3月12日(火)から東急シアターオーブにて開幕するミュージカル『20世紀号に乗って』。トニー賞5部門を制覇したブロードウェイ・ミュージカルの金字塔に、『ハウ・トゥー・サクシード』でもタッグを組んだ演出クリス・ベイリーさん×主演 増田貴久さん率いるカンパニーで挑みます。

観てもらっている時間が特別な時間になるように

取材会には、演出のクリス・ベイリーさん、増田貴久さん、珠城りょうさん、戸田恵子さん、小野田龍之介さん、上川一哉さん、渡辺大輔さんが登場。

舞台演出家兼プロデューサーのオスカー・ジャフィを演じる増田さんは「『20世紀号に乗って』という素晴らしい作品を皆さんにお届けできるのがすごく嬉しいなって思っています。コメディ作品なのでたくさん笑ってもらって、観てもらっている時間が特別な時間になるように全力で演じたい」と意気込みます。

オスカーの元恋人で、ハリウッドの大女優リリー・ガーランドを演じる珠城りょうさんは、「個人的にはリリー・ガーランドという役はすごく挑戦で、稽古中から悩んで色々なことを考えながらやってきたんですけれども、クリスさんを始め、素晴らしいキャストの方々と楽しく作品を創ってくることができたので、ご来場くださるお客様に目一杯届けて参りたいと思います」とコメントすると、増田さんから「(挨拶を)準備してきた?」と茶々が入り、会場は和やかな雰囲気に。

製薬会社の会長レティシア・プリムローズを演じる戸田恵子さんは、「ミュージカルの金字塔と言われている、古き良き時代の素晴らしいミュージカルです。1930年代のお話です、誰も生まれていませんね(笑)。その時代を演じる楽しさもあります。グランドミュージカルなのでオーケストラも入っていますし、豪華なセット・衣裳、盛りだくさんの要素で、裏ではかなりスペクタクルに動いているんですけれども、きっと皆さんに楽しんでいただけると思います」と本作の魅力を語ります。

オスカーのマネージャーのオリバー・ウェッブを演じる小野田龍之介さんは、「主演の増田さんと演出のクリスさんは『ハウ・トゥー・サクシード』でタッグを組まれて、演劇の1つの新たなコンテンツのような出来上がったチームがあるカンパニーなんです。今回は『20世紀号に乗って』、名作に挑まれるということで、その一部になれることがとても嬉しいですし、新たな『20世紀号に乗って』の世界をミュージカルファンの皆様も、エンターテイメントのファンの皆様全てに、楽しんでいただける公演にしていきたいと思います」と今回のカンパニーならではの見どころをアピールします。

また「昔からある作品で、日本でも何度も上演されていますが、クリス版は今回初演ですので、音楽と本があるだけで本当に1から創っていた」ため、あっという間の稽古期間だったことを明かしました。

宣伝担当のオーエン・オマリーを演じる上川一哉さんは、「個性豊かな人たちしかいないカンパニーに参加できて本当に嬉しい。このメンバーで作り上げた作品がお客様にどのように受け取ってもらえるのかワクワクしています」と期待を語ります。

リリーの新しい恋人で映画俳優のブルース・グラニットを演じる渡辺大輔さんは「この年代ならではの素晴らしい音楽と、(プリンシパルキャスト以外にも)本当に素晴らしい役者がもっとたくさん出てくるのでそこにも注目してもらいたい」と実力派揃いのアンサンブルキャストの魅力も語ります。

演出のクリス・ベイリーさんは『ハウ・トゥー・サクシード』上演時、「一生懸命で真面目」と称した増田さんに対する印象の変化を聞かれると、「変わらない」と答え、「一生懸命で頑張り屋さん。座長としてもパッションに溢れていて、いたずら心や楽しさも持っていて、多様なエネルギーをカンパニーに振りまいて頂いています。主役として色々と頑張っていただく必要があるんですけれども、それ以上に頑張って頂いている」と絶賛します。

増田さんはクリスさんの演出について、「クリスに“このセリフ、シーンって僕はこういうふうに思っているんだけどどうしたら良いかな”と相談させてもらうと、1を聞いたのに20も30もヒントや答えをくれる。1930年代のお話なので、今の感覚だとそう思うかもしれないけれど、当時だったらこう思うかもね、といった色々な時代背景を細かく丁寧に教えてくださるので。もの凄い知識量ですし、優しく導いてくれる感じがあるので、クリスが思うドンピシャのところに自然に立たせてもらっている感覚」と語りました。

戸田さんは「まっすーとの出会いは20年前くらい前でして。お仕事をするのはそれ以来で、その間もちょいちょい会ったり、芝居を観た帰りにご飯を食べたり、まっすーがテレビで歌っているのを見た時は良かったよと連絡をしたりしていたんです。座長としてみんなを引っ張っている姿を見せてくれて、本当に大人になったんだなと母心で(笑)、頼もしくまっすーを見つめておりました」と増田さんを温かく見守っていたよう。

SNS等では戸田恵子さんが様々な差し入れをされていることも話題となっていましたが、増田さんには何度かお手製のお弁当を作られたのだとか。増田さんは「戸田さんにもらったお弁当やパンをInstagramにアップしていたら、うちの母親から“戸田さんに可愛がってもらっていて嬉しい”と言われていたのですが、段々うちの母親が戸田さんにヤキモチをやき始めていて。だからお母さんに気遣って、戸田さんから頂いたお弁当の写真を1つあげられていないんです」と裏話を。

これには戸田さんが「愛情は1ミリも入っていないってお母さんに言っておいて(笑)」と気遣い、増田さんが「愛情が入っていなかったら怖いです(笑)」とツッコミ。

また増田さんは稽古中の小野田さんに関して、「この男は本当にひどいんです」と告発が。「僕がよくスウェットのセットアップでお稽古をさせてもらっていて、龍ちゃんが“まっすーセットアップ好きだよね。俺も好きだから要らないのあったら1個ちょうだい”って言うから次の日持っていったのに、第一声なんて言った?」と詰め寄る増田さんに、小野田さんは「きったね」と一言。袖口に穴が空いていて、ダメージ加工がされていたセットアップだったようで、「おしゃれだから」「洗ってからあげたのに」と納得いかない顔の増田さん。これにはカンパニーの皆さんも「ずっと言ってたよね」と爆笑で、お二人の距離の近さが垣間見えるエピソードでした。

「終わりだと言われるたび、また立ち上がる!」

1930年代初頭のアメリカ。オスカー・ジャフィはかつてブロードウェイで活躍した舞台演出家兼プロデューサーでしたが、失敗が続き、シカゴの荒れた小さな劇場で芝居を打っています。多額の借金を抱え、シカゴから逃げ出すオスカー。

マネージャーのオリバー・ウェッブと宣伝担当のオーエン・オマリーは頭を抱えますが、オスカーは何やら秘策がある様子。世界一と謳われる豪華客室を備えた高級列車「特急20世紀号」に乗り込んでブロードウェイを目指し、「終わりだと言われるたび、また立ち上がる!」と息巻きます。

彼の計画は、オスカーの元恋人であり、現在はハリウッドの大女優リリー・ガーランドに偶然を装って再会し、自分の手がける新作舞台に戻らせること。オリバーとオーエンは無理だと言いますが、オスカーは彼女をスターにしたのは自分だと胸を張ります。かつてオーディションにピアノの伴奏を弾きに訪れたリリーの才能を見出したオスカーが、彼女を女優にしたのです。

しかし、オスカーの独占欲と嫉妬に耐え切れなくなったリリーは映画界に転身。大女優となって20世紀号に乗り込んできたリリーは新しい恋人、若き映画俳優のブルース・グラニットを伴っていました。オリバーとオーエンが早速リリーを説得しに行きますが、彼女はオリバーの舞台に出るなら「死んだ方がマシ」と追い返します。

そんな時、20世紀号に乗り合わせていた製薬会社の会長であるレティシア・プリムローズが芝居のスポンサーになりたいと申し出て、有頂天になるオスカー、オリバー、オーエン。後はリリーを説得するだけ、のはずでしたが…。

これまでオスカーを演じてきた役者より年齢が若い増田さんは、可愛らしい振り付けやコミカルな動きで新たなオスカー像を魅せます。ダンスシーンは鮮やかに、歌声は伸びやかに。そして彼を支えるオリバーを演じる小野田さん、オーエンを演じる上川さんも、ミュージカルの第一線で活躍するお二人の魅力をたっぷり味わえる軽やかな身のこなしと自由自在な歌声で、本作の軽やかなリズムを作り上げます。3人のクルクル変わる表情とドタバタ劇は、愛らしさたっぷり。

一方リリーを演じる珠城りょうさんは高音の続く難曲を華やかに歌い、ハリウッド仕込みのオーバーな演技が抜けないリリーをコミカルに演じます。渡辺大輔さん演じる恋人ブルースはとことんナルシストで、2人のバカップルなやり取りも見どころ。

オスカーとリリーが言い合う楽曲「すべてを手に入れた」では、口が達者で強気、自信家な2人のエネルギーがぶつかり合い、反発しながらも似た者同士な2人が表現されています。コメディシーンの連続ながら、楽曲はテンポが速く、高音や難解に音が重なり合う楽曲ばかり。歌もダンスも質高く魅せられるカンパニーだからこそ実現した作品だと言えます。

撮影:山本春花

どんなに追い詰められた状況でも希望を見失わず、列車と共に前へ前へと進み続ける彼らの姿を見ていると、心がスッと軽くなり、キャッチーな楽曲を口ずさみながら帰りたくなることでしょう。ミュージカル『20世紀号に乗って』は3月12日から東急シアターオーブにて開幕。公式HPはこちら

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Yurika

20世紀号の乗務員たちのくすみイエローの衣裳もキュート!豪華絢爛なセットが次々に登場します。とにかくたくさん笑って、華やかな世界に浸れる作品です。