Audienceでは、Xにて演劇やミュージカルに関する質問の募集とアンケート調査を行っています。今回は皆様から寄せられた声の中から、チケットの取り方にまつわる最新事情をお届けします。
【アンケート】値上げに伴い、チケットの取り方の変化はありましたか?
まずは、Xで約19,800票もの投票が集まったこちらのアンケートの結果からご報告です。
最近はチケットの値上げが相次ぎ、観たい演目があってもお財布と相談しなければいけない機会も多くなりましたよね。こちらのアンケートでは、チケットの値上げに伴い観る作品の数を減らしたという回答が全体の約半数を占める結果となりました。
また、キャストの組み合わせやお気に入りの作品をおかわりするリピート観劇の回数を減らしたという回答が約3割です。コロナ禍以降はオンライン配信も増え、そちらも上手く活用して生の観劇の回数を減らしている人も多いのではないでしょうか?
目当ての作品、目当てのキャストを選び、外れのない観劇を楽しみたいという皆様のリアルな声が感じられます。その他の意見としては、S席より安い席を取る、観劇の際は食事代を安く済ませるなど、観劇において節約を意識している方の声が多く寄せられました。
ダイナミックプライシングについて考えてみよう
チケットの取り方に関しては、「席種や料金の選択肢がもっと増えればいいのに」と望むファンも多いようです。エンタメ業界、スポーツ業界では、席種に応じたダイナミックプライシングが導入されつつあります。
ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの価値に合わせて価格を調整する変動価格制のこと。日本では航空業界やホテル業界で既に一般化されている制度ですが、アメリカではコンサートのチケットから食品の価格まで幅広くダイナミックプライシングが活用されています。
劇場の座席にダイナミックプライシングを導入した場合、席種を細分化し、売れ筋の席は高く、売れ残りやすい席は安くすることで、ファンは需要に見合った料金でチケットを購入できるのです。
Jリーグやプロ野球の観戦チケットは2020年あたりからダイナミックプライシングを導入しており、川崎フロンターレは、2023年から本拠地で開催する全ての試合にダイナミックプライシングによるチケット販売を実施しています。
席種を細かく分けて料金を設定し、一般席だけでもその席種と価格は10段階以上。過去のトライアル結果からは、基本価格から値上げと値下げの両方を組み合わせることで完売の試合も生まれ、クラブの収益が増加したこと、また初めての方を含めて多くのサポーターに購入してもらえたことが報告されています。(参考サイトはこちらから)
演劇・ミュージカルのチケットではまだ馴染みのない席種のダイナミックプライシング。劇場の席数が限られている中で難しい点も多いと思いますが、今後導入される演目が増えれば観劇しやすくなりますよね!
俳優・クリエイターの西川大貴さんは、自身の企画した作品に席種の需要に応じたダイナミックプライシングを導入しています。4月6日に上演されたソングサイクル・ミュージカル『雨が止まない世界なら in 2024』では、20段階以上の価格帯による多様な席種が設けられました。
単純に舞台から近い席から料金を高くするのではなく、通路側や最後列など座席の快適さも考慮されたダイナミックプライシングは、舞台マニアである西川さんならではの采配です。
海外では当日券がお得に買えるって本当ですか?
ブロードウェイやウエストエンド、韓国の大学路(テハンノ)など、海外の有名な劇場街では、ミュージカルの当日券を割引価格で販売するサービスを導入しています。これらの街には劇場が密集し、毎日様々な作品を上演しているため、当日券を安く放出して空席を減らそうという施策が用意されているのです。
空席分を定価から値引くラッシュチケットの他、抽選に当たると激安価格で観劇できるロタリーチケットなど、格安な当日券の種類も充実しています。ブロードウェイミュージカルの当日券をお得に購入できるディスカウントチケットブースのTKTS(チケッツ)も有名ですね。
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日本は当日券であっても値引かれる事は殆ど無く、そのうえ人気の演目は定価でも先着順であっと言う間に売り切れるため、当日余ったチケットがお得に買えるなんて羨ましい限りです!
皆様からいただいたアンケート回答と質問の中から、今回はチケットの取り方にスポットを当ててみました。 チケットの値上げが増えて、節約や観劇回数の見直しを実施している人は多いようです。 安価なチケットが増えれば、観劇をもっとカジュアルに楽しめるようになりますよね。 今後も様々な視点からミュージカルにまつわる疑問やファンのリアルな声を取り上げますので、お気軽にご質問ください!