7月10日(金)から新劇場・東京建物 ぴあ シアターで上演されるミュージカル『ETERNITY(エタニティ)』。韓国の大学路(テハンノ)で2024年、2025年に上演され、劇中ナンバーが韓国内音楽チャートにランクインするなど大きな話題を呼んだ作品が日本初上陸します。1960年代の伝説的なグラムロックスター「ブルードット」と、現代でグラムロッカーを夢見る孤独なシンガー「カイパー」。時代を超えて2人を繋ぐ「マーマー」役を演じる美弥るりかさんにお話を伺いました。

韓国で熱狂を呼んだロックミュージカル、日本版ならではの魅力

−韓国版の映像をご覧になって作品にどんな印象を受けられましたか。
「これまで観たことのない、“新感覚”という表現がぴったりな作品だなと思いました。韓国ミュージカルは元々好きなんですけれども、ロックミュージカルながらも胸が苦しくなるようなメロディーが織り込まれていて、韓国ミュージカル独特の音楽の魅力をこの作品にもすごく感じました。日本人の心にもグッとくるようなメロディーラインがすごく多いと思います。
物語としてもロックミュージシャンを描きながらも、過去のロックスターのブルードットと、現代でロックスターを目指している若いカイパー、2人の苦悩や心の叫びが音楽に乗っていて、切なさを感じるのが魅力的です。
日本版では河原雅彦さんが演出を手がけられるので、また韓国版とは違う新たな印象をお届けできるんじゃないかと思います。河原さんはシリアスなストーリーでも遊び心を入れられますし、それによって観客が飽きないような工夫が細やかにされています。セットを含めた総合的な演出でのセンスも大好きなので、河原さんに付いて行くぞという気持ちです」

−河原さんとは舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』など何作もご一緒されていて、河原さんから美弥さんへの信頼も厚い印象があります。
「4作ほどご一緒させていただいていて、“またご一緒したいですね”とお話ししていたので、実現して嬉しいです。韓国ミュージカルにも出演したかったので二重にうれしかったですし、役どころとしても現在と過去を繋ぐ神秘的な、抽象的な存在なので、自分が宝塚で男役をやっていた経験も活かせるような役柄なのかなと思います。韓国では男性が演じていた役を、自分のような役者に挑戦させていただけることに、感謝でいっぱいです。今はまだ手探りですが、自分にしか出せない色があるんじゃないかと思います。楽曲も男性キーのまま歌わせていただくので、そのバランスや異質さがうまくリンクしたら良いなと思っています」

−河原さんと本作についてお話しされる中で印象に残っていることはありますか。
「マーマーはブルードットとカイパーをじっと見守る時間も多いのですが、そういう時間が長ければ長いほど、役者としてはその時間をどう埋めようか考えてしまいます。でも河原さんが稽古中にポツリと“美弥さんなら立っているだけでも成立できちゃうと思うから大丈夫だよね”とおっしゃった時に、河原さんは自分が培ってきたものを信頼してくださっているんだなと感じました」

時代も観客も繋ぐ、マーマーに託された役割

−楽曲を歌ってみての感触はいかがですか。
「皆さんの歌声を聴いているとノリノリで歌ってしまいそうになるのですが、私が演じるマーマーはロックスターではないので、そこは自分でブレーキをしっかりかけて、皆さんとは違う歌い方や声色、雰囲気を見せたいなと思っています。苦悩している2人を導き、永遠が感じられるような温かみや包容力を大切に歌いたいです。ただ1曲だけこの作品の中では明るい楽曲で、お客様と一緒に楽しむ楽曲を任されているので、そこは思いきり盛り上げたいですね。振付もあるので一緒に踊っていただけたら嬉しいです」

−マーマーはブルードットとカイパーだけでなく、物語と観客を繋げる役割を担っているように思います。
「そうですね。ストーリーテラー的な存在でもあるからこそ、色々な世界を超越した雰囲気を持っていなければいけないと思います。ブルードットとカイパーを、時を跨いで繋げることもそうですし、2人の思い、ロックの魂を強化させていくような役割もあります。2人は苦悩や思いを曝け出す熱いシーンが多いですけれども、私は生々しくない佇まいを意識したいです。
また抽象的な表現がお客様にとってハテナにならないよう、指針として示していくのも私の大事な役割だと思います。韓国のミュージカルでは圧倒させる熱量、エネルギーが強いですが、日本のミュージカルでは繊細な心の歪みや機微も描く方が日本の方の心に届くんじゃないかと思います。ブルードットとカイパーはエネルギッシュな方がしっくりくる役だと思うので、私が繊細さを持って細やかに演じることで、彼らの悩みを理解していただき、物語と皆さんとのクッションになれれば良いなと思います」

−ブルードットは小池徹平さんと小西遼生さんのWキャスト、カイパーは小野田龍之介さんと伊藤あさひさんのWキャストとなります。
「全然違う持ち味を持つキャストが選ばれたなという印象があります。組み合わせによって見え方が変わると思いますし、私はそこで毎回良い刺激を頂けるのが楽しみです。稽古場の時点から一回一回、一瞬一瞬を集中して、色々トライしていきたいです」

表現者としての葛藤。ブルードットに重なる自身の歩み

−ブルードットとカイパーの表現者としての苦悩に共感される部分はありますか。
「台本を読んでいて“こういう風に思っていた時があったな”と思う瞬間がありました。どのお仕事でもそうだと思うんですけれども、若い頃はすごく努力しているけれどもかっこ悪いから見せたくない気持ちと、見せたくないのに分かって欲しいという矛盾を抱えているものだと思うんです。
またブルードットは一度売れた後に落ちていく自分を受け入れられない苦悩が描かれるんですけれども、現状維持というのはすごく大変だと思います。現状維持と言うと現状をそのまま継続していれば良いように思われるけれど、実際には進化し続けていないと現状を維持できない。役者として歳を重ねていく中で、どんどん違うジャンルのお仕事、お役を頂けることに対して自分の心の中では葛藤や悩みがあったりします。ブルードットは世界中に名前が知られ、期待される中で新しいものを生み出す怖さがあったと思うので、全てがリンクするわけではないですけれど、台詞や歌詞の中に刺さるものは多いです。
これはきっと私だけでなく、どんな職業、年代の方にもそれぞれの悩みがあって、そこに寄り添えるような言葉や音楽がこの作品にはあると思います」

−最後に本作を楽しみに待っている方へのメッセージをお願いします。
「どんなストーリーなんだろうと期待してくださっている方もたくさんいらっしゃると思います。ロックを愛する気持ち、ロック音楽の熱さももちろんありながら、表現者としての葛藤が繊細に描かれていて、観てくださる方の心に寄り添えるお話になっていると思います。夏の上演となるので、一緒に皆さんと音楽で盛り上がりながら、ブルードットとカイパーの姿を見て、自分の心の中で大切にしている信念や、皆さんが“永遠に残したいもの”に思いを馳せていただければ嬉しいです」

撮影:晴知花

ミュージカル『ETERNITY』は2026年7月10日(金)から7月26日(日)まで東京建物 ぴあ シアター、7月31日(金)から8月1日(土)まで名古屋・御園座、8月8日(土)から8月9日(日)まで大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホールにて上演が行われます。公式HPはこちら

Yurika

いよいよ7月10日に開幕する『ETERNITY(エタニティ)』。ロックスターを描いた物語ですが、胸をギュッと締め付けられるような切なさが描かれた作品でもあります。孤独な2人のシンガーを繋ぐマーマーを美弥さんがどのように表現されるのか、楽しみです!そして男性キーのまま歌う美弥さん、絶対にかっこいいに決まっています…!