2026年5月の東京は、日本初演の韓国ミュージカルや人気作の再演、シェイクスピアの四大悲劇など、心を揺さぶる注目作が目白押しです。自分らしく生きる道を模索する物語から、人間の根源的な姿を問う不条理劇まで、多彩なラインナップが揃いました。ゴールデンウィークの大型連休や初夏のひとときに、劇場でしか味わえない体験を探してみませんか?

KOKAMI@network vol.22『トランス』ある妄想から同級生3人が再会し、「孤独な愛と救済」をめぐってたゆたう

『トランス』は鴻上尚史さんの傑作戯曲で、30年以上にわたって数千もの団体で上演されてきました。今回、時代に合わせたアップデートを施し、国内では21年ぶりに鴻上さんが演出を手掛けます。

「私は他人である」という妄想を抱いたフリーライターの雅人、彼を診る精神科医の礼子、そしてゲイバー店員の参三。高校時代の同級生である3人が再会し、現実と幻想の境界線で「本当の自分」を求めてもがく、「孤独な愛と救済」の物語です。

キャストには、繊細な表現力を持つ風間俊介さん、芯の強さが光る岡本玲さん、圧倒的なエネルギーを放つ伊礼彼方さんが集結しました。緻密なセリフの応酬が、混迷する現代に新たな問いを投げかけることでしょう。俳優たちの真剣勝負を、ぜひ劇場で体感してみてください。

KOKAMI@network vol.22『トランス』は、4月28日(火)〜5月10日(日)まで本多劇場で上演されます。その後、静岡、岡山(津山)、大阪、愛媛、石川、新潟、神奈川(藤沢)、広島、兵庫、北海道(札幌・帯広・北見)にて全国ツアーを実施予定です。

オリジナル・ミュージカル『最強のふたり』友情はあらゆる「壁」を乗り越えられる。そして人生は何度でもやり直せる。

『最強のふたり』(2011年)は、世界中で社会現象を巻き起こしたフランス映画です。日本で公開されると、フランス映画として歴代1位の興行収入を記録しました。そんな大ヒット作が、オリジナル・ミュージカルとして世界初演を迎えます。

事故で首から下が麻痺した大富豪フィリップと、介護人として雇われた刑務所帰りの青年ドリス。生きてきた世界も価値観も正反対の2人が、衝突しながらも、いつしか誰よりも深い信頼で結ばれていく姿が描かれています。

ドリス役を川平慈英さん、フィリップ役を浦井健治さんが演じ、息の合った「最強のふたり」を体現します。さらに、ジャズ・ピアニストの桑原あいさんによる心躍る音楽とともに、人生の豊かさを問いかけます。とびきりハッピーなミュージカルになること、間違いなしです!

オリジナル・ミュージカル『最強のふたり』は、2026年5月1日(金)〜10日(日)にヒューリックホール 東京で上演予定です。また、5月14日(木)〜17日(日)に大阪公演(COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール)、5月21日(木)に名古屋公演(御園座)も実施されます。詳細は公式サイトでチェックしてくださいね。

ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』夏目漱石の日常と小説世界がシンクロする、日本のオリジナルミュージカルの到達点

1992年に音楽座ミュージカルで初演され、数々の演劇賞に輝いた傑作が、東宝製作で新たに蘇ります。

ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』は、小説家として独立したいものの、家族を養うために教師を続けていた夏目漱石が、名作『坊っちゃん』を執筆する物語です。現実と理想のギャップに苦悩する日々が、小説世界と重なり合い、やがて救いへと向かう姿が胸に迫ってくることでしょう。

夏目漱石役に井上芳雄さん、坊っちゃん役に三浦宏規を迎え、注目の初共演が実現します!さらに小林唯さんや土居裕子さんなど、実力派キャストが集結することになりました。

演出を務めるのはG2さん。ミュージカル 『バイオハザード 〜ヴォイス・オブ・ガイア〜』(2016年)の脚本・演出など、数々の話題作を手掛けています。日本オリジナルミュージカルの金字塔を、どのように描き出すのでしょうか?

ミュージカル『アイ・ラブ・坊っちゃん』は、2026年5月1日(金)〜31日(日)まで明治座で上演されます。また、6月7日(日)〜14日(日)に北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru、22日(月)〜28日(日)に大阪・SkyシアターMBSでも実施予定です。公式サイトから詳しい情報をご確認ください。

ミュージカル『GYPSY』「究極のショービジネスマザー」は、娘をスターにするという夢を追いかける

『GYPSY』は、実在のバーレスク・エンターテイナー、ジプシー・ローズ・リーの回想録からつくられた、ブロードウェイ・ミュージカルの金字塔です。2023年、演出・クリストファー・ラスコムさん、主演・大竹しのぶさんのコンビで上演され、大好評を博しました。

自分が叶えられなかった夢を2人の娘に託し、執念で彼女たちをスターへと押し上げようとする母・ローズ。しかし、脚光を浴び始めた次女が駆け落ちしたり、長女には歌唱力やダンスの技術がなかったりと、思うように物事が進みません。

「究極のショービジネスマザー」ローズを大竹しのぶさんが演じます。長女ルイーズ役に田村芽実さん、次女ジューン役に富田鈴花さんが選ばれました。さらに演出は、前回に引き続き、数々のヒット作を手掛けるクリストファー・ラスコムさんが務めます。家族の野心と愛の行方を、エネルギッシュに描き出してくれるのではないでしょうか?

ミュージカル『GYPSY』は、2026年5月6日(水・祝)〜24日(日)まで日本青年館ホールで上演されます。また、6月5日(金)〜7日(日)は愛知(刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール)、2026年6月12日(金)〜14日(日)は福岡(キャナルシティ劇場)、2026年6月19日(金)〜23日(火)は大阪(森ノ宮ピロティホール)でも開催予定です。詳細は公式サイトでご確認ください。

ミュージカル『レベッカ』亡き前妻に支配された屋敷で、サスペンスとロマンスが絡み合う

ミュージカル『レベッカ』は、ダフネ・デュ・モーリアのゴシックロマンス小説を原作とする、サスペンスとロマンスが絡み合う作品です。2008年4月、シアタークリエ・オープニングシリーズのミュージカル公演第1弾として初演されました。2010年、2019年の再演を経て、2026年は4度目の上演となります!

物語の舞台は広大な屋敷「マンダレイ」。亡き前妻レベッカの影が色濃く残る場所で、若き後妻の「わたし」は家政婦頭ダンヴァース夫人の冷酷な嫌がらせに直面します。姿なきレベッカに支配された屋敷の謎と、衝撃の結末から目が離せません……!

今回はキャストが一新され、マキシム役を海宝直人さん、「わたし」役を豊原江理佳さん・朝月希和さん(Wキャスト)が演じます。そして物語の鍵を握るダンヴァース夫人役には明日海りおさん・霧矢大夢さん(Wキャスト)という、豪華な布陣となりました。

ミュージカル『レベッカ』は、2026年5月6日(水)〜6月30日(火)まで、シアタークリエにて上演予定です。さらに、7月10日(金)〜12日(日)に福岡公演(博多座)、17日(金)〜19日(日)に大阪公演(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)、24日(金)〜26日(日)に愛知公演(御園座)、そして8月1日(土)〜2日(日)に東京公演(シアター1010)が予定されています。詳しい情報は公式サイトをチェックしてみてくださいね。

舞台『ハムレット』若き王子ハムレットが復讐に燃え、悲劇的な連鎖を引き起こした先にあるものとは

シェイクスピアの四大悲劇である『ハムレット』。時代を超えて愛され続ける傑作が、世界的な演出家デヴィッド・ルヴォーの手でアップデートされます。

父王が死去し、王子ハムレットは母の再婚や叔父の即位に悩んでいました。そんな中、父の亡霊から叔父による暗殺の事実を告げられ、復讐を決意することに。狂気を装い、真実を暴こうとする孤独な闘いは、恋人オフィーリアや周囲の人々を巻き込み、予測不能な悲劇へと加速していきます。

ハムレットを演じるのは、新世代の歌舞伎俳優・市川染五郎さん。祖父・松本白鸚さん、父・松本幸四郎さんも演じた役で、ストレートプレイ初出演・初主演に挑みます。當真あみさん、柚香光さんといった多彩なキャストと織りなす、「生きている」ハムレットにご注目ください。

舞台『ハムレット』は、2026年5月9日(土)〜30日(土)に日生劇場で上演されます。また、6月5日(金)〜14日(日)は大阪・SkyシアターMBS、6月20日(土)〜21日(日)は愛知・名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホールで公演予定です。公式サイトから詳細をご覧いただけます。

パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』血塗られた王座を守ろうと、暴君が破滅に向かっていく悲劇

演出・森新太郎さん、主演・吉田羊さんのタッグによるシェイクスピアシリーズ第3弾。今回は、シェイクスピア作品屈指の悪役、リチャード三世に挑みます。

薔薇戦争に勝利したにもかかわらず、平安な世を憎み、グロスター公リチャードは自ら悪党となることを誓いました。狡猾な罠で兄や貴族を次々と葬り、念願の王位を奪取しますが、その暴政は次第に彼自身を孤独な破滅へと追い詰めていきます。

これまで正義の士を演じてきた吉田羊さんが、憎しみと狡猾さを併せ持つ「悪の権化」をどう体現するのか、期待が高まりますね。さらに愛希れいかさん、中越典子さんなど、豪華キャストがリチャードに翻弄される多種多様な人物を演じ分け、現代にも通じる権力闘争の虚しさをスリリングに描き出します。

パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』は、2026年5月10日(日)〜31日(日)にPARCO劇場で上演されます。また、6月6日(土)〜7日(日)に大阪公演(森ノ宮ピロティホール)、6月13日(土)〜14日(日)に愛知公演(東海市芸術劇場大ホール)、6月20日(土)〜21日(日)に福岡公演(久留米シティプラザ ザ・グランドホール)、6月27日(土)に岩手公演(奥州市文化会館Zホール 大ホール)も開催予定です。詳しくは公式サイトをご覧ください。

舞台『はがきの王様』人生から転落したとき、古いラジカセが「あの熱情」を思い出させてくれた

『オールナイトニッポン』などのキーステーションとして有名なニッポン放送。多くの大人気ラジオ番組を生み出してきたニッポン放送が、ラジオへの愛と再生の物語ともいえる舞台『はがきの王様』をお届けします。

かつて深夜ラジオの「ハガキ職人」として名を馳せた田中浩司は、40代半ばでエリートの座を失い、家族も去り、人生のどん底にいました。そんな彼が実家で見つけたのは、青春時代をともにした古いラジカセ。スイッチを入れると、聞こえてきたのは、当時憧れていたパーソナリティ・楢崎幸之助の変わらぬ声でした。

「学生時代にオールナイトニッポンにはがきを送っていました」と語る​金沢知樹さんが、その体験を織り交ぜながら脚本・演出を手掛けます。また、主人公を松岡昌宏さん、伝説のパーソナリティ役をピエール瀧さんが演じます。デジタルな現代だからこそ、はがきに想いを託す「熱情」が、観る者の心に温かな火を灯してくれることでしょう。

舞台『はがきの王様』は、2026年5月14日(木)〜24日(日)まで本多劇場で上演。さらに5月28日(木)〜30日(土)は大阪公演(森ノ宮ピロティホール)も実施されます。東京公演のチケット完売を受けて、大阪・大千穐楽公演の生配信も決定しています。公式サイトから詳細をチェックしてみてください。

ミュージカル『レッドブック〜私は私を語るひと〜』女性たちの言葉の力で、保守的な時代が少しずつ変わっていく

『レッドブック〜私は私を語るひと〜』は、脚本をハン・ジョンソクさん、作曲をイ・ソニョンさんが手掛けた、韓国初の大ヒットミュージカルです。韓国で「新時代のためのミュージカル」と絶賛された話題作が、ついに日本初演を果たします。

保守的なヴィクトリア朝時代のロンドン。淑女としての振る舞いを求められる社会で、主人公アンナは「私」として生きるため、官能小説の執筆を通じて自分を表現するように。彼女の言葉は多くの読者を熱狂させますが、ついに裁判にかけられてしまいます……。

アンナ役に咲妃みゆさん、彼女を支える新米弁護士ブラウン役に小関裕太さんがキャスティングされました。さらに、花乃まりあさん、田代万里生さんなど、豪華キャストが共演します。自分の言葉で運命を切り拓く姿は、自分らしくあるための勇気や、他者をリスペクトする気持ちについて考えさせてくれることでしょう。

ミュージカル『レッドブック〜私は私を語るひと〜』は、2026年5月16日(土)〜31日(日)に東京建物 Brillia HALLで上演されます。また、6月27日(土)〜30日(火)に大阪・森ノ宮ピロティホール、7月4日(土)〜5日(日)は愛知・御園座でも実施予定です。詳しい情報は公式サイトでご確認ください。

舞台『エンドゲーム』終末的な状況が絶望的に繰り返される中、4人の登場人物はどう生きるのか

不条理演劇を代表する作家、サミュエル・ベケットが「自分の作品の中で最も嫌いじゃない作品」と述べた傑作が、新国立劇場芸術監督・小川絵梨子さんの演出で登場します。出演者は近江谷太朗さん、佐藤直子さん、田中英樹さん、中山求一郎さん。1,016名の応募者からオーディションで選ばれました。

車椅子に座る盲目の主人ハムと、不自由な足取りの従者クロヴは、お互い殺伐とした日常にうんざりしていました。退屈しのぎで、ハムがバケツの中の人間に話しかけると、物語が動き始めます。

タイトルの「エンドゲーム」は、チェスの終盤戦で、駒が少なくなり、逃げ場のない状況を示唆しているそうです。逃げ場のない荒廃した室内で、終わりを待ちながらも「終わらせないためにどう生きるか」を模索するというシチュエーション。人間の根源的な姿が浮き彫りになるのではないでしょうか。

舞台『エンドゲーム』は、2026年5月20日(水)〜31日(日)に新国立劇場 小劇場で上演予定です。また、本公演に先駆けて、2026年5月15日(金)〜16日(土)にはプレビュー公演も予定されています。観劇サポートや関連イベントなども含め、詳細は公式サイトをご覧ください。

さよ

2026年5月の演劇・ミュージカル作品は、「言葉」や「対話」がキーワードなのかもしれません。はがきに想いを託す熱情や、官能小説で偏見に立ち向かう勇気など、デジタル時代だからこそ響くメッセージが詰まっていると思います。日常を離れ、幻想と現実が交錯する濃密な劇空間に、ぜひ身を委ねてみてくださいね。