「第三舞台2026」による紀伊國屋書店創業100周年記念公演『パレイドリア』が、2026年8月9日(日)より東京・紀伊國屋ホールで開幕します。鴻上尚史さんが作・演出を手掛け、第三舞台のメンバーである大高洋夫さん、小須田康人さん、長野里美さん、山下裕子さん、筒井真理子さんに加え、中山優馬さん、飯窪春菜さん、小松準弥さん、安西慎太郎さんらが出演。15年前に解散した「第三舞台」が、単なる復活公演ではなく、2026年を生きるカンパニーとして書き下ろし新作に挑みます。
第三舞台2026『パレイドリア』とは?解散から15年、新作舞台に挑む
「第三舞台」は、早稲田大学演劇研究会を母体とし、作家・演出家の鴻上尚史さんを中心に1981年に旗揚げした劇団です。その軌跡は、早稲田大学の大隈講堂裏特設テントで上演した『朝日のような夕日をつれて』から始まりました。
結成4年で初めて紀伊國屋ホールに進出し、『朝日のような夕日をつれて ‘85』で紀伊國屋演劇賞の団体賞を受賞。5年目には東京と大阪で観客動員数が2万人を突破し、“最もチケットの取りにくい劇団”と称されるほど人気を博しました。
1980年代の小劇場ブームを牽引した劇団の勢いはさらに増し、1991年の『朝日のような夕日をつれて‘91』では、チケット発売日の前日に徹夜の列が300人近くまで膨れあがったといいます。この作品は2014年までに7回も上演され、劇団と鴻上さんにとって代表作のひとつとなっています。
しかし、2001年の結成20周年記念公演『ファントム・ペイン』を最後に、劇団は“10年間の封印期間”へ。そして2011年、封印解除と同時に『深呼吸する惑星』の公演をもって解散しました。
そんな伝説的存在である「第三舞台」が、解散から15年の沈黙を破って再集結!2026年に集まれる劇団メンバーで、鴻上さんの書き下ろし新作『パレイドリア』を上演します。いわゆる復活公演ではなく、2026年版の「第三舞台」であるという意図から、ユニット名を「第三舞台2026」としました。
本作のタイトルである「パレイドリア」とは、実際に見えている形状やパターンに、自分がよく知っている別の形を当てはめてしまう心理現象。例えば雲の形が動物に見えたり、壁のシミが人の顔に見えたりするような体験といえば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
物語では、大学時代にバラバラになってしまった仲間たちが数十年後に再会したことで、止まっていた時間が動き始めます。さまざまな感情が渦巻くなか、自分たちが本当に求めていた「形」を見出した時に向き合う「自分自身」とは。過去の記憶と現在が交錯する人間ドラマが、今を生きる観客の心を揺さぶります。
<あらすじ>
大学時代、児童ボランティアサークルで子ども向けの芝居を準備していた仲間たちは、ある出来事をきっかけに、突然バラバラになった。四十二年後、認知症と診断された乾が現れ、「もう一度あの芝居をやろう」と言い出す。選挙に再挑戦する香川、人と距離を置いて生きる広渡、亡き夫の記憶に寄り添う芝山ー止まっていた心が揺れ始める。乾の息子・輝一郎は戸惑いながら父を支え、香川の娘・美咲は選挙の現実と母の過去の間で揺れる。児童館職員の江口とSEの萩原も巻き込まれ、止まっていた時間が奇妙な再始動を始める。戸惑いと混乱のなか、彼らは再び集まる意味を探し、忘れたはずの自分自身と向き合うことになる。
鴻上尚史が『パレイドリア』で描く、2026年を生きる人々
本作で作・演出を手掛けるのは、ほかでもない鴻上尚史さん。劇団「第三舞台」で作・演出を担当していた頃には、1992年の舞台『天使は瞳を閉じて〜THE ANGELS WITH CLOSED EYES〜』でゴールデンアロー賞、1994年の舞台『スナフキンの手紙』で第39回岸田國士戯曲賞を受賞しました。
一方で、1999年からはプロデュースユニット「KOKAMI@network」を結成し、現在に至るまで活動を続けています。直近の2026年4月には、これまで数々の劇団が挑んできた鴻上さんの戯曲『トランス』を自身の演出により国内で21年ぶりに上演しました。
また、2007年から2022年まで、若手俳優と共創する場として「虚構の劇団」を主宰。ここでも作・演出を担い、2010年の旗揚げ三部作戯曲集『グローブ・ジャングル』で第61回読売文学賞の戯曲・シナリオ賞に選ばれています。
さらに活動の場は海外にも及び、2007年にロンドン・ブッシュシアターで上演された『TRANCE』や、2011年のロンドン・リバーサイドスタジオでの『Halcyon Days』ではイギリス人キャストへの演出を行いました。作家・演出家だけでなく、映画監督や小説家、エッセイストなどいくつもの顔を持っています。
鴻上さんが「第三舞台」の作品を通じて表現し、挑んできた“人生の課題”。「第三舞台2026」でも今の世界に焦点をあて、カンパニーが一丸となって“生きること”に体当たりで向き合います。
『パレイドリア』キャスト|第三舞台メンバーと若手俳優が集結

本作では、解散後それぞれの道を進んできた「第三舞台」のメンバー5名が集結しています。
1人目は、鴻上さんとともに劇団を旗揚げして以降、第三舞台の多くの作品に出演した看板俳優の大高洋夫さんです。舞台に加え、映画からドラマ、CM、ラジオに至るまで幅広いフィールドで活躍。2025年には舞台『サイボーグ009 -13番目の追跡者-』やマーダーミステリーシアター『偽りの晩餐』などに出演しました。
2人目の小須田康人さんも、結成当初から劇団を支えてきた看板俳優のひとり。近年の出演作に2023年の舞台『海底二万里稽古初日』や2022年の舞台『アルキメデスの大戦』などがあるほか、映像作品にも登場しています。
とりわけ何度も再演されている「第三舞台」の旗揚げ作品『朝日のような夕日をつれて』では大高さんが初演から、小須田さんが第2回公演から2014年版まで継続して出演。2人と鴻上さんの強い信頼関係がうかがえます。
3人目は、劇団の看板女優として解散まで多数の作品に出演してきた長野里美さんです。鍛えられた表現力を武器に俳優活動を続け、パルコ・プロデュース2022『凍える』の演技により第30回読売演劇大賞の優秀女優賞を受賞。媒体を問わず活躍の場を広げており、2016年には大河ドラマ『真田丸』でみせたコミカルな演技が話題を呼びました。
4人目は、「第三舞台」で26作品に参加した山下裕子さん。明るく大らかな雰囲気を持ち味として、舞台やドラマで多数の役を演じています。直近では、2026年2月に舞台『大地の子』に出演していました。
5人目の筒井真理子さんは1985年に「第三舞台」で初舞台を踏み、その後も舞台や映画、ドラマ、CMと多岐にわたって活躍中。今回は映像出演とのことで、どのようにストーリーに関わるのか大いに気になるところです。
さらに、鴻上さんが信頼を寄せる俳優たちも作品に参加します。
俳優・タレント・歌手としてマルチに活動する中山優馬さんは、近年ミュージカルからストレートプレイまで、数多くの舞台で存在感を示しています。2026年10月には主演舞台『蛙昇天』が開幕予定。鴻上さんの作品では、2018年のKOKAMI@network vol.16『ローリング・ソング』でトリプル主役の1人を演じ、続く2019年のKOKAMI@networkvol.17『地球防衛軍 苦情処理係』にて主演を務めました。
飯窪春菜さんは2018年にアイドルグループ「モーニング娘。」を卒業後、舞台や映像作品に出演して俳優としての経験を積み重ねています。2021年に鴻上さんが作・演出を手掛けた『ロミオとロザライン』では、情熱的でありながら芯の強さを備えた演技が高く評価されました。
また、小松準弥さんは二人芝居『バイアス』や舞台『超ハジケステージ ボボボーボ・ボーボボ』など、多彩なジャンルの作品に登場。2026年6月7日まで上演していた舞台『十二人の怒れる男』では、ベテラン俳優とともにスリリングな密室会話劇に挑戦しました。
安西慎太郎さんはミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの白石蔵ノ介役で一躍人気となり、2020年には自ら企画・プロデュース・主演した一人舞台『カプティウス』を上演。2025年8月のKOKAMI@network vol.21『サヨナラソングー帰ってきた鶴ー』では2人の登場人物を演じ分けました。
小松さんと安西さんは、キャスト全員を20代・30代の若手俳優に入れ替えた『朝日のような夕日をつれて 2024』に参加し、現代の感性を交えた新しい『朝日』を作り上げた実績があります。
そして、「虚構の劇団」の旗揚げメンバーであり、鴻上さんの演出スタイルへの理解も深い渡辺芳博さんが名を連ねます。表情筋の豊かさや身体のしなやかさを活かし、演劇表現を探求。共同主宰する演劇ユニット『ぽこぽこクラブ』では、出演のみならず脚本の執筆にも携わっています。
このほか、鴻上さん演出による2025年5月の舞台『反乱のボヤージュ』に出演した内田智大さんと大城智哉さんもキャスティングされています。
『パレイドリア』は2026年8月9日(日)から30日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。その後、9月4日(金)から6日(日)まで大阪のサンケイホールブリーゼ、9月19日(土)に新潟の新潟県民会館 大ホール、9月23日(水・祝)に愛媛の新居浜市市民文化センター 大ホール、9月26日(土)・27日(日)に福岡のJ:COM 北九州芸術劇場 大ホールに巡演します。チケットの一般発売は東京公演が2026年7月11日(土)、そのほかの地方公演は全て8月1日(土)よりスタート。詳細は公式HPをご確認ください。
「第三舞台」に新しい風を取り入れながら、今この時代を生きる観客に向けて物語を紡ぐ。劇団の根本にあるテーマはそのままに、さらなる進化を予感させる「第三舞台2026」の舞台をどうぞお見逃しなく。



















