演劇を観て、印象的な台詞があったり、伏線のある物語で“もう一度頭から見たい”と思ったりした経験はありませんか?そんな時、演劇の脚本があれば、何度も繰り返し読むことができますよね。今回は、「文字で楽しむ演劇」と題して、脚本を読む楽しみ、そして、脚本が発売されている作品について紹介していきます。

脚本を読むという演劇の楽しみ方

みなさんは公演の脚本を購入したことはありますか?小劇場などでは特に、パンフレットや公演グッズと共に脚本が売られていることがあります。脚本には台詞だけでなく、「ト書」といって、場面の状況や舞台装置、登場人物たちの行動が書かれています。

戯曲デジタルアーカイブより

この台本は日本劇作家協会が運営している「戯曲デジタルアーカイブ」に掲載されている平田オリザさんの『眠れない夜なんてない』という作品です。この作品の冒頭には、ソファーなど舞台装置の置き方とどこに誰が座るかということが指定されています。台詞以外の文章が「ト書」になります。

戯曲デジタルアーカイブより

平田さんの脚本で特徴的なのが、「脚本記号」と言われるもの。台詞の頭に星マークが付いているところがあります。それは、「☆:同時に言う、★:前の台詞の語尾に重ねて言う」という意味。

観劇した作品の脚本を読んでみると、脚本の段階で計算して作られているのか、舞台上の偶然の産物なのかが分かることも楽しみ方の1つです。どこまでが脚本上のセリフで、どこからがアドリブだったのかが分かるとファン心理としては嬉しかったりしますよね。

言葉遊びに圧倒される野田秀樹作品

言葉遊びが楽しいのが野田秀樹さんの作品の特徴ですが、言葉数も多く、一度舞台を観ただけで全てを理解することは大変!是非、観劇した際にじっくり考えたい作品と出会ったら、脚本を購入することをお勧めします。

野田さんの作品は多くが書籍化され、出版されているのですが、中でも近年再演された話題作を含む3作品が収録されている2つの戯曲集をご紹介します。

2022年に成田凌さん、葵わかなさんが主演を務め上演された『パンドラの鐘』が収録された、「20世紀最後の戯曲集」。


そして、2006年にロンドンで初演され、その後NY・香港・パリなど世界各国の都市で上演。2021年に阿部サダヲさんや長澤まさみさんらによって上演された4人芝居『THE BEE』が収録された「21世紀を憂える戯曲集」です。

観劇前の予習に!家系図や年表も収録された「ハリーポッターと呪いの子 舞台脚本 愛蔵版」

これから舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観劇されるという方に是非読んでいただきたいのが、「ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 舞台脚本 愛蔵版」。

この“愛蔵版”では、ハリー・ポッターの家系図や年表などが新しく加わったり、舞台上演版の台詞が反映され、内容が改定されていたりと、舞台の予習にぴったり!脚本を読んで想像を膨らませていたものが目の前に立ち上がった時、感動も一入です。

ミワ

戯曲を無料で公開している劇団や、日本劇作家協会が運営している「戯曲デジタルアーカイブ」から無料で戯曲を読むこともできます!演劇作品に多く触れたいという方や、学生演劇をしていて作品を探している方におすすめです。