前川知大さんの代表作『聖地X』が、時代に合わせた改訂を経てPARCO劇場で上演されます。ドッペルゲンガーの出現が、存在や記憶を問いかけるSFホラーコメディです。桐谷健太さん、和希そらさん、浜田信也さんらが出演。実力派キャストが織りなす化学反応とともに、不思議で少し怖い、前川ワールドの真骨頂をぜひ劇場でお楽しみください。

ドッペルゲンガーの出現から「存在とは、記憶とはなにか」を問いかける

『聖地X』は、劇団イキウメ主宰を務める前川知大さんの代表作です。前川さんはSFやホラー、怪談など“目に見えないもの”との関わりから、人間の本質を描いてきました。2025年に『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』で第32回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞。さらに数々の作品で読売演劇大賞、芸術選奨新人賞、鶴屋南北戯曲賞などを受賞した、日本演劇界の第一線で活躍する劇作家・演出家です。

2015年にシアタートラムで初演、2021年には映画化されて注目された本作が、PARCO劇場で上演することになりました。2009年『狭き門より入れ』、2010年『抜け穴の会議室~Room No.002~』、2020年『迷子の時間 -語る室2020-』に続き、前川作品が6年ぶりにパルコ・プロデュースに登場します。

上演にあたり、時代の変化を反映させた台本へと改訂。ドッペルゲンガーの出現をきっかけに、「存在とは、記憶とはなにか」を問いかける、前川ワールドの真骨頂ともいえるSFホラーコメディをお見逃しなく!

【演出:前川知大 コメント】
基本はコメディなのですが、よくよく考えるとかなりホラーな『聖地X』。この作品は、藤子・F・不二雄的なSF(すこし・ふしぎ)物語だと思っています。舞台上で起きる不思議な出来事に、どうお客さんを巻き込んでいくか。キャストの皆さんと一緒に楽しみながら作っていきたいです。

10年ぶりの上演ということで、今回のキャストに合わせて台本には細かく手を入れ、設定も現代に置き換えました。「十年ひと昔」と言いますが、テクノロジーの進化は本当にすごいもので、「それAIで解決できる」みたいなところは、書き直すしかありません。

キャストには頼もしいメンバーがそろいました。桐谷健太さんと和希そらさんが演じるクセの強い兄妹が、どう物語を転がしていくのか、今から稽古が楽しみです。桐谷さんのバディとなっていく同級生役にこがけんさん、初演から唯一同じ役で参加する浜田信也など。彼らがどんな化学反応を見せるのか、ぜひ劇場で見届けてください。

PARCO PRODUCE 2026『聖地X』のあらすじ

ある田舎町。裕福な実家で働きもせず、悠々自適に暮らす山田輝夫。
そこへ妹が夫と別居して戻ってくる。しばらくして妹の夫が山田家に現れる。
しかしその夫は、同時に東京にも存在していた。ドッペルゲンガー。
輝夫はこの不可解な事態を独自に調べ始める。
すると過去にも似たような事件が起きていたことを知る。
思いをかたちにする未開の聖地。
あなたの中の私が、独り歩きする。

クセの強いキャラクターたちが、未開の聖地の秘密に迫っていく

主人公の山田輝夫を演じるのは桐谷健太さん。2002年にドラマ『九龍で会いましょう』で俳優デビューして以降、映画『火花』(2017年)、『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)、ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(2025年)など、数々の話題作に出演してきました。舞台出演は『醉いどれ天使』以来5年ぶりになります。野性味と繊細さを兼ね備えた演技が、本作をどのように率いるのでしょうか?

輝夫の妹・要を演じるのは、和希そらさん。2024年に宝塚歌劇団を退団した後、舞台『SPY×FAMILY』『SIX』(2025年)、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(2026年)などで、歌、踊り、演技の高い技術を発揮しています。ストレートプレイ出演は初めてとのことで、新たな活躍が楽しみですね!

要の夫・滋を浜田信也さんが務めます。劇団イキウメで圧倒的な存在感を放ち、2015年に続き同役を担当します。近年はドラマ『ハヤブサ消防団』(2023年)、『不適切にもほどがある!』(2024年)、映画『10DANCE』(2025年)など、映像作品にも活躍の場を広げています。前川ワールドの世界観を体現してきた彼の進化にワクワクしてしまいます……!

輝夫の同級生・江口に選ばれたのはこがけんさん。2020年のM-1グランプリで準優勝し、お笑い芸人として大活躍中です。さらに『GREASE』(2021年)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2024年)、『ロマンティックス・アノニマス』(2026年)など多数のミュージカルにも出演してきました。「ミュージカルではない舞台は初」なので、俳優としての新たな一面にも注目です。

舞台の一つとなるレストランの従業員として、池田良さんが選ばれました。舞台・映画・ドラマと幅広く活動し、自然体でリアリティあふれる演技に定評があります。以前から前川作品のファンと語る彼が、どのように本作の深淵に踏み込んでいくのでしょうか?

山田家の家政婦・百瀬を、土本燈子さんが演じます。中学時代に世田谷パブリックシアター演劇部に参加し、発声やダンスの基礎を学んで以降、舞台を中心に活動してきました。キャラクターの人間味を巧みにさじ加減できる方なので、今回の役作りも気になっています。

山田家のマンションの入居者・大河原には渡辺光さん。映画、ドラマを中心に活動しており、本作が舞台出演2作目となります。『聖地X』を「日常に溶け込んだファンタジー」と感じているそうで、その先で彼がどんな自分に出会うのか、勝手にドキドキソワソワしています!

レストランオーナーを村岡希美さんが務めます。劇団「ナイロン100℃」や劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」などの舞台で活動し、唯一無二の存在感で作品を支えています。2015年のシアタートラム初演を振り返り、「すぐそこにある日常の一コマを覗いているつもりが気づけば捻れた異空の世界に迷い込んでいる」とコメント。本作の「質感、空気、肌触り」をしっかり表現してくれることでしょう。

滋の上司・星野には馬渕英里何さんが選ばれました。コミカルからシリアスまで硬軟自在に演じ分け、作品に深みを与えます。俳優歴の長い方ですが、意外にもPARCO劇場は初めてとのこと。どんな役柄もリアリティを持って完璧にこなす演技力で、きっと本作でも輝きを放つこと間違いなしですね!

【主人公・山田輝夫:桐谷健太 コメント】
聖地X。この土地で起こる不思議で奇妙な出来事を軸に、さまざまな人間の感情や想い、更に個人的な思い込み(良し悪しを超えた勘違い)が交錯します。このような魅力的で素敵な作品に出演させて頂けることを、とても光栄に感じています。まだまだ奥行きや、もっと拡がりがありそうなこの感覚を味わいながら咀嚼し、肚(はら)に落とし込んでいきたいと思います。皆さんも是非聖地Xに巡礼をして頂ければ幸いです。何か自分のコアな部分の思い込みに気づくかもしれません。

【輝夫の妹・要:和希そら コメント】
聖地Xってなんだろう。
初めて脚本を読んだ時、その謎の多さにどんどん惹き込まれ、果たしてこれはどこに着地するんだろう。と、とてもわくわくしました。
それと同時に人間の脳ってすごいな、と。
考え方、捉え方次第、、とても共感する部分がありました。
また私個人としましては、密かな夢のひとつでもありましたストレートプレイに初挑戦となる今作品、沢山のことを吸収しながら、お芝居の質感をしっかり身体に染み込ませて、聖地Xの世界を生きたいと思います。
ぜひ楽しみにお待ちください。

【要の夫・滋:浜田信也 コメント】
10年前の劇団公演は日々の稽古から本番まで、皆んなで心から楽しんだ良い思い出です。お客さんにも楽しんでもらえた手応えがあって、『聖地X』は劇団としても大きな達成感を得られた、そしてその後の自信に繋がった作品です。今回も同じ役で参加出来ることをとても光栄に、嬉しく思います。作品に関わる人が違えば、また違う側面が見えてくるのが演劇のステキなところです。今回の座組の皆さんとまた1から大笑いしながら一緒に考えて、お客さんに楽しんでもらえる作品にしたいです。

PARCO PRODUCE 2026『聖地X』は、2026年11月5日(木)〜29日(日)に東京・PARCO劇場にて上演されます。その後、12月5日(土)~7日(月)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、12月19日(土)・20日(日)に香川・シアターマド(丸亀市民会館) 大ホールにて巡演予定です。公式HPはこちら

さよ

演劇は普段自分では選ばないジャンルの作品に触れるチャンスだと思います。SFホラーコメディは舞台で見ると、ほかの人の反応もわかって同じ空間を共有できるという面白さがあるので、この機会にぜひ行ってみてください!劇場の一体感の中で味わう恐怖と笑い、そして不可解な謎に引き込まれる感覚は、生ならではの格別な体験になるはずです。