背の高さや体重、肌の色。自分と違う人を排斥するのか、それとも違いを愛して手を取り合うのか。ミュージカル『ヘアスプレー 』は小難しいことは抜きにして、どちらの未来がより楽しそうかを教えてくれます。まだ観たことのない方向けに、物語の概要や時代背景についてまとめました。

未来は自分で切り拓く!トレーシーの明るいダンスが差別を超える

ふくよかで背の低い女子高生、トレーシー。自分の輝く未来を信じて疑わない彼女は、持ち前の行動力で、地元TV局の人気ダンス番組『コーニー・コリンズ・ショー』に出るという夢を叶えます。

そして黒人を差別する番組の方針に、白人ながら反対運動を実施。彼女は、ついに番組からあらゆる差別の撤廃を実現します。ラストで描かれる多種多様な人の入り混じったミックスダンスは、誰とでも仲良くできる世界がいかに楽しいのかを直感的に教えてくれます。

現実では反対の結末?『ヘアスプレー 』の時代背景と、基となった実話

物語の舞台は1960年代のアメリカ・ボルチモア。国を挙げて黒人差別撤廃運動が盛んになるなか、ボルチモアでは差別が根強く残っていました。物語に登場するダンス番組(実際には『バディ・ディーン・ショー』という名前でした)も、司会の意向により、黒人の出演を許すことなく番組終了。現実には、『ヘアスプレー 』とは真逆の結果となっています。

『ヘアスプレー 』の中で番組司会コーニーが、差別を撤廃したうえで叫ぶ「This is the future. / これが未来だ。」という言葉には、監督/脚本を手掛けたジョン・ウォーターズの願いが込められているようにも感じます。

Kei

ミュージカル『ヘアスプレー』。昨年予定されていた渡辺直美さん主演の日本版公演は残念ながらコロナの影響で中止となってしまいましたが、Netflixなどで映画版を観ることができます。映画の中では、容姿だけじゃなく性差だって関係ないと“その姿”で教えてくれる名俳優も隠れています。ぜひ探してみてください。