皆さんは 演劇がどのぐらいの期間をかけて作られているかご存知でしょうか?作品が、僕たちの前で披露されるまでにどんな段階を経てきているのでしょうか。以前劇団をやっていた経験もある俳優の僕が、演劇やミュージカルの制作期間に関してご紹介します。

01 日本の小劇場(筆者体験談)の制作期間

劇場の大きさがそのまま制作期間と比例するわけではありません。しかし大劇場に比べ小劇場の方が資金的な問題、予約状況などを考えても、スピーディーに公演が行えると思います。あくまでも僕が主宰していた劇団の場合なんですが、次の公演についての話し合いが本番3ヶ月~4ヶ月ぐらい前に行われます。

最初にやるのはこの3つ!

①どういう作品にするか:こういう内容を届けたいという脚本家や演出家の意見を聞く。

②どの劇場で行うか:収容人数や広さ、値段、設備など希望日程が空いているか劇場に確認し予約する。

③キャスティング(配役):誰に演じてもらうかを考えます。それから、ご本人や事務所に連絡をとってオファーをします。

稽古が始まるのはだいたい本番の1ヶ月~2ヶ月前。そこからはほぼ毎日稽古があって作品を練り上げていきます。稽古と並行してチケットを売る為の宣伝活動なども行います。そして本番の1~2日前に劇場に入って舞台セットや客席設営。

美術セットや照明・音響さんの準備が整った後、本番の舞台の立ち位置の確認。「ゲネプロ」と呼ばれる、お客様が入っていないだけであとは全て本番と同じ状態で一度通して最終調整を行います。そしてやっとお客様に見てもらえる段階に進みます。

02 制作期間10年!?ブロードウェイミュージカルが上演されるまで

ブロードウェイでは制作を始める前に、「資金集め」があります。なぜならばブロードウェイで上演しようとすると億単位の莫大な費用がかかるからです。

作品が決まった後、まずは出資者達の前で俳優がセリフや歌の一部を披露する「リーディング」が行われます。そして出資が集まるとシカゴなどの地方都市で「トライアウト」と呼ばれるテスト公演が行われます。トライアウトでこの公演はいけるぞ!!と確信を得たら、ようやくブロードウェイでの公演に打って出ます。

日本でも上演されたミュージカル『キンキーブーツ』も2008年頃に制作が開始され、トライアウトが2012年10月シカゴのバンク・オブ・アメリカ劇場にて行われました。その後、曲や脚本に修正が加えられ2013年4月にブロードウェイで上演されたそう。ブロードウェイ上演にたどり着くまでに、約5年という時間がかけられています。

通常「ブロードウェイ上演」までは早くて3年、長い物だと10年という時間がかかることもあるそうなんです。長期的な目線と、作品に対する自信や情熱がないと気持ちが続きませんよね。

Ryuji

いかがでしたか?舞台の上で繰り広げられる世界には、準備に膨大な時間やお金、そして労力がかかっているんですね。数年後にあなたが出会う作品の種が今日、蒔かれているかもしれません。