1962年発表の原作小説を元に、演出・松尾スズキさん、主演・間宮祥太朗さんで挑むPARCO PRODUCE 2026『カッコーの巣の上で』。6月7日の開幕を前に、一部シーンを披露するプレスコールと開幕前会見が行われました。

“自由”の風を強く吹き込むマクマーフィーを間宮祥太朗が熱演

ケン・キージーの小説『カッコーの巣の上で』は1975年にジャック・ニコルソン主演で映画化され、第48回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など主要5部門を獲得。『ラ・マンチャの男』の脚本で知られるデール・ワッサーマンの脚色により1963年にブロードウェイで舞台化され、2001年の再演ではトニー賞リバイバル作品賞を受賞。

日本でも1978年のパルコ・劇団四季提携公演以来、様々なカンパニーで繰り返し上演されている名作です。

プレスコールでは間宮祥太朗さん演じるマクマーフィーが精神病院にやって来たところから約30分間のシーンが披露され、ビリー(坂東龍汰さん)ら患者たちと、看護婦長ラチェッド(江口のりこさん)、医師スパイビィ(皆川猿時さん)が保ってきた均衡を徐々に破壊していく様子が描かれました。

マクマーフィーの、簡単には病院の規則に屈しない強さ、荒々しさを間宮さんが圧倒的なエネルギーとオーラで表現。

一方、江口さん演じるラチェッドが冷静に立ちはだかり、これから巻き起こっていく対立と悲劇を予感させます。

坂東龍汰さんはこれまでの出演作でも魅せてきた圧巻の役作りで、気弱で吃音症のビリーを表現。型破りな新入りマクマーフィーに興味をそそられているビリーの高揚が感じられました。

さらに知的ながら妻への大きなコンプレックスを抱えるハーディング役に近藤公園さん、言葉を発することのできないネイティブアメリカンのチーフ役に山口航太さんと実力派が集結。

ラチェッドによる監視・統制の中、マクマーフィーはどのように自由を求め、闘いを繰り広げるのでしょうか。彼が巻き起こす嵐と悲劇は、分断が進みつつある世界情勢や、過ちが許されず過剰に叩かれる現代社会を映し出すかもしれません。

役者の演技をとことん楽しめる舞台に

開幕前会見には、本作に出演する間宮祥太朗さん、坂東龍汰さん、皆川猿時さん、江口のりこさんと、演出の松尾スズキさんが登壇しました。

「(本番では)お客さんの反応が結構返ってくるのではないかと思っていて、その上で楽しんで演じられたら」と語った間宮祥太朗さん。映画・演劇で高い人気を誇る本作への出演に関し「ありがたいし誇り」と語り、「お話をいただいた時に、松尾さんが『カッコーの巣の上で』をやるのは絶対面白いなと思ったので。稽古期間、ゲネプロをやっていても、どんどん面白いなと高まっていきました。そういう意味では期待と自信を持ってこの作品に挑めているんじゃないか」と手応えを語ります。

江口のりこさんも「何年か前に、どのカンパニーとは言わないですけれども、舞台の『カッコーの巣の上で』を観ました。それも面白かったんですけれど、私たちがやっている方が凄く面白いです。本当にそう思っています。音楽も素敵ですし、舞台美術も良いし、衣裳も良いし、役者の皆さんも面白い。やればやるだけ、新しいことを見つけてどんどん面白くなっていくだろうなと思います」と自信をのぞかせました。

坂東龍汰さんはビリーを演じるにあたり、「自由と規律の中で揺れて、立ち続けることができなくなってしまう象徴的なキャラクターなので、お芝居を感じながら、1人でやらないように」と意気込みます。

皆川猿時さんは「スパイビィというのは極端に出番が少ないんですね。だから必然的に皆さんの稽古を凄く見ていて、一番お客さんに近い出演者という感じで。下手したら、僕4日間何もしないでただ稽古場に行って、稽古を見て、お菓子を食べて帰っていましたから(笑)。そんな僕が言うんだから、面白いです。お菓子が進んじゃった(笑)」と皆川さん流に本作の魅力をアピールしました。

演出を務めた松尾スズキさんは何度も映画を見直すほど大好きだったという本作について、「人間は自由に生きたいというのが当たり前の考え方なんですけれど、意外とちゃんと自由に生きようとすると不幸になる。それが世の常ではないかと思います。そういう悲劇的な物語がエンターテイメントとして、笑いもたくさん入って描かれているのが優れている。1人1人のキャラが立って描かれている部分も好きで、前々から舞台にしたら良いなと思っていた次第です。実際にやってみて、実力者が本当に集まってくれて、間宮くんや江口さんは最初の読みのシーンから既に出来上がっているような感じで頼りになりました。僕3時間くらい稽古するともうクタクタになるんですけれど、今回は4時間できたってことはだいぶ良いです、嬉しかったです(笑)」と語ります。

また演出については「トリッキーなものを想像されると思うんですけれども、割と今回は誠実に創ってみようと思って。1セットでやることもあまりないですし、役者の演技をとことん楽しめる舞台ができたのではないかと思います。そういう意味では今までの松尾とはちょっと違うかもしれないです」と明かしました。

撮影:晴知花

『カッコーの巣の上で』は2026年6月7日(日)から6月29日(月)までPARCO劇場で上演。7月4日(土)・5日(日)に愛媛県県民文化会館 メインホール、7月10日(金)から7月13日(月)まで森ノ宮ピロティホール、7月18日(土)・19日(日)までJ:COM北九州芸術劇場 大ホール、7月24日(金) から7月26日(日)まで仙台銀行ホール イズミティ21 大ホールにて上演されます。公式HPはこちら

Yurika

名作は時代を超える普遍的なメッセージを伝えながら、時代性、現代性も映し出します。今回の上演がどのように現代で解釈されるか、楽しみです。