2021年6月、ついに日本上陸を果たしたディズニーミュージカル『アナと雪の女王』。一般発売初日に販売枚数が劇団四季史上最高を記録するなど、大きな注目を集めている作品です。映画『アナと雪の女王』をさらに進化させたミュージカル『アナと雪の女王』の魅力をお届けします。(2021年7月・JR東日本四季劇場[春])

「Let It Go(ありのままで)」が日本にやってきた!

2019年、ブロードウェイでミュージカル『FROZEN』(『アナと雪の女王』の原題)を観劇した時、エルサ役を務めたケジー・レビーさんの「Let It Go」はあまりに衝撃的でした。両親の言いつけを守り、妹のアナを守るため、自分の一部である“魔法”と自分自身の気持ちを抑えつけてきたエルサ。映画よりもその悩みや制御できなくなる魔法の過程を丁寧に描いている分、「Let It Go」での感動はひとしおでした。

日本版でも映画より原文に寄り添った訳で「ありのままで」やその他の楽曲を表現。アナや両親の葛藤、エルサの孤独などが鮮明に描かれ、より作品への理解に深みが増して行きます。特に印象的だったのは「過去にはもう戻らない」というエルサの決意が描かれていたこと。

映画ではアニメーションの口の動きに言葉を合わせなければいけないため、どうしても訳に制限が出ます。「Let It Go」の英語詞“the past in the past”が印象的だった私は、日本語詞にそれが反映されていないことを残念に思っていました。しかし今回のミュージカル版では何度もこのテーマが繰り返され、過去と決別するエルサの力強さが表現されていました。1幕ラストで披露される「Let It Go」はエルサの魔法の見せ所でもあります。楽曲が終わると共に大きな拍手が鳴り響き、幕間には思わず観客の「うわぁ」「すごい」という声で劇場が包まれました。

各キャラクターに用意された新曲たち!ダンスも楽しんで

ミュージカルでは映画でお馴染みの楽曲たちに加え、多くの新曲が追加されています。アナとクリストフの「愛の何がわかる」やオーケンの「ヒュッゲ」などは作品にコミカルさを加えてくれ、1人1人のキャラクターたちへの愛着が湧いてきます。ダンスシーンも多く、ミュージカルらしい楽しいシーンに心躍らされます。アナ役の三平果歩さんはアナそのもの!お茶目で真っ直ぐに突き進んでいく明るさに救われます。

さらに、エルサには「モンスター」というもう1曲の名曲が与えられました。“魔法”を通して自分はモンスターになってしまうのか、自分が死んだ方が世界は幸せになれるのか。自分の行動、態度次第で世界は大きく変わる。これは魔法を使えない我々にも共通する課題でしょう。エルサ役を演じられた岡本瑞恵さんは丁寧にエルサの気持ちの変化を表現。人間らしい苦悩の中から立ち上がっていくエルサの人物像を更に色濃くしてくれる楽曲でした。

Yurika

ミュージカル『アナと雪の女王』はブロードウェイでは7割の観客が大人だったと言われるほど、大人も楽しめる作品。映画より更に深みを増し、『アナと雪の女王2』で語られたアレンデール王国の過去についても反映されていました。チケットはなかなか取れない状況ですが、ぜひ多くの方がアナとエルサの“魔法”を体感できることを願っています。公式サイトはこちら