「スタンディングオベーション」という言葉をご存じですか?観劇デビューしたばかりで、ぼんやりとしか意味がわからない方も多いのではないでしょうか。今回は「スタンディングオベーション」「カーテンコール」の意味や、悩みがちな立つタイミングについて解説。また、最近増えてきたカーテンコールでの「写真撮影タイム」についても詳しく解説します!

スタンディングオベーションってなに?

スタンディングオベーションとは、演劇や演奏会などで大勢の観客が総立ちになり拍手を送ることを言います。客席に座ったまま話せない観客が、役者や製作者に感動を伝えるための最高の表現方法です。語源は英語の「standing ovation」で、「立ち上がって拍手をする」というそのままの意味です。日本では略してスタオベとも呼ばれています。

スタンディングオベーションの始まりは、1743年のロンドン。当時の国王ジョージ2世の前で、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」が演奏されました。その中の「ハレルヤ・コーラス」を聴いたジョージ2世が感動して立ち上がり拍手を送ったことで、周囲の観客も同じように立ち上がって拍手を送ったのがきっかけだと言われています。

スタンディングオベーションはいつしたらいいの?

演劇でのスタンディングオベーションはカーテンコールでするのが一般的です。正式なルールはなく、立ち上がるタイミングは人それぞれ。ミュージカルの場合だと最初のカーテンコールで役者が1人ずつ登場したあと、3回目以降のカーテンコールから立ち上がる人が多く見られます。

後ろの席の人が座っている場合は、立ち上がるのが申し訳なくなることもあるかもしれません。しかしスタンディングオベーションは自分が感動した気持ちを伝えるものです。感動を伝えたい!という思いに素直に、立ち上がってみてはいかがでしょうか?

本当は立ちたいけれど周りの様子をうかがっている方もいますし、前の人が立つとつられて立つという傾向もあります。中には体が悪く立てない方もいるので、少しだけ周りの空気を読みながらタイミングを見て立つのがおすすめです。

カテコの仕方は作品によって違う?カーテンコールとは

演劇やミュージカルを見たとき、幕が下りたのに何度も出演者が登場する独特な挨拶に疑問を感じたことはありませんか?それは、「カーテンコール」という舞台作品特有の挨拶。ファンの間では「カテコ」と呼ばれています。実はこのカーテンコール、挨拶が目的というだけではなくて、舞台と観客が一体になれる最高のひとときなのです。カーテンコールの意味や、作品ごとに違うユニークな実施方法を紹介します。

カーテンコールとは、舞台の終演後に観客が拍手を送り、出演者を舞台へ呼び戻すことです。呼び戻された出演者たちは、観客からの拍手喝采にお辞儀などの挨拶をして応えます。コンサートの終演後に行われる「アンコール」にも似ていますが、カーテンコールは出演者の再登場をリクエストするもので、アンコールは再演奏をリクエストするもの。カーテンコールでは一般的に挨拶のみを行いますが、作品によっては劇中のミュージカルナンバーを簡単に披露することもあります。

複数回行う意味とは?

カーテンコールに対する疑問としてよく聞くのが、「なぜあんなに何回も行うのか」。出演者が舞台に再登場したと思いきや再びはけて、観客からの鳴り止まない拍手を受けてまた出演者が登場して…というやりとりが3回以上続くことも。

基本的に、カーテンコールは観客からの拍手が続く限り複数回繰り返すもの。観客の拍手は、作品への敬意と称賛の証です。観客は舞台を楽しませてくれた出演者を労うため、出演者は観客に感謝を伝えるために図るコミュニケーションが、カーテンコールと言えます。千秋楽や貸切公演のような特別な公演では、出演者から観客への感謝の言葉が送られることもあります。

観客を楽しませる工夫も

作品によっては、ただ拍手するだけではない変わったカーテンコールを実施しています。ノリノリなダンスナンバーが見どころの『マンマ・ミーア』、『キンキー・ブーツ』では、観客が座席から立ち上がり、出演者と一緒に劇中ナンバーを踊るというカーテンコールが作品の醍醐味です。

季節のイベントに合わせた特別仕様のカーテンコールをする作品もあります。2021年12月24日と25日に上演された『キャッツ』の福岡公演では、クリスマスの特別カーテンコールを実施。猫たちから観客へ、クリスマスソングを歌うプレゼントが贈られました。

舞台作品は写真撮影が禁止されているものがほとんどですが、なかにはカーテンコールのみ撮影OKにしている作品も。2022年2月に上演された『SINGIN’ IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』の東京公演は、カーテンコールはフラッシュを使わない撮影が可能でした。2023年3月〜5月まで上演されたミュージカル『マチルダ』ではスクーターに乗ったキャストが歌いながら登場し、一部公演で写真&動画撮影OKでした。観客を楽しませてくれるカーテンコールは、特別な思い出を持ち帰ることができるので忘れられない観劇になりますね。

近年増えている舞台の写真OKタイムとは?注意点も詳しく解説!

SNSでは舞台作品を観た人が舞台や出演者の写真を載せているのをよく見かけますよね。「劇場で写真を撮ってもいいの?」と思うかもしれませんが、実は舞台作品には、写真OKタイムを設けているものもあるのです。むしろ近年では、写真OKタイムがある作品がほとんど!
もちろん、撮影するにはマナーを守ることが必要不可欠です。近年増えている舞台作品の写真OKタイムについて、注意点も合わせて詳しく解説します。

写真撮影OKなのはどんなとき?

演劇・ミュージカル作品の公演では、限られた時間のなかで劇場内の写真撮影が許可される写真OKタイムが用意されていることがあります。
作品や主宰する劇団によって、撮影できるタイミングはさまざま。劇団四季と宝塚歌劇団では、専用劇場において上演前の舞台の写真撮影が許可されています。

一部の作品では舞台セットや演目名がデザインされた看板などが撮影できるため、劇場ロビーにあるキャストボードと合わせて、観劇の思い出になるぴったりの写真が撮れますよ。

出演者を撮影できる写真OKタイムのほとんどは、カーテンコールのタイミング。終演後に行われるカーテンコールの撮影が許されている作品は、フラッシュなしの静止画であれば、衣装を着た俳優たちの様子を自由に撮影できるのです。

カーテンコールの撮影に関しては日にちを限定している作品も多く、限られた日程で行われる”スペシャルカーテンコール”の日のみ撮影できるという場合もあります。

写真OKタイムに気を付けるべきことは?

普段は写真に収めることのできない舞台セットや俳優の姿を撮影できる写真OKタイム、とてもありがたいサービスです。そのため、撮影時にはマナーを守るようにしましょう。

写真撮影をする際は、劇場スタッフの案内に必ず従うこと。上演前やカーテンコールに撮影できるといっても、時間が限られている場合があります。上演前のアナウンスが掛かるまでや、劇場内のスタッフが”撮影OK”と書いた看板を掲げている間など、写真が撮れるタイミングはスタッフの指示に合わせるようにしましょう。

また撮影するときは、自分の座席から座ったままの状態でのみ許されている場合がほとんど。他の観客の邪魔になるような距離で撮影しないように、注意を払うことが大切です。

写真OKタイムにはスマホの使用が許されているため、上演中もスマホの電源を入れて準備しておいても大丈夫です。しかし気を付けてほしいのが、光と音の漏れ。上演時にこれらが舞台の邪魔をしないよう、スマホはマナー・サイレントモードか、機内モードにしておきましょう。可能であればカメラアプリのシャッター音も、消すか音量を下げるかをしておくとより親切です。

そして最も大切なのは、すべての舞台作品が写真OKとは限らないということ。主催者や作品によってルールは異なるので、「必ず写真撮影ができる」と思わないほうがいいでしょう。例えば劇団四季や宝塚の公演であっても、地方の劇場や劇団の専用ではない劇場であれば撮影できないことも。写真が撮りたいと思ったら、事前に作品の公式ホームページをチェックしておくことをおすすめします。

かずちぃ

大型ミュージカルではスタンディングオベーションが起こりやすい傾向がありますが、ストレートプレイでは千秋楽だけということも珍しくありません。演劇はナマモノであり観客も毎日違うため、同じ演目であっても熱気は公演ごとに違います。 しかし大きな劇場の2階席や3階席から見下ろす観客総立ちの光景は、鳥肌モノです。反対にステージ上の役者から見たスタンディングオベーションも、心に残る光景になるのではないでしょうか。観劇でスタンディングオベーションをする際は、客席の光景も含めて楽しんでみてください。