日本時間の6月9日、第78回トニー賞授賞式がアメリカ・ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで開催。ミュージカル部門では『メイビー、ハッピーエンディング』が作品賞を含め最多の6部門を受賞しました。
韓国発ミュージカルが躍進したミュージカル部門
第78回トニー賞でミュージカル作品賞に選ばれたのは、ヘルパーロボット同士の恋愛を描いた韓国発の『メイビー、ハッピーエンディング』です。今回は 2023年に『パレード』でトニー賞を受賞したマイケル・アーデンが演出を手がけました。
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本作ではドラマ『glee/グリー』でも知られるダレン・クリスが初めて主演男優賞を受賞し、壇上でプレゼンターのアリアナ・デボーズとハグを交わして喜びを全身で表現。スピーチでは主演女優のヘレン・J・シェンへの感謝を語り、キャスト同士の絆を感じる一場面も見られました。
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このほか、マイケル・アーデンが演出賞、ウィル・アロンソンとヒュー・パークが脚本賞、デイン・ラフリーとジョージ・リーヴが装置デザイン賞をそれぞれ受賞。ミュージカル・演劇共通部門のオリジナル楽曲賞も含めると、見事6冠を達成しました。もともと最多10部門でノミネートを受けていただけあって、前評判に応える結果に。
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同じく最多タイのノミネート作品だった『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は、4部門を獲得。ナタリー・ベネチア・ベルコンが初めて助演女優賞に選出されました。
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また、斬新な演出で話題を呼んだ『サンセット大通り』が、ミュージカル・リバイバル作品賞を含めた3部門を受賞。なかでも本作で主演女優賞を獲得したニコール・シャージンガーは、自身のブロードウェイ・デビュー作品での初受賞という喜ばしい実績を残しました。
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演劇部門の結果は?
演劇部門の最多受賞作は、特別賞を含む『ストレンジャー・シングス:始まりの影』の4冠。
演劇作品賞には、ある家族の人間模様を通じて人生とは何かを問いかける『パーパス』が選ばれました。脚本を手掛けたブランデン・ジェイコブス・ジェンキンスは、昨年のトニー賞において『アプロプリエイト』で演劇リバイバル作品賞を受賞した人物。まさに今、大注目の劇作家といえるでしょう。
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さらに本作で助演女優賞を獲得したカラ・ヤングは、これまで4年連続でトニー賞にノミネート。『パーリー・ヴィクトリアス:ア・ノン・コンフェデレート・ロンプ・スルー・ザ・コットン・パッチ』で助演女優賞を初受賞した昨年に続き、アフリカ系アメリカ人としては初となる2年連続受賞の快挙を成し遂げました。
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また、『オー・メアリー!』では脚本を担当し、エイブラハム・リンカーンの妻メアリー・トッド・リンカーン役も務めたコール・エスコーラが主演男優賞に選ばれ、演出賞と合わせての2冠が決定。なお、コール・エスコーラは性自認が男女のどちらでもないノンバイナリーですが、ノミネート段階で男優部門の候補となることを了承していました。
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そして同じく2冠の『ドリアン・グレイの肖像』から、全26役を1人で演じきったサラ・スヌークが主演女優賞を受賞しています。
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今年も熱い!授賞式のパフォーマンス
トニー賞といえば、世界のトップスターたちによる授賞式のパフォーマンスも見どころのひとつです。オープニングでは、赤いドレスを纏ったホストのシンシア・エリヴォが合唱団とともに「Sometimes All You Need Is a Song」を歌い上げました。

また『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『ジプシー』など、今シーズンを彩ったミュージカル11作品が登場。『サンセット大通り』より、主演女優賞のニコール・シャージンガーが美しい歌声を響かせました。

さらに、昨年のミュージカル主演男優賞を受賞した『ジャスト・イン・タイム』のジョナサン・グロフは客席のキアヌ・リーヴスを巻き込み、セクシーなパフォーマンスを見せて観客を大いに沸かせました。

そして一番の熱狂に包まれた場面が、2015年にブロードウェイで上演されトニー賞11部門に輝き、今年で10周年を迎える『ハミルトン』の特別記念パフォーマンス。リン=マニュエル・ミランダ、レスリー・オドム・ジュニア、ジョナサン・グロフ、アリアナ・デボーズといったオリジナルキャストが再集結した夢のようなステージが実現するのも、トニー賞の授賞式ならではでしょう。
そして例年同様、プレゼンターとして過去の受賞者やハリウッド俳優など錚々たる面々が参加しました。セレモニーが幕を開けた直後に発表される演劇主演女優賞のプレゼンターは、キアヌ・リーヴス。ほかにも映画『ハリー・ポッター』シリーズのドラコ・マルフォイ役で知られ、舞台版でも同役を演じることが発表されたばかりのトム・フェルトンにベン・スティラー、サミュエル・L・ジャクソン&ラターニャ・R・ジャクソン夫妻、オプラ・ウィンフリーなど豪華スターたちが顔を揃え、会場の盛り上がりを後押ししました。
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主な部門受賞結果
演劇作品賞 『パーパス』
ミュージカル作品賞 『メイビー、ハッピーエンディング』
演劇リバイバル作品賞『ユーレカ・デイ』
ミュージカル・リバイバル作品賞 『サンセット大通り』
演劇演出賞 サム・ピンクルトン『オー、メアリー!』
ミュージカル演出賞 マイケル・アーデン『メイビー、ハッピーエンディング』
演劇主演男優賞 コール・エスコーラ『オー、メアリー!』※初受賞
演劇主演女優賞 サラ・スヌーク 『ドリアン・グレイの肖像』※初受賞
演劇助演男優賞 フランシス・ジュー『イエロー・フェイス』※初受賞
演劇助演女優賞 カラ・ヤング 『パーパス』
ミュージカル主演男優賞 ダレン・クリス『メイビー、ハッピーエンディング』※初受賞
ミュージカル主演女優賞 ニコール・シャージンガー『サンセット大通り』※初受賞
ミュージカル助演男優賞 ジャク・マローン『オペレーション・ミンスミート』※初受賞
ミュージカル助演女優賞 ナタリー・ベネチア・ベルコン『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』※初受賞
授賞式の様子を生中継したWOWOWの番組「生中継!第78回トニー賞授賞式」の同時通訳版が、6月15日(日)13時59分までWOWOWオンデマンドでアーカイブ配信中。また、同日14時からは字幕版がWOWOWライブ・WOWOWオンデマンドで放送・配信予定です。公式HPはこちら。

個人的には、韓国発のミュージカルが作品賞を獲得したのが嬉しいビッグニュース!同時に、いつか日本のオリジナルミュージカルもトニー賞に選ばれてほしいと思いました。