世界各国で称賛されてきた名作『THE BEE』が2026年秋、本多劇場にて上演されます。本作は筒井康隆さんの短編小説『毟りあい』を原作に、劇作家・演出家の野田秀樹さんが英語戯曲としてロンドンで初演を飾った伝説的な作品です。今回は野田秀樹さんが演出を手掛け、高橋一生さん、二階堂ふみさん、河内大和さん、川平慈英さんが出演します。実力派の4人が生み出す緊迫感あふれる舞台から目が離せません。
全編英語で誕生した『THE BEE』
『THE BEE』は筒井康隆さんの短編小説『毟りあい』を原作に、劇作家・演出家の野田秀樹さんが生み出した作品です。
2003年、野田さんはイギリスで現地の俳優たちとワークショップを開催しました。同年はイラク戦争が勃発した年でもあり、こうした時代背景の中で、筒井康隆さんの短編小説『毟りあい』を題材に選びました。
それ以降、日本とイギリスを何度も行き来し、長い時間をかけてワークショップを積み重ねていきます。さらに野田さんは戯曲を全編英語で執筆しようと考え、シチュエーションやセリフのニュアンスをどのように伝えるべきか、キャサリン・ハンターさんをはじめとするイギリス人俳優たちや、作家コリン・ティーバンさん(共同脚本)と検証しながら制作を進めました。
そして誕生した『THE BEE』は2006年にロンドンのソーホーシアターで初演されます。日本国内ですでに演劇人として評価されていた野田さんですが、イギリスでゼロから作品を立ち上げ、戯曲を英語で書き上げ、ロンドンで初演しました。
野田さんといえば、2026年3月末で東京芸術劇場の芸術監督を退任したばかり。このタイミングに『THE BEE』を再演するのは、かつて野田さんが率いた「劇団 夢の遊眠社」の公演拠点だった本多劇場です。本多劇場は同劇団の成長期にあたる『大脱走〜太田幸司さん、いかがおすごしですか』(1983年)から『半神』(1986年)まで、7作品を上演した場所。演劇ファンにとっても、特別な意味を持つ上演となりそうです。
『THE BEE』のストーリー
家路を急ぐ平凡なサラリーマン[井戸]が我が家の前で遭遇したのは警察とマスコミの喧騒だった。
脱獄犯[小古呂]が井戸の妻子を人質にとり、[井戸]宅に立てこもっていたのだ。
[井戸]は妻子を救出しようと、どこか頼りない警察と共に行動を起こすが、事態は思わぬ展開へ……。
10カ国14都市で称賛された野田秀樹の代表作
2007年には東京で英語版と日本語版が同時上演され、日本語版では野田秀樹さんが主人公の井戸を演じ、秋山菜津子さん、近藤良平さん、浅野和之さんが共演しました。野田さんは英語版で[小古呂の妻]を、日本版ではサラリーマン[井戸]を演じ、俳優・野田秀樹として演劇賞を数多く受賞。観客に強い印象を残し、演劇界に一大センセーションを起こしました。
2012年の日本語版再演ではキャストを変え、英語版とともにワールドツアー&ジャパンツアーを敢行します。日本語版再演には宮沢りえさん・池田成志さん・近藤良平さんが出演。その後、2013年・2014年にワールドツアーを実施し、『THE BEE』はロンドンやニューヨーク、香港、エルサレム、パリなど、世界10カ国14都市で万雷の拍手を浴びました。
『THE BEE』で世界を巡る中、海外の劇場や演劇人から野田作品への関心も高まってきます。『ザ・ダイバー』(2008年ロンドン初演)を筆頭に、『One Green Bottle』(2017年東京・ソウル、2018年ロンドン・シビウ、2020年台北・ニューヨーク)、さらには野田秀樹の大規模作品『エッグ』(2015年パリ)や『贋作桜の森の満開の下』(2018年パリ)、『Q』:A Knight At The Kabuki(2022年ロンドン・台北)など、野田さんの精力的な海外公演進出へとつながりました。
高橋一生・二階堂ふみ・河内大和・川平慈英が、混沌に一針を刺す

2026年版『THE BEE』に出演するのは、高橋一生さん、二階堂ふみさん、河内大和さん、川平慈英さん。
高橋一生さんは、狂気に駆られていく平凡なサラリーマン[井戸]を演じます。これまで、キャサリン・ハンターさん、野田秀樹さん、阿部サダヲさんが演じてきた、物語の中心的存在とも言えるキャラクターです。2021年の『フェイクスピア』(第29回読売演劇大賞最優秀男優賞)mono役、2023年の『兎、波を走る』脱兎役と、近年のNODA・MAP作品において主要な役柄を務めてきました。圧倒的な存在感で観客を魅了してきた高橋さんが見せる、最新バージョンの[井戸]に期待が高まりますね!
[リポーター]とストリップダンサー[小古呂の妻]を演じるのは、二階堂ふみさんです。2024年の『SHOGUN 将軍』でハリウッド作品に初参加を果たした二階堂さんが、ついにNODA・MAP作品に初参加します。実は二階堂さんは、本作とは関係ない時期に実施された野田さんのワークショップに単身応募・参加した経験があり、その熱意と知性が今回の出演につながりました。高橋さんの演じる[井戸]と対峙する「脱獄囚の妻」であり、「脱獄囚の息子の母親」でもある[小古呂の妻]の妖艶な変化を、どのように演じるのでしょうか?
河内大和さんは、[リポーター]、[シェフ]、そして横柄な権力を振りかざす[百百山警部]を演じます。抜群の身体能力で野田作品をはじめとする数々の舞台で活躍してきた河内さんは、2021年の『THE BEE』で同役に大抜擢されました。その演技が業界関係者の目に留まり、ドラマ『VIVANT』や映画『8番出口』(第49回 日本アカデミー賞新人俳優賞)へのオファーにつながったそうです。出世作とも言える『THE BEE』への凱旋で、唯一無二の怪演に注目が集まっています。
下卑た警官[安直]、脱獄犯[小古呂]、6歳児[小古呂の息子]、[リポーター]を演じるのは、川平慈英さん。2021年、高橋さんと同じくNODA・MAP初参加となった『フェイクスピア』で、鮮烈かつポジティブな存在感を見せつけました。2021年の『THE BEE』でも同役を担った川平さんが、河内さんとともに、連続登板を果たします。野田さんから厚い信頼を寄せられる川平さんが、持ち前のエネルギーと豊かな表現力で4役をどう演じ分けるのか注目です。
いくつもの役が入れ替わる、豪華キャストたちのスリリングな演技。「鉛筆」をはじめとする小道具それぞれの「見立て」によって、観客の想像力は最大級まで刺激されます。その緊張と興奮を、野田さんは「10秒に一度、何かが起こる」とコメントしました。2026年版『THE BEE』が、混沌の渦中にある2026年に一針を刺す注目作にご期待ください!
NODA・MAP 番外公演『THE BEE』は、2026年11月2日(月)〜12月6日(日)に東京・本多劇場で上演されます。公式HPはこちら ※トリガーアラートあり
東京の小劇場演劇の聖地に、野田秀樹さんが40年ぶりに帰還する、しかも世界各国で観客を熱狂させてきた『THE BEE』が!と知った瞬間、思わず胸が高鳴りました。かつて「劇団 夢の遊眠社」として数々の伝説を残した本多劇場の濃密な空間で、あの大傑作を体感できる贅沢さは言葉になりません。豪華キャスト4人が繰り広げるスリリングな演技と圧倒的な熱量を、ぜひ劇場で目撃してほしいと思います。




















