2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴さんによる漫画を原作に、2020年から上演されている舞台『鬼滅の刃』シリーズ。昨年の『其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里』に続く最新作『其ノ陸 柱稽古・無限城 突入』が2026年6月に上演されます。前回の映像出演に続き、いよいよ上弦の弍・童磨役として本シリーズに参戦する浦井健治さん。出演が発表されるとともに、大きな話題となりました。実は本作の大ファンだという浦井さん。本作にかける思い、童磨の役作りについて伺いました。

様々な愛を描く、人生のバイブル『鬼滅の刃』

−出演が決まった心境をお聞かせください。
「『鬼滅の刃』の大ファンなので、上弦の弐・童磨を、そして胡蝶しのぶとの戦いを演じさせていただけることに、光栄さと同様に莫大なプレッシャーも感じています(笑)。キャラクターを背負うことの醍醐味を味わいつつ、童磨を愛し抜いて演じられたらと思います」

−出演が決定した時の反響をどう受け止められましたか。
「世界で愛されている作品だと改めて実感しましたし、それはネルケプランニングさんが日本の演劇を世界に持っていくことを実現しているからこそだと思います。前作の製作発表会で上弦の壱・黒死牟役の加藤和樹くんと僕の出演が情報解禁された時に、発表寸前までの緊張した面持ちから、発表後に話題になって安堵されていたスタッフさん達の姿を見て、熱量を持ってこの作品に取り組まれているんだと、すごく幸せな瞬間に関わらせていただいているなと実感しました。関わっている方の思いも含めて、反響をひしひしと感じているところです」

−浦井さんが『鬼滅の刃』に惹かれる理由はなんでしょうか。
「個人的には人生のバイブルとも言える作品です。家族愛や兄妹愛、師弟愛など、色々な愛の形を描いている作品だと思います。忘れがちであったり、日々に追われていい加減になってしまったりしていることを、炭治郎と禰󠄀豆子の純粋さ、まっすぐさを通して改めることができています。鬼殺隊の「柱」たちの思いが繋がっていくところも、原作の魅力だと思います。それと同時に、鬼のストーリーも魅力的です。鬼の過去を知ると、鬼にならざるを得なかった過去があるし、誰しもの中に鬼の片鱗が潜んでいるのではないかとも思わされます。無惨と産屋敷の対峙は鳥肌を超えて涙が溢れました」

−鬼の魅力についてぜひ詳しく教えてください。
「浦井健治は鬼の魅力に取り憑かれています(笑)。それくらい鬼のストーリーは胸を打つんです。『遊郭潜入』は泣きましたね…。過去があって、苦しみがあってそうするしかなかったというところが、すごく人間らしいですし、壮大な作品だなと思います。対峙する鬼と剣士がそれぞれリンクしているのも魅力ですね。胡蝶しのぶと童磨は、笑顔の仮面というか、笑顔の奥にあるものが共通しています。炭治郎と禰󠄀豆子には妓夫太郎と堕姫、煉󠄁獄さんと猗窩座、最終的には炭治郎と無惨様…そういうところが丁寧に描かれているのも好きです」

胡蝶家と童磨の関係性が作品の核に

−童磨を演じるにあたって、どんなことを大切にしようと思われますか。
「世界中に童磨ファンがいるので発言するのがプレッシャーなんですけれども(笑)、万世極楽教や親という過去を経て感情が欠落した彼が、胡蝶しのぶとの対峙によって感情が芽生える様が描かれる中、胡蝶家と童磨との関係は、この作品のストーリーの1つの核にも繋がるものだと感じています。カナエからしのぶへ、しのぶからカナヲへと想いを受け渡していく、そのストーリーの全てに童磨が関わっているので、大事に演じていきたいと思います」

−鬼は表面の冷酷さと隠された思いをどう見せるかが求められますね。
「童磨の場合は隠しているものがあるのかすら怪しいくらい、感情が欠落しています。子どもの頃にどう感じていたのか、20歳になるまでに何を思っていたのかを突き詰めていくと、童磨の成りが見えてくるんじゃないかと思っています」

−漫画原作の作品に出演する際に意識されていることはありますか。
「キャラクターを背負う責任を感じることです。板の上に立った瞬間に、キャラクターのファンの方にそのキャラクターが“いる”と思って愛していただくところまで持っていかなければいけない。ビジュアルも含めて、そしてビジュアル以外の生い立ちも全部背負って、説得力があるところまで持っていくところは徹底しなければいけません。同時に演劇としてどう引き算するかというのは役者の醍醐味であって、演劇を担う者としての務めだと思っているので、そこを演出家と擦り合わせていきたいと思います。童磨に関してはもう自分がファンですから、ファン目線をふんだんに取り入れて役作りをしていきたいです」

−しのぶとの戦いに向けて準備されていることはありますか。
「扇子については勉強しているところです。鬼ですから、型を超えた戦闘モードがあるでしょうし。血鬼術もありますし、無惨が一目置いている存在であることも踏まえると、自由であることを大切にしてプランを立てていった方が良いんだろうなと思います。もちろん美しい所作は大前提で必要だと思いますが、蟲柱の胡蝶しのぶの速さをどう受け流すのか、どういう攻撃なら一瞬でしのぶの体を切り裂けるのか。そこを追求していきたいですね」

新劇場で開かれる新たな扉

−胡蝶しのぶ役の門山葉子さんの印象はいかがですか。
「歌唱力の化け物というイメージです(笑)。もちろんすごく素敵な方だと伺っているので、お会いするのが楽しみです。これまでも胡蝶しのぶを演じてこられたわけですから、そこに急にミュージカル界から自分が現れるというのも、役柄とリンクしているように思います。でもそれを楽しんでくださる方だと思うので、そういう関係性も含めて板の上に乗れれば、童磨と胡蝶しのぶの面白さが出るんじゃないかなと思っています。和田俊輔さんの音楽、KAORIaliveさんの振付で童磨としのぶの対峙がどう描かれるか楽しみですね」

−演出への期待もお聞かせください。
「演出の元吉庸泰さんはStarS(井上芳雄さん、浦井健治さん、山崎育三郎さんによるユニット)の時と、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』でも演出補としていらっしゃったので、今回ご一緒できることを元吉さんもとても喜んでくださっています。今や数々のヒット作を生み出している演出家ですし、役者への愛に溢れる方です。前回もかなりの緊張感の中、『襲撃 刀鍛冶の里』を書き上げられていましたし、今回は『柱稽古・無限城 突入』ということで、“と、いうことはあの場面で童磨はどこにいるんだろう…?”というシーンもありますから、楽しみで仕方ないです。
また今回は高輪ゲートウェイに新たに出来た劇場MoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000での上演であることも大きいと思います。例えばIHIステージアラウンド東京が出来た時、大好きな劇団☆新感線さんの尊敬してもしきれない、いのうえひでのりさんが360度回る劇場をどう活かそうかと果敢なトライをされていました。そういったことが新たな劇場の時には起こるので、演出家の勝負どころであり、楽しみどころというのが今作でもあると思います」

−今回、浦井さんがご出演されることで舞台『鬼滅の刃』に関心を持った人も多いと思います。
「すごく嬉しいことですね。視野が広がったり、新たな趣味になったりしてくださったら本望です。逆も然りで、僕が出ることでグランドミュージカルにも関心を持っていただけたら良いなと思っています。そういう存在になれるよう頑張りたいと思います」

撮影:山本春花、ヘアメイク:山崎順子、スタイリスト:吉田ナオキ

『舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入』は2026年6月13日(土) から6月28日(日)までMoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000にて上演されます。公式HPはこちら

Yurika

浦井さんの『鬼滅の刃』への愛の深さをひしひしと感じるインタビューでした!役に憑依するような凄まじい演技力で魅了してきた浦井さんが、童磨をどのように表現されるのか。浦井さんの熱量に包まれた言葉を聞きながら、公演がとても楽しみになりました。