を成し遂げました。極めて稀なことですが、それが実現してしまうほど、物語で描かれるふたりのキャラクター性と演じ手のカリスマ性とが融合し、魅力的な作品となりました。

注目の日本公演キャストは明日海りお×戸田恵子

日本版で華やかな作品の顔となるのは、エリザベス・アーデン役には元宝塚歌劇団トップスターの明日海りおさんと、ヘレナ・ルビンスタイン役には舞台から声優まで幅広く活躍する戸田恵子さん。初共演となりますが、それぞれ違うフィールドで第一線を走り続けてきたおふたりのカリスマ的な魅力はこの作品のふたりのヒロイン像にぴったりです。

上品なイメージの強い明日海さん。本作で演じるエリザベスはライバル心をむき出しにする役柄です。実在したエリザベス・アーデン自身が、農家に生まれた本名の自分としてではなく、ビジネスネームで都会での夢を叶えた人物でした。そんな芯の強さやしたたかさを持つエリザベス役では、明日海さんの新たな一面が見られるのではないでしょうか。

戸田さん演じるヘレナは豊かな生活を送る上品さと厳しさを持つ人物で、品格ある戸田さんは適任です。成り上がりで掴んだ成功の裏で、旦那や息子とは決して成功とは言えない家庭生活を送った彼女。名声のスポットライトが当たれば当たるほど、映し出される影の寂しさがヘレナ役の魅力と言えるでしょう。名女優たる戸田さんが表現するヘレナ像が楽しみです。

共演は上原理生さん、吉野圭吾さんなど。演出はブロードウェイ・ミュージカル演出に定評のあるG2さんが担当します。

『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』は5月7日(日)から17日(水)まで、東京・日生劇場にて上演されます。その後、大阪公演は5月27日(土)から5月29日(月)まで森ノ宮ピロティホールにて、名古屋公演は6月2日(金)から6月4日(日)まで御園座にて、京都公演は6月8日(木)から6月13日(火)まで京都劇場にて、上演されます。

今からでもチケットが手に入る平日公演がおすすめです。チケットのご購入や公演の詳細は公式ホームページをご確認ください。

チケットぴあ
Sasha

ブロードウェイ公演では、デパートの化粧品フロアに足を踏み入れたようなディスプレイが舞台上に現れました。本作では豪華な装置に定評がある松井るみさんが舞台装置を担当。コスメ好きにはたまらないセットも楽しみのひとつです。